“あら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アラ
語句割合
露15.9%
顕11.9%
非10.8%
洗9.7%
粗8.4%
荒7.1%
暴6.6%
現4.2%
新3.5%
見3.0%
顯2.0%
著1.8%
凡1.8%
有1.5%
疎1.0%
表0.9%
総0.9%
改0.4%
検0.4%
欠点0.4%
麁0.4%
在0.3%
濯0.3%
更0.3%
滌0.3%
呈0.2%
形0.2%
陽0.2%
彰0.2%
悉0.2%
抗0.2%
表現0.2%
麤0.2%
散0.1%
否0.1%
凡有0.1%
争0.1%
全0.1%
概0.1%
猛0.1%
獰0.1%
粗暴0.1%
缺點0.1%
覚0.1%
開0.1%
惡0.1%
爭0.1%
籾0.1%
験0.1%
兆0.1%
兇暴0.1%
匪0.1%
在世0.1%
大0.1%
大海0.1%
弱点0.1%
徴0.1%
忍0.1%
旌0.1%
曝0.1%
標0.1%
檢0.1%
汎0.1%
灌0.1%
発現0.1%
発覚0.1%
發0.1%
盪0.1%
租0.1%
粗笨0.1%
糙0.1%
總0.1%
証0.1%
詮索0.1%
調0.1%
象0.1%
霰0.1%
露現0.1%
露顕0.1%
露顯0.1%
非点0.1%
顕現0.1%
骨0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
後事(こと)露(あら)われ夫惧(おそ)れて妻を離縁したと載せ、スプレンゲルはある人鬼がその妻を犯すを睹(み)、刀を揮(ふる)うて斬れども更に斬れなんだと記す。
其富士が次第に迫り上って、峠の入口正面に前山を跨いで白い雲の上に全容を顕(あら)わした時には、峠の頂上に着いていた。八時である。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
室は綺麗(きれい)に掃除されたり。床の間の掛物、花瓶(かびん)の挿花(さしばな)、置物の工合なんど高雅に見えて一入(ひとしお)の趣きあるは書生上りの中川が嗜(たしなみ)に非(あら)ず。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
鍬(くは)を擔(かつ)いで遺跡(ゐせき)さぐりに歩(ある)き、貝塚(かひづか)を泥(どろ)だらけに成(な)つて掘(ほ)り、其(その)掘出(ほりだ)したる土器(どき)の破片(はへん)を背負(せお)ひ、然(さ)うして家(いへ)に歸(かへ)つて井戸端(ゐどばた)で洗(あら)ふ。
が、そのほかの連中は、広間で細君たちと一緒に、前のほうの粗(あら)ビロオドの椅子や、壁際の所に腰かけながら、踊りを見物していた。
モミの木は、ちょっと荒(あら)っぽく床(ゆか)に投げだされましたが、すぐに下男が、お日さまの照っている、階段の方へ引きずっていきました。
もしそうならば暴(あら)い詞(ことば)をかけるのではなかったと、半七は少し気の毒になって元来た方をふり返ると、男の姿はもう見えなかった。
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
又(また)日本(にほん)の小説(せうせつ)によく現(あら)はれる魔法遣(まはふづか)ひが、不思議(ふしぎ)な藝(げい)を演(えん)ずるのは多(おほ)くは、一半(はん)は佛教(ぶつけう)から一半(はん)は道教(だうけう)の仙術(せんじゆつ)から出(で)たものと思(おも)はれる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
この方面で新(あら)たに発見された諸国のうちでは、日本国民のみがキリスト教を伝えるのに適している。かく彼は力強く主張しているのである。
鎖国:日本の悲劇 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
否(い)な会はざるにあらざるべし、作者の彼を写して粋癖を見(あら)はすや、已(すで)に恋愛と呼べる不粋者を度外視してかゝれるを知らざる可からず。
御酒(ごしゆ)をめし上(あが)つたからとて快(こゝろよく)くお醉(ゑ)ひになるのではなく、いつも蒼(あを)ざめた顏(かほ)を遊(あそ)ばして、何時(いつ)も額際(ひたひぎは)に青(あを)い筋(すぢ)が顯(あら)はれて居(を)りました。
