“意(い)” の例文
「本當(ほんたう)にね。兄(にい)さんにさへ御金(おかね)があると、何(ど)うでもして上(あ)げる事(こと)が出來(でき)るんだけれども」と、御世辭(おせじ)でも何(なん)でもない、同情(どうじやう)の意(い)を表(へう)した。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「そりや、はあ、さうだが」只(たゞ)此(これ)だけいつて寡言(むくち)な卯平(うへい)は自分(じぶん)の意(い)を得(え)たといふ樣(やう)に始終(しじう)窪(くぼ)んだ目(め)を蹙(しが)めて手(て)からは煙管(きせる)を放(はな)さなかつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
凡(およ)そ説(ぜい)の難(かた)きは、吾(わ)が知(ち)の以(もつ)て説(と)くこと有(あ)るの難(かた)きに非(あら)ざる也(なり)。(五七)又(また)吾(わ)が辯(べん)の能(よ)く吾(わ)が意(い)を明(あきらか)にするの難(かた)きに非(あら)ざる也(なり)。
おゝ、自然(しぜん)と敵(てき)の意(い)を体(たい)して、自(みづ)から、罵倒(ばたう)するやうな木像(もくざう)では、前方(さき)が約束(やくそく)を遂(と)げんのも無理(むり)はない……駄物(だもの)、駄物(だもの)、駄物(だもの)
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
これに反し、われわれの最も意(い)を注(そそ)ぐべき心掛(こころがけ)は平常毎日の言行——言行と言わんよりは心の持ち方、精神の態度である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
見(み)ながら孃(ぢやう)さまは何處(いづこ)へぞお姿(すがた)が見(み)えぬやうなりと人騷(ひとさわ)がせするもあり乳母(うば)は夜(よ)の目(め)ろく/\合(あは)さずお高(たか)が傍(かたへ)に寢床(ねどこ)を並(なら)べ浮世(うきよ)雜談(ざふだん)に諷諫(ふうかん)の意(い)を
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
他(た)の馬(うま)は、よく主人(しゅじん)の意(い)にさからったということを聞(き)きますけれど、この馬(うま)にかぎって、けっして、そんなことはなく、汗(あせ)を流(なが)してよく働(はたら)きました。
駄馬と百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは恐(おそ)らく戰(たゝか)ふ者の誇と名譽(よ)にかけて、または男の意(い)地にかけてであつたらう。が、現在(げんざい)では對局(たいきよく)の陰に實際的(じつさいてき)な生活(くわつ)問題(もんだい)まで含(ふく)まれて來たらしい。
政府(せいふ)の當局者(たうきよくしや)としては此(この)國民(こくみん)の努力(どりよく)に對(たい)して深(ふか)き感謝(かんしや)の意(い)を表(へう)するのであるが、國民(こくみん)としても自分(じぶん)の努力(どりよく)の結果(けつくわ)が
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
如何(いか)なる事業(じげふ)に從(したが)ふとも、體力(たいりよく)此(これ)に伴(ともな)ふて強健(きやうけん)ならずば、意(い)の如(ごと)く活動(くわつどう)する能(あた)はず、又(また)所期(しよき)の十一だも達(たつ)する能(あた)はざるは、世上(せじやう)に其(その)例(れい)を多(おほ)く見(み)る處(ところ)なり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
が、どうしたのか声(こえ)は咽喉(のど)から出(い)でず、足(あし)もまた意(い)の如(ごと)く動(うご)かぬ、息(いき)さえ塞(つま)ってしまいそうに覚(おぼ)ゆる甲斐(かい)なさ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
