“詩(し)” の例文
そうだ、ぼくが、美(うつく)しい詩(し)を書(か)き、りっぱな発明家(はつめいか)となったとき、おじさんのたましいは、よろこんでくれるだろうと思(おも)いました。
緑色の時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
丘(おか)の上に立って、うつくしい村をながめては、歌にうたい、牧場(まきば)にいって、やさしいひつじのむれをながめては、詩(し)をかくのがつねでした。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
短歌(たんか)などもそれで、日本(につぽん)の初(はじ)めの歌(うた)から、非常(ひじよう)な整頓(せいとん)が行(おこな)はれ/\して、かういふ簡單(かんたん)で、思(おも)ひの深(ふか)い詩(し)の形(かたち)が、出來(でき)て來(き)たのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
宗助(そうすけ)は詩(し)とか歌(うた)とかいふものには、元(もと)から餘(あま)り興味(きようみ)を持(も)たない男(をとこ)であつたが、どう云(い)ふ譯(わけ)か此(この)二句(く)を讀(よ)んだ時(とき)に大變(たいへん)感心(かんしん)した。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
元來(ぐわんらい)閭(りよ)は科擧(くわきよ)に應(おう)ずるために、經書(けいしよ)を讀(よ)んで、五言(ごん)の詩(し)を作(つく)ることを習(なら)つたばかりで、佛典(ぶつてん)を讀(よ)んだこともなく、老子(らうし)を研究(けんきう)したこともない。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
されば他国(かのくに)の聖(ひじり)の教も、ここの国土(くにつち)にふさはしからぬことすくなからず。且(かつ)八三詩(し)にもいはざるや。八四兄弟牆(うち)に鬩(せめ)ぐとも外(よそ)の侮(あなどり)を禦(ふせ)げよと。
蔵春は秉忠(へいちゅう)の号なり。盧溝は燕の城南に在り。此(この)詩(し)劉文貞に傾倒すること甚(はなは)だ明らかに、其の高風大業を挙げ、而(しこう)して再拝一哭(いっこく)すというに至る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
○つくしにいたり玉ひては不出門行(ふしつもんかう)といふ詩(し)を作り玉ひて、寸歩(すんほ)も門外(もんのそと)へいで玉はず。是朝廷(てうてい)を尊(たうとみ)恐(おそれ)、御身の謫官(てきくわん)たるをつゝしみたもふゆゑなり。
おもへば四年(よとせ)の昔なりけり、南翠氏(なんすゐし)と共(とも)に学海先生(がくかいせんせい)の此(こ)の別荘(べつさう)をおとづれ、朝より夕(ゆふ)まで何(なに)くれと語(かた)らひたる事(こと)ありけり、其時(そのとき)先生(せんせい)左(さ)の詩(し)を示(しめ)さる。
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ミルトンの詩(し)を高(たか)らかに吟(ぎん)じた処(ところ)で饑渇(きかつ)は中(なか)々に医(い)しがたくカントの哲学(てつがく)に思(おもひ)を潜(ひそ)めたとて厳冬(げんとう)単衣(たんい)終(つひ)に凌(しの)ぎがたし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵、三文字屋金平(著)
それは最近(さいきん)S、H氏(し)の詩(し)や小説(せうせつ)の好(す)きなI子(こ)が、一度(ど)遊(あそ)びにつれて行(い)つてくれと言(い)つてゐたので、私(わたし)もこの機会(きかい)にS
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
この匡衡(まさひら)は漢文(かんぶん)や、詩(し)の方(ほう)は至極(しごく)の名人(めいじん)であつたが、その上(うへ)に歌(うた)もこの通(とほ)り、うまく讀(よ)んだと語(かた)り傳(つた)へたそうです。
「父親は逍遙軒(せうえうけん)と言つて、詩(し)も作り歌もよみましたが、私はその方は一向いけません。弟は父親の學問好きを承(う)けて、これも四角な字を讀んで居りました」
イヤ先日(せんじつ)は癇(かん)が起(た)つて居(を)つた処(ところ)へ、其方(そのはう)が逆(さか)らつたものだから、詰(つま)らん事を申(まう)して気の毒に心得(こゝろえ)、出牢(しゆつらう)をさした、其方(そのはう)が入牢中(じゆらうちう)に一詩(し)作つたから見て呉(く)れ。シ
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
己は今迄、ぼんやりと自分の脳裡(のうり)に描いて居た、「詩(し)」だとか、「美(び)」だとか、「藝術(げいじゅつ)」だとか云うものが、彼の女(おんな)に具体化されて居たのを認めたのである。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その学問(がくもん)というのは、ただむずかしい文字(もじ)をおぼえたり、わかりにくいふるくさい文章(ぶんしょう)をよんだり、和歌(わか)をよんだり、詩(し)をつくったりするようなことではなく
