“ほ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ホ
語句割合
惚11.2%
褒10.1%
吠8.1%
賞7.6%
乾5.3%
吼4.8%
欲4.7%
掘4.1%
讃3.8%
彫3.7%
干3.0%
頬2.8%
放2.2%
帆2.1%
咆1.8%
穂1.8%
誉1.7%
歩1.7%
吻1.5%
秀1.2%
灯1.1%
刻1.1%
略1.0%
穿0.9%
火0.9%
恍0.9%
抛0.8%
吐0.7%
鑿0.6%
称0.5%
穗0.4%
保0.4%
細0.4%
投0.4%
哮0.4%
這0.4%
讚0.3%
譽0.3%
呆0.3%
祝0.3%
解0.3%
美0.2%
頌0.2%
雕0.2%
堀0.2%
賛0.2%
刺0.1%
鐫0.1%
慾0.1%
補0.1%
眞0.1%
嘷0.1%
些0.1%
圃0.1%
坑0.1%
畝0.1%
耄0.1%
葡0.1%
匍0.1%
善0.1%
墾0.1%
尖0.1%
泣0.1%
熱0.1%
鏤0.1%
堡0.0%
稱0.0%
上0.0%
彫刻0.0%
蒲0.0%
〽惚0.0%
了0.0%
仄0.0%
凡0.0%
剔0.0%
吽0.0%
哱0.0%
唸0.0%
喘0.0%
塹0.0%
壽0.0%
外0.0%
崩0.0%
帆布0.0%
抗0.0%
擲0.0%
放棄0.0%
方0.0%
施0.0%
旱0.0%
暖0.0%
涸0.0%
焔0.0%
燈0.0%
甫0.0%
番0.0%
畮0.0%
祷0.0%
程0.0%
絁0.0%
繊0.0%
脯0.0%
誇0.0%
贊0.0%
輔0.0%
頴0.0%
頼0.0%
飲0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「そりゃア、叔母さんの言うのももっともです、しかし、まア、男が惚(ほ)れ込んだ以上は、そうしてやりたくなるんでしょうから——」
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
「郷に入ったら郷に従えってね、こんなところで気取ったって誰も褒(ほ)めやしないわ、すましてると、あたしたちで裸にしちまうわよ」
竹柏記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「わん。」と高く吠(ほ)えて、いきなり次の扉に飛びつきました。戸はがたりとひらき、犬どもは吸ひ込まれるやうに飛んで行きました。
注文の多い料理店 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
そして二言目には、先生々々と言つて、画家の人柄を賞(ほ)め、画を賞め、側(そば)にゐる舞妓を賞め、舞妓の食べるきんとんを賞めたりした。
米国の黒人は兎脳を生で食えば脳力を強くしまたそれを乾(ほ)して摩(す)れば歯痛まずに生えると信ず(一八九三年版『老兎巫蠱篇(オールド・ラビット・ゼ・ヴーズー)』二〇七頁)
日本で天火、英国で火竜(ファイアドレーク)と言い、大きな隕石(いんせき)が飛び吼(ほ)えるのだ。その他支那で亢宿(こうしゅく)を亢金竜と呼ぶなど、星を竜蛇と見立てたが多い。
「そうじゃない。矢萩は四郎さんみたいな生命知らずを欲(ほ)しがっている。会いに行けば、きっと喜んで、身内になれと大金を積むぜ」
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
いつこの川辺(かわべ)のおれたちの巣(す)も掘(ほ)り返(かえ)されてしまうかわかったものでない。危(あぶ)ないとなったら、どこへか引(ひ)っ越(こ)しをしなけりゃならん。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
どちらでも風向きのよい方に傾く屋根の上で見物の弥次馬は、米友とムクが生命(いのち)がけの曲芸を見てやんやと讃(ほ)め出してしまいました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
(第二十四圖(だいにじゆうしず))壁(かべ)に懸(かゝ)つてゐる牛(うし)、馬(うま)、鹿(しか)などの繪(え)はかれ等(ら)が洞穴(ほらあな)の中(なか)の石壁(いしかべ)に彫(ほ)りつけたり、また描(か)いたりした繪(え)の寫(うつ)しであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「おい君も一つ食(く)つて見ろ」と与次郎が箸(はし)で撮(つま)んで出(だ)した。掌(てのひら)へ載せて見ると、馬鹿貝の剥身(むきみ)の干(ほ)したのをつけ焼(やき)にしたのである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