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ところで、最初それと類推させたものを話すことにしよう。マームズベリー卿が著(あら)わした『ジョン・デイ博士鬼説』という古書がある。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
凡(あら)ゆる人間の姿態と、あらゆる色彩の閃きと、また凡ゆる国籍の違った言葉の抑揚とが、框の区切りの中にぎっしり詰っている。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「この店さえ出来あがれば、少し資本を拵(こしら)えて、夏の末には己が新趣向の広告をまいて、有(あら)ゆる中学の制服を取ろうと思っている」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あたりを片付け鉄瓶(てつびん)に湯も沸(たぎ)らせ、火鉢(ひばち)も拭いてしまいたる女房おとま、片膝(かたひざ)立てながら疎(あら)い歯の黄楊(つげ)の櫛(くし)で邪見(じゃけん)に頸足(えりあし)のそそけを掻(か)き憮(な)でている。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おつぎのまだ短(みじか)い身體(からだ)は麥(むぎ)の出揃(でそろ)つた白(しろ)い穗(ほ)から僅(わづか)に其(そ)の被(かぶ)つた手拭(てぬぐひ)と肩(かた)とが表(あら)はれて居(ゐ)る。與吉(よきち)は道(みち)の側(はた)の薦(こも)の上(うへ)に大人(おとな)しくして居(ゐ)る。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼はその一個の意志で、総(あら)ゆる心の暗さを明るさに感覚しようと努力し始めた。もう彼にとって、長い間の虚無は、一睡の夢のように吹き飛んだ。
花園の思想 (新字新仮名) / 横光利一(著)
始(はじ)め村中殘(のこら)ず存じ申さずとの答(こた)へなれば少しも手懸(てがか)りはなきに次右衞門の思ふ樣是は村中申合(まをしあは)せ掛り合を恐れて斯樣(かやう)に申立るならんと席(せき)を改(あら)ため威儀(ゐぎ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さあ! どうぞ。よく検(あら)ためてお受取り下さいませ! お預りしたときと、寸分違つてゐない筈ですから。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
同僚の仕事に欠点(あら)を見付けては、密かにそれを雇主に告げる習慣があって、其のため、教会へ行かない大工の間では、余り評判が好くなかったこともある。
双面獣 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
よつて弟が購(か)ひ来りしものを視るに、銀色にして上光(うはびかり)無く、球形にして少しく肌麁(あら)し。
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
頼(たのみ)ける故七右衞門は委細呑込(のみこみ)然る上は佐(すけ)十郎樣郷右衞門樣とても此方(こなた)に在(あら)れては宜しからず御兄弟樣の御供して手前の方へ御越(おこし)成(なさ)るべしとて伴(ばん)建部(たてべ)夫婦の者も倶(とも)に主從都合六人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
筑摩川春ゆく水はすみにけり消て幾日(いくか)の峯の白雪とは順徳院(じゆんとくゐん)の御製(ぎよせい)とか大(おほい)なる石の上にて女衣(きぬ)を濯(あら)ふ波に捲き取(とら)れずやと氣遣(きづかは)る向の岸の方(かた)に此川へ流れ入る流に水車(みづぐるま)を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
じやが先(ま)づラクダルさんに試驗(しけん)をして貰(もら)はなければならぬ、其上でお前に怠惰屋(なまけや)になるだけの眞實(ほんたう)の力倆(りきりやう)があると定(きま)れば、更(あら)ためてお前を彼(あ)の人の弟子(でし)にして貰(もら)ふ、如何(どう)だ、これは?