熟考(じゅっこう)の長さにひきかえて、意(い)を決(けっ)するとすぐであった。蔦之助と小文治も、膝行袴(たっつけ)の紐(ひも)をしめ、脇差(わきざし)をさし、手馴(てな)れの弓(ゆみ)と、朱柄(あかえ)の槍(やり)をそばへ取りよせた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聞(きゝ)吉兵衞不審(しん)に思ひ御意(い)の如く幼少(えうせう)の時不※(ふと)怪我(けが)を致せしが其痕(あと)が今に殘(のこ)り在しを娘が人相(さう)に係(かゝ)ると人々が申せしとて平常(つね)に苦勞致し居(をり)しが此度斯樣(かやう)の死を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
無論一部の事には候(そろ)へども江戸(えど)つ子(こ)の略語(りやくご)に難有(ありがた)メの字(じ)と申すが有之(これあり)、難有迷惑(ありがためいわく)の意(い)に候(そろ)軽(かる)くメの字(じ)と略(りやく)し切りたる洒落工合(しやれぐあひ)が一寸(ちよつと)面白いと存候(ぞんじそろ)。(十九日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
(以下、口合(パンニング)は邦語(はうご)に直譯(ちょくやく)しては通(つう)ぜざれば、意(い)を取(と)りて義譯(ぎやく)す。後段(こうだん)にも斯(か)かる例(れい)しば/\あるべし。)
臣愚(しんぐ)謂(おも)えらく、今宜(よろ)しく其(その)意(い)を師とすべし、晁錯(ちょうさく)が削奪の策を施す勿(なか)れ、主父偃(しゅほえん)が推恩の令(れい)に効(なら)うべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おおかた、もはや縁先近(えんさきちか)くまで来(き)ていたのであろう。藤吉(とうきち)が直(す)ぐさま松江(しょうこう)に春信(はるのぶ)の意(い)を伝(つた)えて、池(いけ)の方(ほう)へ引(ひ)き返(かえ)してゆく気配(けはい)が、障子(しょうじ)に映(うつ)った二つの影(かげ)にそれと知(し)れた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
半分(はんぶん)見(み)える土間(どま)では二十四五の女(をんな)が手拭(てぬぐひ)を姉樣(ねえさま)かぶりにして上(あが)りがまちに大盥(おほだらひ)程(ほど)の桶(をけ)を控(ひか)へ何物(なにもの)かを篩(ふるひ)にかけて專念(せんねん)一意(い)の體(てい)、其桶(そのをけ)を前(まへ)に七ツ八ツの小女(こむすめ)が坐(すわ)りこんで見物(けんぶつ)して居(ゐ)るが
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
雪の奇状(きじやう)奇事(きじ)其大概(たいがい)は初編に出(いだ)せり。猶(なほ)軼事(てつじ)有(ある)を以此二編に記(しる)す。已(すで)に初編に載(のせ)たるも事の異(こと)なるは不舎(すてず)して之(これ)を録(ろく)す。盖(けだし)刊本(かんほん)は流伝(りうでん)の広(ひろ)きものゆゑ、初編を読(よま)ざる者(もの)の為(ため)にするの意(い)あり。
雪の奇状(きじやう)奇事(きじ)其大概(たいがい)は初編に出(いだ)せり。猶(なほ)軼事(てつじ)有(ある)を以此二編に記(しる)す。已(すで)に初編に載(のせ)たるも事の異(こと)なるは不舎(すてず)して之(これ)を録(ろく)す。盖(けだし)刊本(かんほん)は流伝(りうでん)の広(ひろ)きものゆゑ、初編を読(よま)ざる者(もの)の為(ため)にするの意(い)あり。
主人は百方(ひゃっぽう)意(い)をつくして、この国で生まれた人間ですからというような糸口(いとぐち)を引きだそうとこころみたが、いつでも失敗(しっぱい)におわった。かれは主人に対(たい)したときにも、ときをきらわず立ってしまう。
箸 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
〔譯〕意(い)の誠否(せいひ)は、須らく夢寐(むび)中(ちゆう)の事に於て之を驗(けん)すべし。
ずゐぶん貴方(あなた)たちは意(い)地わるね さうのぞくもんぢやないわ
雖然お房の意(い)を充(みた)す爲に敢(あへ)て此の苦痛(くつう)を忍(しの)んだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