民部(みんぶ)は即座(そくざ)に矢立(やたて)をとりよせ、筆をとって、サラサラ八行(ぎょう)の詩(し)を書き、みずから梅雪(ばいせつ)の手もとへ返した。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
千八百八十三年(ねん)、ペテルブルグの師範学校(しはんがっこう)を卒業(そつぎょう)したソログーブは、各地(かくち)に移(うつ)り住(す)みながら、教師(きょうし)を勤(つと)め、傍(かたわ)ら詩(し)を作(つく)っていたが、間(ま)もなく長篇小説(ちょうへんしょうせつ)『重苦(おもくる)しい夢(ゆめ)』
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
私(わたし)より二級上に山田武太郎(やまだたけたらう)なる少年が居(を)つたのですが、此(この)少年は其(そ)の級中(きふちう)の年少者(ねんせうしや)で在(あ)りながら、漢文(かんぶん)でも、国文(こくぶん)でも、和歌(わか)でも、詩(し)でも、戯作(げさく)でも、字も善(よ)く書いたし
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
〔譯〕易(えき)は是れ性(せい)の字の註脚(ちゆうきやく)なり。詩(し)は是れ情の字の註脚なり。書(しよ)は是れ心の字の註脚なり。
さらずば御母上(おんはゝうへ)の御機嫌(ごきげん)うかゞひの御状(ごじやう)か、さらずば御胸(おむね)にうかぶ妄想(まうさう)のすて處(ところ)、詩(し)か歌(うた)か、さらずば、さらずば、我(わ)が方(かた)に賜(たま)はらんとて甲斐(かひ)なき御玉章(おんたまづさ)に勿躰(もつたい)なき筆(ふで)をや染(そ)め給(たま)ふ。
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さては、高(たか)きは秦嶺也(しんれいなり)。昌黎(しやうれい)嗟嘆(さたん)すること久(ひさし)うして曰(いは)く、吾(われ)今(いま)にして仙葩(せんぱ)を視(み)たり。汝(なんぢ)のために彼(か)の詩(し)を全(まつた)うせんと。韓文公(かんぶんこう)が詩集(ししふ)のうちに、一封朝奏九重天(いつぷうあしたにそうすきうちようのてん)—云々(うんぬん)とあるもの則(すなはち)是(これ)。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大きくなったら、詩(し)や小説や戯曲(ぎきょく)を書きたいと思っていました。でも、そのためには、じぶんひとりで本を読むばかりではだめだと気がついて、二十三歳(さい)のときに女子高等師範学校(しはんがっこう)にはいりました。
彼は、詩(し)、小説(しょうせつ)、戯曲(ぎきょく)、評論(ひょうろん)、伝記(でんき)、その他(た)いろいろなものを書(か)きましたが、すべて、立派(りっぱ)な作品として長く残(のこ)るようなものが多く、中でも、小説と随筆(ずいひつ)とには、世界的(せかいてき)な傑作(けっさく)が少なくありません。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
『此(この)艇名(ていめい)は、我(わ)が敬慕(けいぼ)する山岡鐵舟先生(やまをかてつしうせんせい)の詩(し)より採(と)つたのです。』
寝宮(しんきう)に妃(ひ)と遊ぶ日の神の像かたへにするは琴と詩(し)の巻(まき)
「李白(りはく)一斗(いっと)詩(し)百篇(ひゃっぺん)——か。ううい!」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
秋風や酒肆(しゅし)に詩(し)うたふ漁者(ぎょしゃ)樵者(しょうしゃ)
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
キングスレーの詩(し)に
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
編詩 〔詩(し)を編(あ)む〕
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あれは詩(し)でしたよ。
ただ美しき詩(し)を
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
律師(りし)詩(し)に堪能(かんのう)
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
景樹(かげき)の歌(うた)の方(ほう)が、皆(みんな)にわかりやすからうと思(おも)ひますが、そこが散文(さんぶん)と詩(し)との違(ちが)ふところで、意味(いみ)の上(うへ)からおもしろいことが
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