低い鼻と、膨(ふく)れた赤い頬(ほ)っぺたをもった若者は、五本の指で足りずにモ一つの掌(てのひら)をひろげて数えたてたが、またフイと云い出した。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
ここまで深入りして来た以上カンジンカナメの点を放(ほ)ったらかしたまま、後へ退(ひ)く事は、学者としての良心が第一、許さないだろう。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いくそうかの船は帆(ほ)をいっぱいに張(は)って、一方にかたむきながら、ゆうゆうと川を下って行くと、こちらからは反対に上って行った。
なかには、海豹、海驢(あしか)、緑海豹(グリーン・シール)など十匹ほどのものが、鰭(ひれ)で打ちあいウオーウオーと咆(ほ)えながら、狭いなかを捏(こ)ねかえすような壮観だ。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そっちの方から、もずが、まるで音譜(おんぷ)をばらばらにしてふりまいたように飛(と)んで来て、みんな一度(いちど)に、銀(ぎん)のすすきの穂(ほ)にとまりました。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
お上邸(かみやしき)と違ってお長家(ながや)も広いのを頂戴致す事になり、重役の気受けも宜しく、男が好(よく)って程が善(い)いから老女や中老までも誉(ほ)めそやし
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
みな、生きてかえる戦(いくさ)とは思わないので、張りつめた面色(めんしょく)である。決死のひとみ、ものいわぬ口を、かたくむすんで、粛々(しゅくしゅく)、歩(ほ)をそろえた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
共同水道のような処で水を汲んでいたお婆(ばあ)さんが、「はい帰って参りました」と返事をしてくれたので、私は吻(ほ)っとして路地を抜けた。
貸家探し (新字新仮名) / 林芙美子(著)
が、今はこの気味の悪い藪も狸などはどこかへ逐(お)い払ったように、日の光の澄(す)んだ風の中に黄ばんだ竹の秀(ほ)をそよがせている。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
反古(ほご)を、金の如くのべて、古画を臨摹(りんぼ)する。ほそぼそと燈(とも)る深夜の灯(ほ)かげに、無性髯(ぶしょうひげ)の伸びた彼の顔は、芸術の鬼そのものである。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あれから、大分たちますわ。御商売は、ハンコ屋さんぢやないとおつしやつてゐましたわね、刻(ほ)つて頂いたミトメは大事にして持つてを
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
今では浅草の百貨店松屋が略(ほ)ぼ元の凌雲閣と同じ程の位置にありますので、凌雲閣から見た悪沢のスケッチを持って来ましたが
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
その橋材の両端のツツラを通す穴の穿(ほ)り方は、筏の材木の穴と同じであるらしいが、これも鉄線を代用する時代が来たらどう変るか分らぬ。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その部屋のカミンに燃えている火も、火(ほ)かげの映(うつ)った桃花心木(マホガニイ)の椅子(いす)も、カミンの上のプラトオン全集も確かに見たことのあるような気がした。
彼 第二 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
どうかすると女自身ですら自分の声に聞き恍(ほ)れるほど巧みに唄つた。私も耳を傾けて、知らない世界の方へ連れられて行くやうな気がした。
犬 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いや、抛(ほ)っておけば、あの法然房(ほうねんぼう)以下、善信、聖覚法印、そのほかの裏切者や、売教徒どもが、いよいよなにをしでかすかわからぬ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ写楽が、煙管(きせる)を長く描いたもんだから、後々(あとあと)のうるさがりやが、高い背丈と釣合いの煙管なんて、そんなことを吐(ほ)ざいたそうなんだよ。喜代太郎が、どうして高えもんかな