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
といったかと思うと、伴れている金甲神が、もう刀を抽(ぬ)いて、周の腹を裂いて、その臓腑をだして滌(あら)って、もとの通りに収め、その上に四角な竹の笠を伏(ふ)せ、釘をその四隅に打ったが
歌には「白露重み」とあるから、もっと露を帯びたら帯びたらしい姿を呈(あら)わし、これを見る人にもそれがはっきりと判かる様でなければならない理窟ではないか。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
彼は驚きてわが黄なる面を打守りしが、我が眞率なる心や色に形(あら)はれたりけん。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
陽(あら)はに鳳輦(ほうれん)の巡(じゆん)を為す
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
花鳥風月、渾(すべ)て是れ自然が自己を彰(あら)はすべき形式たるに過ぎざるを知る。彼れは物質と機関との排列として自然を見る能はず、大なる意味、不思議なる運行を遂ぐる者として之れを見る。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
悉(あら)ゆる結婚の裏面には両性の一生の雰囲気がまつわつてゐる。
結婚と恋愛 (新字旧仮名) / エマ・ゴールドマン(著)
抗(あら)がうことのできぬ権威の前に立たされたような気持で、だまっていた。神妙らしくしているほか、手も足も出ない立場なのだ。
雑居家族 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
表現(あら)わしているのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
粗(あら)い衣を纏(まと)ひ麤(あら)い詞(ことば)を使ひ、面白くなく、鄙(いや)しく、行詰つた、凄(すさま)じい、これを絵画にして象徴的に現はせば餓鬼(がき)の草子の中の生物のやうな、或は小説雑話にして空想的に現はせば
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
戦の場(にわ)にある猛き軍人の群も散(あら)け
天子より以(もっ)て庶人に至るまで、一に是(こ)れ皆身を修むるをもって本(もと)を為(な)す。その本乱れて末治まる者は否(あら)じ矣(い)
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
凡有(あら)ゆる物の混沌の、凡有ゆる物の矛盾の、それら全ての最頂点(パラロキシミテ)に於て、羽目を外して乱痴気騒ぎを演ずるところの愛すべき怪物が、愛すべき王様が、即ち紛(まぎ)れもなくファルスである。
FARCE に就て (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
二人(ふたり)が、言(い)い争(あら)うと、母(はは)は
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
全(あら)ゆる新流行に対して、その深い原理性を丹念に研究しなくとも直截(ちょくせつ)に感覚からして其(そ)の適応性優秀性を意識出来(でき)る敏感(びんかん)さを目立って発達させて来た。
御徒町(おかちまち)に転宅(ひっこ)しまして病気も概(あら)かた癒(なお)りました。
「いいえそれにもう一つ、猛(あら)い獣に食われますよ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
街上の美人と稱す可き人相(フイジオノミイ)にも出くはさない。立派な店を張つてゐる家の主人や番頭の顏もまだ都會化せられて居ないで、獰(あら)い植民地的の相貌を呈して居る。
京阪聞見録 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
と小人の常態(つね)とて語気たちまち粗暴(あら)くなり、膠(にべ)なく言い捨て立たんとするにあわてし十兵衛、ではござりましょうなれど、と半分いう間なく、うるさい、喧(やかま)しいと打ち消され
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「お互にスツかり缺點(あら)をさらけ出して了(しま)ツたからよ。加之(おまけに)體力の不平均といふのも重(かさ)なる原因になツてゐる。自體女は生理上から謂(い)ツて娼妓(しやうぎ)になツてゐる力のあるものなんだ、お前は殊に然(さ)うだ!」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
島原の乱に反徒に党(くみ)して城中に在ったが、悔悟して内応を謀り、事覚(あら)われて獄中に囚(とら)われていたが、乱平(たいら)ぎたる後ち、伊豆守はこれを赦して江戸に連れ帰り、吉利支丹の目明しとしてこれを用いた。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
「はい、同役とも相談をいたしまして、昨日(きのう)にも塞(ふさ)ごうと思いました、部屋(と溜(たまり)の事を云う)の炉(ろ)にまた噛(かじ)りつきますような次第にござります。」と中腰になって、鉄火箸(かなひばし)で炭を開(あら)けて
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その泣く状(さま)は、青山は枯山なす泣き枯らし河海(うみかは)は悉(ことごと)に泣き乾(ほ)しき。ここを以ちて惡(あら)ぶる神の音なひ二二、狹蠅(さばへ)なす皆滿(み)ち、萬の物の妖(わざはひ)悉に發(おこ)りき。