何(なに)を祕(かく)さう、唯今(たゞいま)の雲行(くもゆき)に、雷鳴(らいめい)をともなひはしなからうかと、氣遣(きづか)つた處(ところ)だから、土地(とち)ツ子(こ)の天氣豫報(てんきよはう)の、風(かぜ)、晴(はれ)、に感謝(かんしや)の意(い)を表(へう)したのであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「管(かま)あねえで歸(けえ)れよ、おとつゝあ酩酊(よつぱら)つてんだから」女房(にようばう)はおつぎの意(い)を汲(く)んでやつた。後(あと)では亂雜(らんざつ)に散(ち)らかした道具(だうぐ)の始末(しまつ)をしながら女房等(にようばうら)はいつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
が、奈何(どう)したのか聲(こゑ)は咽喉(のど)から出(い)でず、足(あし)も亦(また)意(い)の如(ごと)く動(うご)かぬ、息(いき)さへ塞(つま)つて了(しま)ひさうに覺(おぼ)ゆる甲斐(かひ)なさ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
大岡殿聞ナニ九郎兵衞依怙贔屓と申か能承はれ天下の裁斷(さいだん)を爲(する)者聊(いさゝ)かたりとも私しの意(い)を以て依怙(えこ)の沙汰(さた)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
馬子(まご)は、はらだちまぎれに、あらあらしく、たづなを引(ひ)くと、馬(うま)は、頭(あたま)を上下(じょうげ)にふって、反抗(はんこう)の意(い)をしめし、前足(まえあし)に力(ちから)をいれて、大地(だいち)へしがみつこうとしました。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今爾(なんじ)将士、燕王と対塁するも、務めて此(この)意(い)を体して、朕(ちん)をして叔父(しゅくふ)を殺すの名あらしむるなかれと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「何(ど)うでも可(い)いわ」と半分(はんぶん)夫(をつと)の意(い)に忤(さか)らはない樣(やう)な挨拶(あいさつ)をした。宗助(そうすけ)は折角(せつかく)連(つ)れて來(き)た御米(およね)に對(たい)して、却(かへ)つて氣(き)の毒(どく)な心(こゝろ)が起(おこ)つた。とう/\仕舞(しまひ)迄(まで)辛抱(しんばう)して坐(すわ)つてゐた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
廿歳(はたち)といふも今(いま)の間(ま)なるを、盛(さか)りすぎては花(はな)も甲斐(かひ)なし、適當(てきたう)の聟君(むこぎみ)おむかへ申し度(たき)ものと、一意(い)專心(せんしん)主(しう)おもふ外(ほか)なにも無(な)し、主人(しゆじん)大事(だいじ)の心(こゝろ)に比(く)らべて世上(せじやう)の人(ひと)の浮薄(ふはく)浮佻(ふてう)
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこで言葉(ことば)を途切(とぎ)つて、青木さんは不意(い)に眞顏(まがほ)になりながら、ぢつと奧(おく)さんの顏(かほ)を見(み)詰めた。
夢 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
今者(いま)妾(せふ)其(そ)の出(い)づるを觀(み)るに、志念(しねん)深(ふか)し、常(つね)に以(もつ)て(六一)自(みづか)ら下(くだ)る者(もの)有(あ)り。今(いま)、子(し)は長(た)け八尺(しやく)、乃(すなは)ち人(ひと)の僕御(ぼくぎよ)と爲(な)り、然(しか)も子(し)の意(い)自(みづか)ら以(もつ)て足(た)れりと爲(な)す。妾(せふ)是(ここ)を以(もつ)て去(さ)るを求(もと)むる也(なり)
では、筑前守秀吉(ちくぜんのかみひでよし)は、かならずしも、悪意があって勝頼のゆくえをたずねさせたのではなかろう……と伊那丸(いなまる)も心がとけ、忍剣(にんけん)や龍太郎(りゅうたろう)も、さらばと、その意(い)に従(したが)うことになった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんな天気のいゝ時だと憶(おも)ひ起(おこ)し候(そろ)は、小生(せうせい)のいさゝか意(い)に満(み)たぬ事(こと)あれば、いつも綾瀬(あやせ)の土手(どて)に参(まゐ)りて、折(を)り敷(し)ける草の上に果(はて)は寝転(ねころ)びながら、青きは動かず白きは止(とゞ)まらぬ雲を眺(なが)めて