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
内部(なか)へ這入(はい)るに従って闇は益々深かくなり、天井を見ても左右を見ても、無限に厚い岩ばかり、その面には象形文字や鳥獣の姿が鑿(ほ)ってある。
木乃伊の耳飾 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
とは嗤(わら)わなかった。むしろわしの自慢以上に、称(ほ)め讃(たた)えてくれた。世辞でなく、穴馬の町民や土民は皆、光秀様に心服していた。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝(あさ)の雲(くも)吹散(ふきち)りたり。風(かぜ)凪(な)ぎぬ。藪垣(やぶがき)なる藤豆(ふぢまめ)の、莢(さや)も實(み)も、午(まひる)の影(かげ)紫(むらさき)にして、谷(たに)を繞(めぐ)る流(ながれ)あり。穗(ほ)たで露草(つゆくさ)みだれ伏(ふ)す。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
将卒を強いて戦わしめんとすれば人心の乖離(かいり)、不測の変を生ずる無きを保(ほ)せず。諸将争って左するを見て王の怒るも亦(また)宜(むべ)なりというべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
客のすくない電車の中は放縦(ほうじゅう)なとりとめもないことを考えるにはつごうがよかった。彼の頭の中には細(ほ)っそりした小女(こおんな)の手首の色も浮んで来た。
青い紐 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「こっちには、ちゃんとわかってるんだ。……野郎共、こいつの身ぐるみ、剥(は)がしてしまえ。裸にしたら、瓢箪池に投(ほ)りこめ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
この瞬間、我々にも昨日からの凄まじい響きや哮(ほ)えたけっている狂瀾や、その上に浮んでいる無数の気泡の原因が、ハッと胸を衝いてきたのであった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
とてもえろうて歩けるどこやあれしません、お春どんかて二度ばかり押し戻されて、這(ほ)うて行きましたわ、いろいろなもんが飛んで来ますよってに
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と言(い)ふ、牛切(ぎうき)りの媽々(かゝあ)をたとへもあらうに、毛嬙飛燕(まうしやうひえん)も凄(すさま)じい、僭上(せんじやう)の到(いた)りであるが、何(なに)も別(べつ)に美婦(びふ)を讚(ほ)めるに遠慮(ゑんりよ)は要(い)らぬ。其處(そこ)で
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
用に立つ人物は、十人の内六人譽(ほ)め四人誹(そし)るものである。十人が十人譽めるものは侫奸(ねいかん)である。猶(なほ)一つ心得て置くべきは權道である。これを見切と云ふ。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
骨無しのとろとろ、立つべきを何呆(ほ)けつる。深山(みやま)の一木檞(ひときかし)の、風に立つ樹思へや。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
島の宮のも、寿を祝(ほ)ぐ為の目的から、伝来どほりの名を負せた代用動物だと定めてよい。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
露国の監視船に追われて、スピードをかけると、(そんな時は何度もあった)船のどの部分もメリメリ鳴って、今にもその一つ、一つがバラバラに解(ほ)ぐれそうだった。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
汝是に依りてさとるをえむ、いかなる愛にても愛そのものは美(ほ)むべきものなりと斷ずる人々いかに眞(まこと)に遠ざかるやを 三四—三六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
神を涜(けが)す詞と頌(ほ)める詞と——乳香と血煙とが互いに入りまざった。砲声殷々たる戦闘裡に、世界は征服せられ救済せられた。——
何方(いずかた)にか行かんと行きつ戻りつして労(つか)れ死にせしを埋めたる跡なりとて、林道春(はやしどうしゅん)の文を雕(ほ)りたる石碑立てりとある。