諸の神たちに示(み)せて詔りたまはく、「もし天若日子、命(みこと)を誤(たが)へず、惡(あら)ぶる神を射つる矢の到れるならば、天若日子にな中(あた)りそ。もし邪(きたな)き心あらば、天若日子この矢にまがれ一六」
發(おこ)すべきと怒(いか)りつ泣つ爭(あら)さうに番頭久兵衞は左右(とかく)に冷笑(あざわら)ひナニサ其樣に子供欺(だま)しの泣聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
我家へ連行(つれゆき)つ何で喧嘩(けんくわ)をなされたと問ばお光は面はゆ氣(げ)に物爭(あら)そひせし解(わけ)ならず二個(ふたり)泪を翻(こぼ)してゐたるは斯樣々々の次第なりと婚姻破談(はだん)に成し事を包(つゝま)ず告ればお金は驚きあれ程までに手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次(かんじ)はお品(しな)がどうにか始末(しまつ)をして置(お)いた麥藁俵(むぎわらだはら)を明(あ)けて仕上(しあ)げた計(ばか)りの藁俵(わらだはら)へ米(こめ)を量(はか)り込(こ)んだ。米(こめ)には赤(あか)い粒(つぶ)もあつたが籾(あら)が少(すこ)し交(まじ)つて居(ゐ)てそれが目(め)に立(た)つた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「籾(あら)が少(すこ)したかゝつたな」勘次(かんじ)はふとさういつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「まア!」と言って妻は真蒼(まっさお)になった。自分は狼狽(あわて)て二(ふたつ)の抽斗を抽(ぬ)き放って中を一々験(あら)ためたけれど無いものは無い。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「ハイ確かに百円。渡しましたよ。験(あら)ためて下さい」と紙包を自分の前に。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
然しこういう人間は、松井の四人兄弟ばかりでなく、すでに末期相を兆(あら)わした頽廃(たいはい)文化の中には、ほかにも、類型が沢山うごめいていたに違いない。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(進一さんだって、わずかな金——小判一枚のゆきちがいぐらいで、人を叩き倒すような兇暴(あら)い性質(たち)の人じゃアないから安心だわ)
猿ヶ京片耳伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「詩に、兕(じ)に匪(あら)ず虎に匪ず、彼の曠野に率(したが)う、という句があるが覚えているかの。」
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
只(たヾ)一人(ひとり)ありし妹(いもと)の我(わ)れと非常(ひじやう)に中(なか)よかりしが、今(いま)は亡(う)せて何(なに)もなき身(み)、その妹(いもと)が姉樣(ねえさま)に正寫(そつくり)にて、今(いま)も在世(あら)ばと戀(こひ)しさ堪(た)へがたく、お前樣(まへさま)に姉樣(ねえさま)なれば我(わ)れには妹(いもと)の樣(やう)に思(おも)はれて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大(あら)いところは目につくから——ヘッ、鰻(うなぎ)だと思ってるんだね、小串(こぐし)のところをやったのでね。性質(たち)(石の)のいいやつばかりお好みと来たのさ。
じゃ、まあそう可怖(おっかな)そうにきょろきょろ立っていなくとも好う御座んさあね、お婆さん、誰が知ってるもんですか。それに此方(こちとら)だってお互に何も弱点(あら)の拾いっこを
ところがこの形勢が最近に至りまして意外の変化を徴(あら)わしはじめたのであります。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
然れども待ちつる情をあらはしまをさずては悒(いぶせ)くてえ忍(あら)じと思ひて、百取の机代物を持たしめて参出でたてまつりき。
枕物狂 (新字旧仮名) / 川田順(著)
これかの尊者の非業の死を旌(あら)わすためにこの晨(あさ)のみ現ずる物の由
なにしろ、御息女は、御寵愛が激しかったので、中老方の嫉妬(しっと)も多いゆえ、これが曝(あら)われたら、大事にもなろうというもの——
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
標(あら)はし示(しめ)すたふとさよ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
祿兵衞は默つて紙入れを取上げましたが、一通り中を檢(あら)ためて
広海屋(ひろうみや)を謀師とした、奉行代官(ぶぎょうだいかん)浜川平之進、役人横山五助——それからおのが店の子飼いの番頭、三郎兵衛の悪業で、汎(あら)ゆる術策(じゅっさく)を揮(ふる)って、手堅さにおいては、長崎一といわれていた
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
四月八日の祭の日に木馬を灌(あら)い奉るより外の用には用いざる水であったという(蕉雨雑筆)。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
どっちへ行こうかと森林の中を途方に暮れて見廻した時、またも奇蹟が発現(あら)われた。こっちへ来いというように丈なす草が苅り取られ小径が出来ているではないか!