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
老人編を嗣(つぐ)の意(い)あり、ゆゑに初編二編といふ。前編後編といはず。
老人編を嗣(つぐ)の意(い)あり、ゆゑに初編二編といふ。前編後編といはず。
これこれ 病室にベットを三つ用意(い)して
「一枝(えだ)」と意(い)を得(う)ると、小笠原氏(をがさはらし)の顔(かほ)を出(だ)して、事(こと)もなげに頷(うなづ)くのを視(み)て、折(を)り取(と)る時(とき)、瀬(せ)の音(おと)が颯(さつ)と響(ひゞ)いた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「後(うしろ)の田(た)の畔(くろ)になあ、牛胡頽子(うしぐみ)のとこでなあ」お品(しな)は切(き)れ/″\にいつた。勘次(かんじ)は略(ほゞ)其(そ)の意(い)を了解(れうかい)した。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
平生(へいぜい)跛(ちんば)で充分(じゆうぶん)に足(あし)を組(く)む事(こと)が出來(でき)ないのを憤(いきどほ)つて、死(し)ぬ間際(まぎは)に、今日(けふ)こそ己(おれ)の意(い)の如(ごと)くにして見(み)せると云(い)ひながら、惡(わる)い方(はう)の足(あし)を無理(むり)に折(を)つぺしよつて、結跏(けつか)したため
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その夜(よ)は慙恨(ざんこん)の情(じょう)に駆(か)られて、一睡(すい)だもせず、翌朝(よくちょう)遂(つい)に意(い)を决(けっ)して、局長(きょくちょう)の所(ところ)へと詑(わび)に出掛(でかけ)る。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
アヽ是を見ればこそ浮世話も思いの種となって寝られざれ、明日は馬籠峠(まごめとうげ)越えて中津川(なかつがわ)迄(まで)行かんとするに、能(よ)く休までは叶(かな)わじと行燈(あんどん)吹き消し意(い)を静むるに、又しても其(その)美形
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さういふ町内に僕(ぼく)の將棋(せうき)の好敵(こうてき)手がゐる。改(あらた)まつて紹介(せうかい)すれば、新美術(じゆつ)院(いん)會員(いん)、國畫(ぐわ)會總帥(そうすい)の梅原龍(りう)三郎畫伯(ぐわはく)その人だが、なアにお互(たがひ)に負けず嫌(きら)ひで相當意(い)地つ張(は)りでもある二人。
申子(しんし)は(一二五)卑卑(ひひ)、(一二六)之(これ)を名實(めいじつ)に施(ほどこ)す。韓子(かんし)は(一二七)繩墨(じようぼく)を引(ひ)いて事情(じじやう)に切(せつ)に、是非(ぜひ)を明(あきら)かにす、其(そ)れ極(きは)めて(一二八)慘礉(さんかく)にして恩(おん)少(すくな)し。皆(みな)道徳(だうとく)の意(い)に原(もと)づく。
聞れて扨々(さて/\)不審(ふしん)の事共なりと大岡の下役人共當地へ來り一應の斷りもなく支配所(しはいしよ)へ踏込(ふみこみ)候段何共合點(がてん)行ざる儀なり其上前以て内談もなく當役所へ三人の囚人を引渡し候儀旁々(かた/″\)其(そ)の意(い)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
早く早く パラシュートの用意(い)だ!
時(とき)に、今(いま)來(き)た女中(ぢよちう)の註文(ちうもん)が、何(ど)うやら饀子(あんこ)ばかりらしいので、大(おほい)に意(い)を強(つよ)うして然(しか)るべしと思(おも)つて居(ゐ)ると
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
其夜(そのよ)は慙恨(ざんこん)の情(じやう)に驅(か)られて、一睡(すゐ)だも爲(せ)ず、翌朝(よくてう)遂(つひ)に意(い)を决(けつ)して、局長(きよくちやう)の所(ところ)へと詑(わび)に出掛(でかけ)る。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)