医者(いしや)の内弟子(うちでし)で薬局(やくきよく)、拭掃除(ふきさうぢ)もすれば総菜畠(さうざいばたけ)の芋(いも)も堀(ほ)る、近(ちか)い所(ところ)へは車夫(しやふ)も勤(つと)めた、下男(げなん)兼帯(けんたい)の熊蔵(くまざう)といふ、其頃(そのころ)二十四五歳(さい)、稀塩散(きゑんさん)に単舎利別(たんしやりべつ)を混(ま)ぜたのを瓶(びん)に盗(ぬす)んで
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
ネルロが大画家ルーベンスの魂にむかって、いろいろな賛(ほ)めことばや、思いつめた祈りを捧げているのを聞きました。
こう云って、涙にうるむ男の顔を横目で見ながら、かまわず刺(ほ)って行った。また我慢づよい者がグッと胆を据えて、眉一つしかめず怺えて居ると
刺青 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
名前の下へ印を捺(つ)かねばいくまいと云ふから、袂の中から坂本と鐫(ほ)つた見印(みとめ)を出して捺いてやつたさうです。
いや、犯人はけっして、見物人を慾(ほ)しがっちゃいないさ。君がいま感じたような、心理的な障害を要求しているんだ。どうして彼奴(あいつ)が、そんな病理的な個性なもんか。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
庁の中務省(なかつかさしょう)へゆくまでは範宴にも分らなかったが、出頭してみると、意外にも、奏聞(そうもん)によって、範宴を少僧都(しょうそうず)の位に任じ、東山の聖光院門跡(しょうこういんもんぜき)に補(ほ)せらる——というお沙汰(さた)であった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爲方(しかた)がないから、御酒(ごしゆ)で蟲(むし)を耐へてゐたのが、何時か眞(ほ)んとののむべいになつて了ツたんですけれども、そりや誰だつて好んでのむべいになる者アありやしませんよ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『類函』に虎能く人気を識る、いまだ百歩に至らざるに伏して嘷(ほ)ゆれば声山谷に震う、須臾(しばらく)して奮い躍りて人を搏(う)つ、人勇ある者動かざれば虎止って坐り逡巡(ためらい)耳を弭(た)れて去ると。
彼は何を見せにお見えになったのか知らんが、僕は何も見たい物なんかないといい、これから仕事にかからなければならないから、些(ほ)んのちょっとの間だけお会いするといって、客を茶の間に通した。
陶古の女人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
松陰の幼き、書を挾(はさ)んで壠上(ろうじょう)に読み、義解せざるあれば、直ちに圃(ほ)間の父もしくは叔父に就(つ)いて質(ただ)せりという。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そして、その行動が日没から夜にわたっていたのを幸いに、夜どおしで、道もなさそうな山に一すじの通りを坑(ほ)り、全軍の八割まで山陰の盆地へ、かくしてしまった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老婆はその金で王成にいいつけて三百畝(ほ)の良田を買わせ、屋(いえ)を建て道具を作らしたので、居然たる世家(きゅうか)となった。老婆は朝早く起きて王成に農業の監督をさし、細君に機織(はたおり)の監督をさした。
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
我に二六糧(かて)からんとならば二七力量(りきりやう)の男どもこそ参りつらめ。你がやうの二八耄(ほ)げたる形(さま)してねぶりを魘(おそ)ひつるは、狐(きつね)狸(たぬき)などのたはむるるにや。二九何のおぼえたる術(わざ)かある。
葡(ほ)等(とう)の諸國(しよこく)の語(ご)から轉訛(てんくわ)したもの、及(およ)び梵語系(ぼんごけい)その他(た)のものも多少(たせう)ある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
なぜというに、他の芋虫が匍(ほ)うてきて、これを食い始めても、防ぐ方法がないからである。
動物の私有財産 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
しかるに学殖の富衍(ふえん)なる、老師宿儒もいまだ及ぶに易からざるところのものあり。まことに畏敬すべきなり。およそ人の文辞に序する者、心誠これを善(ほ)め、また必ず揚攉(ようかく)をなすべきあり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
