“くら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クラ
語句割合
暗15.0%
眩13.4%
晦8.6%
較7.1%
喰6.7%
食6.7%
鞍5.4%
比4.2%
昏4.1%
啖4.0%
暮3.6%
闇3.2%
蔵2.5%
庫2.0%
競1.7%
倉1.3%
土蔵1.2%
藏0.7%
昧0.7%
冥0.6%
生活0.6%
位0.6%
倉庫0.5%
啗0.4%
噉0.4%
喫0.4%
久良0.3%
撲0.2%
内蔵0.2%
座0.2%
黯0.1%
暈0.1%
土藏0.1%
比較0.1%
瞑0.1%
黒0.1%
吃0.1%
此0.1%
塗籠0.1%
眩暈0.1%
儔0.1%
殴0.1%
活0.1%
消光0.1%
艙0.1%
蒙0.1%
視0.1%
陰0.1%
黝0.1%
懵0.0%
倉廩0.0%
双0.0%
咀0.0%
咥0.0%
咬0.0%
噬0.0%
嚼0.0%
宝蔵0.0%
対0.0%
嵓0.0%
幽0.0%
批0.0%
擲0.0%
暗昧0.0%
暝0.0%
曚昧0.0%
検0.0%
欝0.0%
毆0.0%
活計0.0%
消0.0%
生計0.0%
眩惑0.0%
睧0.0%
瞞0.0%
矒0.0%
穀倉0.0%
窖0.0%
罔0.0%
翳0.0%
茹0.0%
藏庫0.0%
蝕0.0%
酒庫0.0%
銀行0.0%
飡0.0%
飯0.0%
飲0.0%
餌0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夜(よる)もうっかり流(なが)しの下(した)や、台所(だいどころ)の隅(すみ)に食(た)べ物(もの)をあさりに出ると、暗(くら)やみに目が光(ひか)っていて、どんな目にあうか分(わ)からなくなりました。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
妾はここまで聞いているうちに眼の眩(くら)むのをおぼえました。よくその場にたおれてしまわなかったか今でも不思議に思うくらいです。
華やかな罪過 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
殺したに違いあるまい。うんにゃ、隠したって駄目だ。お上の眼は晦(くら)ませても俺の眼は誤魔化(ごまか)せねえ。あの水の中で、鮭(しゃけ)のように腹を
「なんの、なんの、丞相の寛濶(かんかつ)な度量は、何ものにも、較(くら)べるものはありません。誰よりも、それがしが深く知っておるつもりです」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「貴さまとは警官に向つて無禮だぞ!」巡査も少し身がまへをして、「おれをそんなに馬鹿にする氣なら、鐡拳を喰(くら)はせて見せる!」
今(いま)敵國(てきこく)深(ふか)く侵(をか)して、邦内(はうない)騷動(さうどう)し、士卒(しそつ)、境(さかひ)に(一七)暴露(ばくろ)す。君(きみ)寢(い)ねて席(せき)を安(やす)んぜず、食(くら)うて味(あぢはひ)を甘(あま)しとせず。百姓(せい)の命(めい)皆(みな)君(きみ)に懸(か)かる。
枯木が密集した森林のあるところ、一望皚々(がいがい)の急勾配のところ、山と山との繋がりで馬の鞍(くら)のようになったところ——を通りました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「加納屋の番頭の忠吉ですよ、——ケチで高慢で女道樂がひどい主人に比(くら)べると、忠實(まめ)で正直で働き者で話のわかる、良い男ですよ」
平常(ふだん)から心掛の良い、少し氣の弱いお吉が、どんなに嫉妬(しつと)に眼が昏(くら)んだにしても、そんな大それた事を仕出かさうとは思はれません。
汝の悪は、王莽(おうもう)に超え、汝の姦佞(かんねい)なことは、董卓(とうたく)以上だ。いまに見よ。天下ことごとく汝をころして、その肉を啖(くら)わんと願うであろう
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さう云ふ人(ひと)に逢(あ)つて過(す)ごす時間が、本当の時間で、穴倉で光線の試験をして暮(くら)す月日(つきひ)は寧ろ人生に遠い閑生涯と云ふべきものである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
罪(つみ)に陷(おと)し入んと計り闇(くら)き夜に昌次郎と兩人(ふたり)にて男女を殺(ころ)し悴娘の着類を着(きせ)兩人の首を切(きつ)て川へ流せし趣(おもむ)き最早兩人より白状(はくじやう)に及びしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二人共、昨夜は、納戸頭奥田孫太夫(なんどがしらおくだまごだゆう)たちと共に、什器(じゅうき)諸道具を、鉄砲洲のお蔵(くら)から徹夜で運んで、一睡もして居ないのであった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちに、城中の軍資を入れてある庫(くら)のなかから銀数百両と銭数千緡(びん)が紛失したことが発見されて、その賊の詮議が厳重になった。