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
冬十月戊辰(つちのえたつ)朔己巳(つちのとみ)、皇子大津謀反(むほん)発覚(あら)はれぬ。皇子大津を逮捕(とら)ふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
ソレを輕々しく益なき事を言行に發(あら)はすと云ふのは、之を喩へば商人が金儲けの事を想像するばかりで、其金をマダ握らぬ中に一寸奢りの眞似をすると云ふ、そんな奴に儲出すことが出來るものか
生来この藻は流水や噴泉で不断盪(あら)わるる処に生えるがその胞子が偶然止水中に入って困(くる)しんだ余り一計を案じ魚に託生してその魚が游(およ)ぐとちょうど生活に必要ほどな振動を
腫(は)れぼつたい一重瞼(ひとへまぶた)の、丸顔の愛くるしい娘だ。紫の租(あら)い縞(しま)の縒上布(よりじやうふ)の袖の長い単衣(ひとへ)を着て、緋の紋縮緬(もんちりめん)の絎帯(くけおび)を吉弥(きちや)に結んだのを、内陣(ないぢん)から下(お)りて来た貢さんは美(うつ)くしいと思つた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
吾々みたいな粗笨(あら)っぽい頭では、どこに虚構(おち)が在るか見当が附かないんだ。そこで止むを得ず受太刀(うけだち)にまわって、南鮮沿海の漁民五十万の死活に関する所以(ゆえん)を懇々と説明すると
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一体スウェーデン人はよほど妊婦の心得に注意したと見えて妊婦が鋸台の下を歩けば生まるる子の喉が鋸を挽くように鳴り続け、斑紋ある鳥卵を食えば子の膚糙(あら)くて羽を抜き去った鶏の膚のごとし
朝子は總(あら)ゆる子供の足跡や玩具(おもちゃ)などを見ては、何となく胸が迫って、寂しい心持になって行った。
秋は淋しい (新字旧仮名) / 素木しづ(著)
葉公、孔子に語って曰く、吾が党に直躬(ちょっきゅう)というものあり、その父、羊を攘(ぬす)みて、子之(これ)を証(あら)わせり。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
夫(それ)が貴方(あなた)、段々(だん/″\)詮索(あら)つて見ますると私(わたし)と少し内縁(ひつかゝり)の様(やう)に思はれます、仮令(たとへ)身寄(みより)でないにもせよ功徳(くどく)の為(ため)に葬式(とむらひ)だけは私(わたし)が引受(ひきう)けて出してやりたいと存(ぞん)じますが
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
……密淫売で洲崎署に十八日喰(くら)いこんでいて、今朝の十時にようやく出てきたばかりだったんだからねえ、話にもなにもなりやしないさ。……しかし、南風太郎の身元だけは調(あら)ってきたよ。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
武蔵は、萌(も)え出(いず)る植物の本能のように、体のうちから外へ向って象(あら)われようとして熄(や)まないものに、卒然(そつぜん)と、筋肉がうずいてくるのを覚えた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の両の掌(て)は、へっぴり腰を立てた酔眼の棟梁を殴りつけていた。交互にぱたぱたと、霰(あら)れのように、肉の鳴る音がひびくのだ。何かを呻(うめ)いてげっと俯伏(うつぶ)せになる酔漢の腰をけとばしていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
試みながらも其色を露現(あら)わさず相も変らぬ静かなる顔付なり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
署長(しょちょう)の顔付(かおつき)が別(べつ)であったとか思(おも)って、何(な)んでもこれは町(まち)に重大(じゅうだい)な犯罪(はんざい)が露顕(あら)われたのでそれを至急(しきゅう)報告(ほうこく)するのであろうなどと極(き)めて、頻(しき)りにそれが気(き)になってならぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
署長(しよちやう)の顏付(かほつき)が別(べつ)で有(あ)つたとか思(おも)つて、何(な)んでも此(こ)れは町(まち)に重大(ぢゆうだい)な犯罪(はんざい)が露顯(あら)はれたので其(そ)れを至急(しきふ)報告(はうこく)するのであらうなどと極(き)めて、頻(しき)りに其(そ)れが氣(き)になつてならぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
笹村の臆病な冷たい目は、これまでに触れて来た女の非点(あら)ばかりを捜して行った。
黴 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
……今から一千百余年前、大唐の玄宗皇帝の淫蕩は、青年紳士、呉青秀の忠志に反映して、六体の美人の腐敗像をこの一巻の中に顕現(あら)わした。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
仮令(たとえ)ば、沙魚の餌付は、でも紳士の立食会に、眼を白黒して急(せ)き合ひ、豚の骨(あら)を舐(しゃぶ)る如く、鮒は妙齢のお嬢さんが、床の間つきのお座敷に座り、口を細めて甘気の物を召し上る如く
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)