けふよりは、なを養はじ、土を墾(ほ)り種を蒔(ま)けよと。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
竹屋の空春は浅みか一羽の鳥さむざむと翔(かけ)る竹の尖(ほ)の上(うへ)を
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
舞台でも何を泣(ほ)えくさるんじゃい。かッと喧嘩(けんか)を遣れ、面白うないぞ! 打殺(たたきころ)して見せてくれ。やい、腸(はらわた)を掴出(つかみだ)せ、へん、馬鹿な
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
熱(ほ)てる頬(ほ)を埋(うづ)むるごとき
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
其の前に供えた三(み)つ具足は此の頃納まったものか、まだ新しく村名(むらな)が鏤(ほ)り附けてあり、坊さんが畠から切って来たものか黄菊(きぎく)に草花が上(あが)って居ります、すると鼠の単物(ひとえもの)を着
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
生きたる角面堡(ほ)の四壁はそこに横たわり、ただ死骸の間にそこここにあるうごめきがようやくに見らるるのみだった。
かくのごとき光景は、重騎兵によってモスコヴァの大角面堡(ほ)が占領された時いらい、かつて見られない所であった。ミュラーはもはやいなかったが、ネーは再びそこにいた。
顏を蔽うて恥を知れ! あの方はお前の眼を稱(ほ)めるやうなことを、一寸でも仰しやつたか。
そしてもしか私が稱(ほ)められてもいゝやうな事でもしたら、惜しまずに稱(ほ)めて下さるのよ。
上(ほ)つ枝(え)は 天を負(お)へり。
上(ほ)つ枝(え)の 枝(え)の末葉(うらば)は
それは廊下への出入口で、その扉にも昆虫の図が、彫刻(ほ)られてあることはいうまでもない。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その模様も昆虫である。戸外(そと)に向かって二つの窓、その窓縁にも昆虫の図が、非常に手際よく彫刻(ほ)られてある。窓を通して眺められるのは、前庭に咲いている花壇の花で、仄かな芳香が馨って来る。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
子路の仕事は孔家(こうけ)のために宰として蒲(ほ)の地を治めることである。衛の孔家は、魯ならば季孫氏に当る名家で、当主孔叔圉はつとに名大夫の誉(ほまれ)が高い。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
匡(きょう)では暴民の凌辱(りょうじょく)を受けようとし、宋では姦臣(かんしん)の迫害(はくがい)に遭(あ)い、蒲(ほ)ではまた兇漢(きょうかん)の襲撃(しゅうげき)を受ける。諸侯の敬遠と御用(ごよう)学者の嫉視と政治家連の排斥(はいせき)とが、孔子を待ち受けていたもののすべてである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
 〽惚(ほ)れて通(かよ)うに何(なに)怖かろう。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おれは、此世に居なかつたと同前の人間になつて、現し身の人間どもには忘れ了(ほ)されて居るのだ。憐みのないおつかさま。おまへさまは、おれの妻の、おれに殉死(ともじ)にするのを、見殺しになされた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
シイカが橋を渡るまでけっして外したことのない仮面が、仄(ほ)の明りの中で、薄気味悪い無表情を示して、ほんのりと浮び上っていた。
橋 (新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
沙魚(はぜ)と鮎並(あいなめ)を買って、それで酒を飲んだ。うまかった。沙魚は丁度(ちょうど)懐卵期で、卵も凡(ほ)ぼ熟しかかっていたが、それでもうまかった。晩に高梨を訪ねた。
剔(ほ)りくじるまだ見ぬ海の靈獸(くしけもの)
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
「なんでおれを縛りゃあがるのだ」と、友蔵は吽(ほ)えるように呶鳴った。
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
