“纏”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
まと73.8%
まとま12.9%
まつ5.1%
まつわ2.2%
まとい1.9%
ま0.7%
まつは0.6%
まとひ0.6%
マ0.5%
まとわ0.4%
くる0.2%
マト0.1%
から0.1%
つつ0.1%
へば0.1%
まける0.1%
まとめ0.1%
まとゐ0.1%
もつ0.1%
マトヒ0.1%
マトマ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
世にも稀な大悪人、天下を騙(だま)し取ろうとした大かたり、こんな恐ろしい名が、きっとあの男に永く永くつき纏(まと)うに違いございませぬ。
殺された天一坊 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
固(もと)より纏(まとま)った話の筋を読ませる普通の小説ではないから、どこで切って一冊としても興味の上に於(おい)て左(さ)したる影響のあろう筈(はず)がない。
何気なく隣境の空を見上げると高い樹木の梢(こずえ)に強烈な陽の光が帯のように纏(まつ)わりついていて、そこだけが赫(かっ)と燃えているようだった。
苦しく美しき夏 (新字新仮名) / 原民喜(著)
脱ぎ捨てた彼女の古い衣は彼女の片足に纏(まつわ)りついた。そうして、彼女の足が厚い御席(みまし)の継ぎ目に入ると、彼女は足をとられてどっと倒れた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
に組の纏(まとい)持ちで大さんてえあにいがいたが、としはおれより三つも下だった、それがおめえてえした人間でよ、火事のときに纏を
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
人麿歌集にある歌で、「児等(こら)が手を巻向(まきむく)山は常(つね)なれど過ぎにし人に行き纏(ま)かめやも」(巻七・一二六八)と一しょに載っている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「どうしたんでえ、よきは」おつぎは見(み)ると針(はり)が向(むかふ)の岸(きし)から出(で)た低(ひく)い川楊(かはやなぎ)の枝(えだ)に纏(まつは)つて絲(いと)の端(はし)が水(みづ)について下流(かりう)へ向(む)いて居(ゐ)る。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さうすると内骨屋町筋(うちほねやまちすぢ)から、神明(しんめい)の社(やしろ)の角をこつちへ曲がつて来る跡部(あとべ)の纏(まとひ)が見えた。二町足らず隔たつた纏(まとひ)を目当(めあて)に、格之助は木筒(きづゝ)を打たせた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
其根方を樒の葉と葛蔓(クズカヅラ)で纏(マ)き厳(カザ)る野間(ノマ)権現の神霊を移す木(三国神社伝記)と同じ意味あひに使はれた物か、即決は出来る事でないが、阿礼幡が神の出現を待つ
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
鶴見が離れようとすればするほど纏(まとわ)りついてくる女の執拗さにあきれて、女の媚(こび)には応諾(おうだく)も与えずに、押黙って本を見ていた。
一体合乗俥というはその頃の川柳や都々逸(どどいつ)の無二の材料となったもので、狭い俥に両性がピッタリ粘着(くっつ)き合って一つ膝掛に纏(くる)まった容子は余り見っともイイものではなかった。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
第一、女たちの生活は、起居(タチヰ)ふるまひなり、服装なりは、優雅に優雅にと変つては行つたが、やはり昔の農家の家内(ヤウチ)の匂ひがつき纏(マト)うて離れなかつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
彼は今夜の泊りを考えながら、前よりはやや注意深く、両岸に眼を配(くば)って行った。松は水の上まで枝垂(しだ)れた枝を、鉄網のように纏(から)め合せて、林の奥の神秘な世界を、執念(しゅうね)く人目(ひとめ)から隠していた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼女は温かい毛皮の外套に身を纏(つつ)んだ婦人に見られるのを嫌うて、それを着なかった。
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
けれども、天狗のお囃子(はやし)は夜着の襟から潜り込んで来て、耳元に纏(へば)り付いて離れない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
また『日本紀』仁徳天皇四十年条に、「二女之手有二纏(まける)良珠一、皇后見二其珠一、(云云)」とある「珠」も、また明かに連珠をタマといったものである。
八坂瓊之曲玉考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
所へある気の利(き)いた男が出て来て、煤煙の全部を出版しやうとすればこそ災を招く恐れがあるので、そのうちの安全な部分丈(だけ)を切り離して小冊子に纏(まとめ)たらどんなものだらうといふ新案を提出した。
『煤煙』の序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
男親纏(まとゐ)のやうに遊ばせる同
大正東京錦絵 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
(事実海驢はそういう生理の動物かどうか知らなかったけれど)室子は、シュミーズを脱いで、それで身体を拭い捨て、頭を振って、髪の纏(もつ)れを振り放ち乍(なが)ら、今朝の空腹の原因を突き止めた。
娘 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
火消しのまといばかりを知つた人は、とかく纏(マトヒ)の字を書くものと信じて居られようが、既に「三才図会」あたりにも、※幟・纏幟・円居などゝ宛てゝ、正字を知らずと言うてゐる。
まといの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
明りに照し出されるほど、纏(マトマ)つた現(ウツ)し身(ミ)をも、持たぬ彼(カ)の人であつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)