見ると、べつな一列が横から出て来て、道誉の列の先頭と交叉(こうさ)しかけ、どっちも道をゆずろうとせず、威嚇(いかく)のし競(くら)べになったものらしい。
また倉(くら)のような建(た)て物(もの)は、多(おほ)くは今日(こんにち)も奈良(なら)の正倉院(しようそういん)の御倉(おくら)などに見(み)るような、木(き)を組(く)みあはせた校倉(あぜくら)といふものであつたと思(おも)はれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
けれどもその騒ぎは、何時(いつ)の間にか土蔵(くら)から屏風や、燭台や、煙草盆や、碁盤やを運び出す忙しさに変つて居るのが例でした。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
殊(こと)に永(なが)い間(あひだ)野田(のだ)へ身上(しんしやう)を持(も)つて近所(きんじよ)の藏(くら)の親方(おやかた)をして居(ゐ)るのが郷里(きやうり)の近(ちか)くから出(で)たので自然(しぜん)知合(しりあひ)であつたが、それが卯平(うへい)に引退(いんたい)を勸(すゝ)めた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
諸手(もろて)をば縛(いまし)められたり。我身上(みのうへ)は今や獵夫(さつを)に獲られたる獸にも劣れり。されど憂に心昧(くら)みたる上なれば、苦しとも思はでせくゞまり居たり。
弘法大師は『宝鑰(ほうやく)』という書物の中で、「生まれ、生まれ、生まれ、生まれて、生の始めに暗く、死に、死に、死に、死んで、死の終わりに冥(くら)し」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
殊にわしは、家に母上の笑顔(えがお)があり、家族どもがみな嬉々(きき)として生活(くら)していてくれれば、何よりも自分も楽しいことと思う
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だんだん足が長くなって来たのは驚くべき位(くら)いである、足の短かい顔の大きな女はやがて日本から消滅するかもしれない、すると間もなく
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
君子は倉庫(くら)のなかにしまってあった抱茗荷紋のある琴のゆたんを外し、お高祖頭巾のようにかぶってその夜、ふけてから未亡人の部屋に忍んで行った。
抱茗荷の説 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
七三君は賢弟と南面(おもて)の間(ま)に弈(えき)して遊ばせ給ふ。掃守(かもり)傍(かたはら)に侍りて七四菓(このみ)を啗(くら)ふ。文四がもて来し大魚(まな)を見て、人々大いに感(め)でさせ給ふ。
死んでからはその屍骸を獣が噉(くら)い、鳥が啄(ついば)み、四肢が分離して流れ出し、腥(なまぐさ)い悪臭が三里五里の先まで匂って人の鼻を衝(つ)き、皮膚は赤黒(しゃくこく)となって犬の屍骸よりも醜くなること
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
苦味(くみ)丁幾(ちんき)を服し、ペプシンを服し、粥を煑て吸ひ、フランス麪麭を購(あがた)ひて喫(くら)ひ、壓し麥を喫ふのを見ることは多いが、咀嚼時間を長くして
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
主(あるじ)の善七が考えていると、そのまに、四国屋のお久良(くら)と手代の新吉は、案内もなしに奥の廊下へバタバタと走りこんでしまった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軒下あるいは塀の蔭よりばらばらと飛出(とびいだ)して、お使番を引僵(ひきたお)し、蹴って踏んで撲(くら)わして、「此奴等(こいつら)、人を乞食にしやあがる。へん、よしてもくりや、余計なお世話だ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一条ではまだ前夜のまま宮が内蔵(くら)からお出にならないために、女房たちが
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
み座(くら)のにほひを仰がざらむ
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