宮はその梗概(あらまし)を語れり。聴ゐる母は、彼の事無くその場を遁(のが)れ得てし始末を詳(つまびら)かにするを俟(ま)ちて、始めて重荷を下したるやうに哱(ほ)と息を咆(つ)きぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
暗いなかで獣の唸(ほ)える声がけたたましく聞えた。同時にここへ駈けてくる草履の音が聞えた。
半七捕物帳:23 鬼娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ト、いひつつ咳(しわぶき)一咳(ひとつ)して、喘(ほ)と吻(つ)く息も苦しげなり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
そのバーク州の白馬(ホワイト・ホールス)というは、絶頂の高さ海抜八五六フィートある白馬山の北側巓(いただき)より少し下に塹(ほ)り付けた長三七四フィート、深さおよそ二フィートの巨馬像で、面積二エーカーほどあり。
見るが如し所によりて囃(はや)し詞(ことば)の斯く變るは面白し此の外(ほ)かにいろ/\歌あれど今作り添へたるものにて卑俗聽くに堪(たへ)ず諸國風俗唄の古きにはよきが多し是等取調べて惡(あし)きは捨てよきを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
砂山が急に崩(ほ)げて草の根で僅(わずか)にそれを支(ささ)え、其(その)下(した)が崕(がけ)のようになって居(い)る、其根方(ねかた)に座って両足を投げ出すと、背は後(うしろ)の砂山に靠(もた)れ、右の臂(ひじ)は傍らの小高いところに懸(かか)り、恰度(ちょうど)ソハに倚(よ)ったようで
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
其船の船頭は目腐(めくさ)れの中年の男で、今一人の若い方の船頭は頻りに荷物を運んで居た。髪を束ねた上(かみ)さんは苫(とま)やら帆布(ほ)やらをせつせと片付けて居た。
朝 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「おれの持船も、ことし中には百艘になろう。国もとで抗(ほ)らせている鉱山(かなやま)も、来年からは黄金を生むだろう。夜が明けて、鳥が啼けば、金が殖(ふ)える——」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青草(あをくさ)の中(なか)に身(み)を沒(ぼつ)して居(ゐ)る毒蛇(どくじや)に直接(ちよくせつ)手(て)を觸(ふ)れようとするものは一人(にん)もないけれど、遠(とほ)くから土塊(どくわい)を擲(ほ)つたり、棒(ぼう)の先(さき)でつゝいたり徒(いたづ)らに怒(おこ)る牙(きば)を振(ふる)はせることは彼等(かれら)の好(この)んでする處(ところ)であつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ただ普通の習慣に従って逢おうとすればすぐにでもあえるのであるが、女の方から進んで何とか言ってくるまではしばらく放棄(ほ)っておこう。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「冷(つめ)たくつて本當(ほんと)に晴々(せえ/\)とえゝ水(みづ)ぢやねえか、俺(お)ら方(ほ)の井戸(ゐど)見(み)てえに柄杓(ひしやく)で汲(く)み出(だ)すやうなんぢや、ぼか/\ぬるまつたくつて」おつたは復(ま)た獨語(ひとりごと)をいつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
最も強いものであると思われる、眼前の常念山脈では、大天井と燕岳に乱れた雲が、組んず施(ほ)つれつしている。
槍ヶ岳第三回登山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
今日実習(じっしゅう)が済(す)んでから農舎(のうしゃ)の前に立ってグラジオラスの球根(きゅうこん)の旱(ほ)してあるのを見ていたら武田(たけだ)先生も鶏小屋(にわとりごや)の消毒(しょうどく)だか済んで硫黄華(いおうか)をずぼんへいっぱいつけて来られた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「そら、持ってけ、持ってけ。賭博場(ぼんござ)のまじないだ。みを食えば暖(ほ)か暖(ほ)かだ。」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