代助は黙(だま)つて椅子へ腰(こし)を卸した。果して詩(し)の為(ため)に鉢(はち)の水を呑んだのか、又は生理上の作用に促(うな)がされて飲んだのか、追窮する勇気も出(で)なかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
○つくしにいたり玉ひては不出門行(ふしつもんかう)といふ詩(し)を作り玉ひて、寸歩(すんほ)も門外(もんのそと)へいで玉はず。是朝廷(てうてい)を尊(たうとみ)恐(おそれ)、御身の謫官(てきくわん)たるをつゝしみたもふゆゑなり。
春(はる)になると、城跡(しろあと)にある、桜(さくら)の木(き)に花(はな)が咲(さ)きました。けれど、この咲(さ)いた花(はな)をながめて、歌(うた)をよんだり、詩(し)を作(つく)ったりするような人(ひと)もありませんでした。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのSH氏(し)がしばらくすると、立(た)つて彼方(あなた)の卓(たく)の前(まえ)に立(た)つて、和服姿(わふくすがた)の東洋人(とうようじん)らしい憂鬱(ゆううつ)な恥(はじ)らひの表情(へうぜう)で、自作(じさく)の詩(し)を謳(うた)ひだした。皆(みな)が之(こ)れに耳(みゝ)傾(かたむ)けた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
全(まつた)く不思議(ふしぎ)な事(こと)でございました。或(あ)る日(ひ)山(やま)から虎(とら)に騎(の)つて歸(かへ)つて參(まゐ)られたのでございます。そして其(その)儘(まゝ)廊下(らうか)へ這入(はひ)つて、虎(とら)の背(せ)で詩(し)を吟(ぎん)じて歩(ある)かれました。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「莊左衞門で御座います。四角な字を讀むのが好きで、詩(し)とか五とかを作つて、逍遙軒(せうえうけん)と名乘つたさうで——」
ナント異(おつ)に出来(でか)したでは厶(ござ)らぬか、此詩(このし)を懐中(くわいちう)したれば、門(もん)を叩(たゝ)いて驚(おどろ)かし申(まを)さんかとは思ひしが、夢中(むちう)感得(かんとく)の詩(し)なれば、何時(いつ)何処(どこ)にても、またやらかすと云(い)ふ訳(わけ)には行(ゆ)かず
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
然(しか)れども花(はな)開(ひら)いて絢爛(けんらん)たり。昌黎(しやうれい)植(う)うる處(ところ)、牡丹(ぼたん)もと紫(むらさき)、今(いま)は白紅(はくこう)にして縁(ふち)おの/\緑(みどり)に、月界(げつかい)の採虹(さいこう)玲瓏(れいろう)として薫(かを)る。尚(な)ほ且(か)つ朶(はなびら)ごとに一聯(いちれん)の詩(し)あり。奇(き)なる哉(かな)、字(じ)の色(いろ)分明(ぶんみやう)にして紫(むらさき)なり。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これ、シロクシナス、是(これ)はな、予(よ)の近作(きんさく)で、一詩(し)作つたから見て呉(く)れろ。
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
最(もつと)も自由(じゆう)に、最(もつと)も快活(くわいくわつ)に、詩(し)を吟(ぎん)ずるもある、劍(けん)を舞(ま)はすもある。
律師(りし)の詩(し)あり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
そつと寫(うつ)し取つて、近所の手習の師匠にも見せたが、——尤(もつと)も淺井朝丸樣は、これは學者や坊主は、讀めまい、吉備眞備(きびのまきび)の讀んだ耶馬臺(やばだい)の詩(し)のやうなものだから
唐(たう)の秦韜玉(しんたうぎよく)が村女(そんぢよ)の詩(し)に、最(もつとも)恨(うら)むは年々(ねん/\)金線(きんせん)を圧(つくらふ)て他人(たにん)の為(ため)に嫁(よめいり)の衣装(いしやう)を作(つく)るといひしは宜(むべ)なる哉々々(かな/\/\)。
詩(し)に圏点(けんてん)のないのは障子(しょうじ)に紙が貼(は)ってないような淋(さび)しい感じがするので、自分で丸を付けた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
フムと感心のコナシありて、此子(このこ)なか/\話せるワエと、忽(たちま)ち詩箋(しせん)に龍蛇(りうだ)はしり、郵便箱(いうびんばこ)に金玉(きんぎよく)の響(ひゞき)ある事(こと)になるとも、我(われ)また其夜(そのよ)の思寝(おもひね)に和韻(わゐん)の一詩(し)をすら/\と感得(かんとく)して
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
一體(たい)詩(し)を吟(ぎん)ずることの好(すき)な人(ひと)で、裏(うら)の僧院(そうゐん)でも、夜(よる)になると詩(し)を吟(ぎん)ぜられました。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)