貫一は彼を以(も)て女を偸(ぬす)みて奔(はし)る者ならずや、と先(まづ)推(すい)しつつ、尚(な)ほ如何にやなど、飽かず疑へる間より、忽(たちま)ち一片の反映は閃(きらめ)きて、朧(おぼろ)にも彼の胸の黯(くら)きを照せり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私は海に溺れかゝつた人のやうに段の中途に立ち止まつては動悸を休めたが、すると忽ち段々の四方八方から強烈な光線が射返して来るので、急に立ち暈(くら)みがして、膝頭がガクガクふるへた。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「それに、傳之助叔父さんはあの時、土藏(くら)の中に入つて居ました」
なかなかよく練れていそうである。それと比較(くら)べるとこちらの二人はどんなものかな。これも非常に気が合って、それで二人とも駄々っ子で、何か野呂間(のろま)のようでもある。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
さう思ふと、生きてゐた時、その時、その場の恋をした女達、わかれた後忘れてしまつた女達に、また逢ふことの出来るのは瞑(くら)いあの世のさむしい河のほとりであるやうな気がしてくる。
雪の日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
住職はそれから女と喬生を西門の外へ葬ったが、その後、雨曇りの日とか月の黒(くら)い晩とかには、牡丹燈を点(つ)けた少女を連れた喬生と麗卿の姿が見えて、それを見た者は重い病気になった。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
御者は黙して頷(うなず)きぬ。たちまち鞭の鳴るとともに、二頭の馬は高く嘶(いなな)きて一文字に跳(は)ね出(い)だせり。不意を吃(くら)いたる乗り合いは、座に堪(たま)らずしてほとんど転(まろ)び墜(お)ちなんとせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あゝわが想(おもひ)に此(くら)ぶれば言(ことば)の足らず弱きこといかばかりぞや、而してこの想すらわが見しものに此ぶればこれを些(すこし)といふにも當らじ 一二一—一二三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
筒井は扉にしっかり掴(つか)まり少時うごかなかった。貞時はそれを知らず、筒井は急いで塗籠(くら)から下りて行った。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
あたりは、ギラギラと、目も眩暈(くら)むような、明るい真夏の光線に充たされていた。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
それは、佐藤藤野といふ、村では儔(くら)べる者の無い程美しい女の兒が、突然一年生に入つて來た事なので。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『殴(くら)わせるぞ畜生。芽出度過ぎて運の尽きとるじゃないか』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
夫婦に子供二人の活(くら)しだ。
戦話 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
母親と祖父(じい)とがあって、はじめは、湯島三丁目に名高い銀杏(いちょう)の樹に近い処に、立派な旅籠屋(はたごや)兼帯の上等下宿、三階造(づくり)の館(やかた)の内に、地方から出て来る代議士、大商人(おおあきんど)などを宿して華美(はで)に消光(くら)していたが
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれらが、火砲をふり立てて、うす暗い艙(くら)の中から出て来る恰好は、まるで穴をはい出る猛獣とちがわない。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
まだ蒙(くら)し、遙(はる)けきは鴻荒(あらき)に屬(あ)へり。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
呉の元年より茲(ここ)に至るまで、日を積むこと久しく、慮を致すこと精(くわ)しくして、一代の法始めて定まり、朱氏(しゅし)の世を終るまで、獄を決し刑を擬するの準拠となりしかば、後人をして唐に視(くら)ぶれば簡覈(かんかく)
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ドオデエも「風車小屋だより」のなかにかいておいた、あの蝗(いなご)の大群。……こいつは、まつたくあれに似た凄じさだ。天日を陰(くら)くして薨々とむらがり飛ぶ、斯螽。索々と鳴る、その翅音。
雪 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
