“倚”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
よ94.0%
もた1.9%
も1.2%
かか0.7%
ヨ0.5%
か0.5%
よっ0.2%
かたぶ0.2%
き0.2%
よら0.2%
より0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
大異は林の中へ入ってすぐそこにあった大木の根本へ坐って、幹に倚(よ)っかかり、腰の袋に入れていた食物を摘(つま)みだして喫(く)いはじめた。
太虚司法伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
兵卒らがその死人を舁(か)き出して、うしろの壁に倚(もた)せかけると、冬瓜(とうが)のような大きい玉がその懐中から転げ出したので、驚いて更に検査すると
襖(ふすま)をあけて、椽側(えんがわ)へ出ると、向う二階の障子(しょうじ)に身を倚(も)たして、那美さんが立っている。顋(あご)を襟(えり)のなかへ埋(うず)めて、横顔だけしか見えぬ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
福介(ふくすけ)もその一人で、今から五年前、出羽の秋田から江戸へ出て来て、倚(かか)るつもりの忰や娘に先立たれ、知らぬ他国で如何(どう)しようもなくなって
午前二時に朝の来る生活に、村びとも、宮びとも、忙しいとは思はずに、起きあがる。短い暁の目覚めの後、又、物に倚(ヨ)りかゝつて、新しい眠りを継ぐのである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「どうか一つ。私もこの年になって倚(か)かる子はなし、依怙(たより)にするのは貴方(あなた)一人なんだから」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お島は帯をときかけたままの姿で、押入に倚(よっ)かかって、組んだ手のうえに面(おもて)を伏せていた。疳癪(かんしゃく)まぎれに頭顱(あたま)を振たくったとみえて、綺麗(きれい)に結った島田髷の根が、がっくりとなっていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
旅硯(たびすずり)とり出でて、御灯(みあかし)の光に書きつけ、今一声もがなと耳を倚(かたぶ)くるに、思ひがけずも遠く寺院の方より、七三前(さき)を追(お)ふ声の厳(いかめ)しく聞えて、やや近づき来たり。
「いかなる人も農奴と領主、家臣と藩主、俗人と僧侶という風に相倚存——倚(き)存の倚(き)は倚(よ)るという字ね、ニンベンの——相倚存していることが見出される」
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
かく呟(つぶや)きつつ庭下駄を引掛(ひきか)け、急ぎ行きて、その想へるやうに燈籠に倚(よら)しめ、頬杖を拄(つか)しめ、空を眺めよと教へて、袂(たもと)の皺(しわ)めるを展(の)べ、裾(すそ)の縺(もつれ)を引直し、さて好しと、少(すこし)く退(の)きて姿勢を見るとともに
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
造次(ぞうじ)何ぞ曾て復讎を忘れん 門に倚(より)て媚(こび)を献ず是(これ)権謀 風雲帳裡無双の士 歌舞城中第一流 警柝(けいたく)声は沉む寒堞(かんちよう)の月 残燈影は冷やかなり峭楼(しようろう)の秋 十年剣を磨す徒爾(とじ)に非ず 血家血髑髏を貫き得たり
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)