海を渡って少眠(まどろ)む内、諸竜にその珠を盗まれしが、眼覚めて、珠を復(とりかえ)さずばついに空しく帰らじと決心し、一の亀甲を捉(と)って海水を汲み涸(ほ)さんとした。
(毛綱を振って見せ)そなたと娘を一体にくくし、永劫(えいごう)の青銅(せいどう)の像にしてのける。そして未来、世々生々、この恋の双生像を見るものには、一目で身を焼く程の恋の焔(ほ)むらを起させる。阿難どの。
阿難と呪術師の娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
有明の燈(ほ)かげにふたりの子の寝顔を見まもっていると、やがて温かなおちついた気持がわいてき、それがしぜんと良人のうえにつながるのだった。
日本婦道記:忍緒 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
廻らんと桐山(きりやま)三甫(ほ)が見世の角迄(かどまで)來りし時足の爪先(つまさき)へ引掛る物ありしゆゑ何心なく取上見れば縮緬(ちりめん)の財布(さいふ)なりしかば町内を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ここを以ちて番(ほ)の仁岐(ににぎ)の命、初めて高千(たかち)の巓(たけ)に降(あも)り八、神倭(かむやまと)の天皇(すめらみこと)九、秋津島に經歴したまひき。化熊川より出でて、天の劒を高倉に獲、生尾徑(こみち)を遮(さへ)きりて、大き烏吉野に導きき。
また「余既ニ蘭ヲ滋ウルコト九畹(えん)ナリ又蕙ヲ樹ウルコト百畮(ほ)ナリ」とも出で、『詩経』には「士ト女ト方ニ蕑ヲ秉ル」(蕑はすなわち蘭である)とあり
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
水戸(みなと)の神の孫(ひこ)櫛八玉(くしやたま)の神膳夫(かしはで)二一となりて、天つ御饗(みあへ)二二獻る時に、祷(ほ)ぎ白して、櫛八玉の神鵜に化(な)りて、海(わた)の底に入りて、底の埴(はこ)を咋(く)ひあがり出でて二三、天の八十平瓮(びらか)二四を作りて
「こつちはそれ程(ほ)だひどかねえやそんでもなあ」おつぎは安心(あんしん)したやうにそつと手(て)を放(はな)した。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
水はあまりなかったが、大きな一枚石で、下りられそうもない、崖へ来ると、雪解の水が、ちょろちょろ流れる、その上へ翳(かざ)した白樺の細い幹が、菅糸を巻いたような、白い皮を絁(ほ)ぐらかして
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
海風に髪を嬲(なぶ)らせている、繊(ほ)っそりとしたスパセニアの姿を眺めているうちに、私は勝気なくせに淋しそうな娘の、美しいからだを力一杯抱き締めてやりたいような
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
李徳裕その世を惑わすを恐れ、かつて捕えてこれを脯(ほ)す、竜またついに神たる能わざるなり〉、これは美麗な大蠑螈(いもり)を竜と崇めたのだ。
『此(この)温泉(をんせん)に來(く)るお客(きやく)さんの中(うち)じア旦那(だんな)が一等(とう)だ。』と大(おほ)げさに贊(ほ)めそやす。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
田内主税、名は輔(ほ)、月堂と号す、会津の人だと云ふのみである。わたくしは嘗て正堂の一号をも見たことがある。市河三陽さんに聞けば、輔は親輔の省で、字(あざな)は子友であつたと云ふ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ゆえに雨天(うてん)の日は終日(しゅうじつ)開かなく、また夜中もむろん閉(と)じている。閉じるとその形が筆(ふで)の頴(ほ)の形をしていて捩(ねじ)れたたんでいる。色は藍紫色(らんししょく)で外は往々褐紫色(かっししょく)を呈(てい)しているが、まれに白花のものがある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
母君(はゝぎみ)の頼(ほ)にキスして行(ゆ)き給ふ愛らしさ、傍目(わきめ)にも子を持たぬ人の覚え能(あた)はぬ快さを覚え申し候(さふらふ)。巴里(パリイ)とははや三時間も時の違ひ候(さふら)ふらん。味気(あぢき)なく候(さふら)ふかな。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
丈八は、冷えたのを飲(ほ)して
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)