“憤”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いきどお41.9%
おこ25.4%
いきどほ9.9%
いか6.2%
む5.2%
いきどほり3.4%
いきど1.7%
いきどおり1.7%
じ0.9%
いかり0.4%
むっ0.4%
おそ0.4%
むく0.4%
むつ0.2%
いき0.2%
いきどう0.2%
じれ0.2%
すね0.2%
ふん0.2%
ぷ0.2%
ぷん0.2%
むず0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
憤(いきどお)りを感じましたが、お手討ちに遇(あ)いました忍びの男には却って不便(ふびん)を催しましたので、たしかその明くる日のことでござりました。
司法主任はスッカリ憤(おこ)っとったよ。当局に申告して消印(スタムプ)のハッキリせぬ集配局を全国に亘って調べ出してくれると云っておったが……
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
後世(こうせい)地上(ちじやう)に來(きた)るべき善美(ぜんび)なる生活(せいくわつ)のこと、自分(じぶん)をして一分(ぷん)毎(ごと)にも壓制者(あつせいしや)の殘忍(ざんにん)、愚鈍(ぐどん)を憤(いきどほ)らしむる所(ところ)の、窓(まど)の鐵格子(てつがうし)のことなどである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
信吾の憤(いか)りは再(また)発した。(有難う御座います。)その言葉を幾度か繰返して思出して、遂に、頭髪(かみ)を掻挘(かきむし)りたい程腹立たしく感じた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いつも憤(む)つとしてゐるやうな不気嫌さうな赤銅色の大きな顔で相手が何か話しかけても碌な返事もせず反方(そつぽ)の空ばかり向いてゐるのだ。
その村を憶ひて (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
これがいつまでわが目の樂なりしやといふ事、大いなる憤(いきどほり)の眞(まこと)の原因(もと)、またわが用ゐわが作れる言葉の事即ち是なり 一一二—一一四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
自己の思想を否定するもの、それに矛盾するものが現われるとき、彼はいたずらに悲しんだり、恐れたり、憤(いきど)おったりすることをしない。
危機における理論的意識 (新字新仮名) / 三木清(著)
おしまいまで読み終った俺は、烈しい嫉妬と憤(いきどおり)とを感ずると同時に、突き放されたような深い淋しさを、感ぜずにはおられなかった。
無名作家の日記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「憤(じ)れったいな。」新吉は優しい舌鼓(したうち)をして、火箸を引っ奪(たく)るように取ると、自分でフウフウ言いながら、火を起し始めた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼は強(し)ひて目を塞(ふさ)ぎ、身の顫(ふる)ふをば吾と吾手に抱窘(だきすく)めて、恨は忘れずとも憤(いかり)は忍ぶべしと、撻(むちう)たんやうにも己を制すれば、髪は逆竪(さかだ)ち蠢(うごめ)きて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
... 俳劇なんぞ百作ったって二百作ったって、亡国の音(いん)じゃ駄目だ」寒月君は少々憤(むっ)として、「そんなに消極的でしょうか。私はなかなか積極的なつもりなんですが」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いとも易々(やすやす)と、一つの美しき魂を奪去(うばいさ)った「犯人」の手ぎわには、嫉妬に似た憤(おそ)ろしさを覚えるのであった。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
課長の奴め恐ろしく憤(むく)れをつた。おれが役所へ行くと、傍へ呼びつけやがつて、かうぬかすのだ。
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
ちらとそれをきいて風(かぜ)は憤(むつ)としました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「あの申し訳ありませんが、僕は支那人ではありません。日本です。どうもとんでもない話だ。だいいち……」と憤(いき)り立ったが、令嬢は相変らず涼しげな眼をみはりながら
狭い町の取沙汰が思ひやられ、少年は眼の色かへて憤(いきどう)つてゐるのだつた。
父の帰宅 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
「こんなに遅々(ぐづぐづ)してをりましたら、さぞ貴方憤(じれ)つたくてゐらつしやいませう」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ある時は牝馬と同じように前足を高く揚げて踴上るさまも見え、ある時は顔と顔を擦(すり)付けて互に懐しむさまも見える。時によると、牝馬はつんと憤(すね)た様子を見せて、後足で源の馬を蹴る。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
〔譯〕憤(ふん)の一字、是れ進學(しんがく)の機關(きくわん)なり。舜(しゆん)何人(なんぴと)ぞや、予(われ)何人ぞや、方(まさ)に是れ憤(ふん)。
彼は、厭な気がして憤(ぷ)つと横を向いた。すると、眼眦(まなじり)が薄ら甘く熱くなるのを感じた。
父を売る子 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
権臣だという自負もあり、さんざんの目に合わされた、うっ憤(ぷん)もあったところから、美作は決行したのであった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
未(ま)だ今夜も御札が剥がれて居りませんので這入(はい)る事が出来ず、お嬢様がお憤(むず)かり遊ばし、私(わたくし)が誠に困りますから、どうぞ二人のものを不便(ふびん)と思召(おぼしめ)してあのお札を剥して下さいまし