岩窟(いわむろ)は、沈々と黝(くら)くなって冷えて行く。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
わたくしは暦道に懵(くら)いが、南畝が歿した年の二月中に八日、十八日、二十八日の戊日のあることを推算し得た。そこで十八日を以て春社となした。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
素(もと)わたくしは支那の古医書の事には懵(くら)いが、此に些(ちと)の註脚を加へて、遼豕(れうし)の誚(そしり)を甘受することとしよう。病源候論は隋の煬帝(やうだい)の大業六年の撰である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
日高郡川又で聞いたは、この物倉廩(くら)に籠(こも)る事往々ありと。
大俗の大雅に双(くら)ぶべきや否やは知らねど、我は憤慨のあまりに書を売り筆を折りて、大俗をもつて一生を送らんと思ひ定めたりし事あり、一転して再び大雅を修めんとしたる時に、産破れ、家廃(すた)れて
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
昌黎(しやうれい)信(まこと)とせず、審(つまびらか)に其(そ)の仔細(しさい)を詰(なじ)れば、韓湘(かんしやう)高(たか)らかに歌(うた)つて曰(いは)く、青山雲水(せいざんうんすゐ)の窟(くつ)、此(こ)の地(ち)是(こ)れ我(わ)が家(いへ)。子夜(しや)瓊液(けいえき)を飱(そん)し、寅晨(いんしん)降霞(かうか)を咀(くら)ふ。琴(こと)は碧玉(へきぎよく)の調(てう)を彈(たん)じ、爐(ろ)には白珠(はくしゆ)の砂(すな)を煉(ね)る。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
蒼(あお)ざめた怪しげな顔つきの者や放逸な口つきの者が、咥(くら)うべき餌食(えじき)と時とを待ち受けながら、人雪崩(なだれ)の中に潜んでいた。泥(どろ)が掘り返されていた。一歩ごとに群集の流れは濁っていった。
「あんまりからかっていると、仕舞には舞台へ飛びあがって、太平次にでも咬(くら)いつくかも知れねえ。あぶねえ、あぶねえ。もうおよしなせえ。」
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
復讐として肉を噬(くら)い髄を啜(すす)るとも飽かないような深怨を結ばせて、ますます陰険、醜陋、残忍を以て終始する政界の私闘を助長する危険があると思います。
選挙に対する婦人の希望 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
臂肘甚だ長く、屡長臂を山巓に伸べて数千の貝子を東溟の中に撮り、其の子(み)を嚼(くら)ひ、殻を茲の地に棄つ。委積して丘の如し。郷人其の神を称して手長明神と謂ふ。委殻の地之を貝塚と謂ふ。
手長と足長:土蜘蛛研究 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
(三峰の権現さまの宝蔵(くら)をやぶって、たくさんなおかねを盗み出した盗賊は、きっとこの二人にちがいない)
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その言いしれぬ肉のおもいを含んだ笑い声が、光の薄い湿っぽい待合室に鳴り渡って人の心を滅入(めい)らすような戸外(そと)の景色に対(くら)べて何となく悲しいような、またあさましいような気がして来る。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
倉は嵓(くら)を意味し、高倉神社の起原もそれと関聯(かんれん)したもので、以仁王のことは後に結び付けられたものではあるまいかと思う、然(しか)し確なことは実地を知らぬので何とも云えない。
尾瀬の昔と今 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
往々雨の丘より丘に移るに当たりて、あるいは近くあるいは遠く、あるいは幽(くら)くあるいは明らかに
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それから、自分の顔と能力とを他人に批(くら)べた。
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
襟首を取って伏せて、長煙管(ながぎせる)で背(せなか)を擲(くら)わすという仕置。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おしなべて暗昧(くら)きが中に燦然と人類の叡智光るたふとし
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
内藤岡ノ二士及ビ泥江春濤円桓同ジク舟ニ入ル。饗(きょう)具(とも)ニ備(そなわ)ル。潮ハ方(まさ)ニ落チテ舟ノ行クコト太(はなは)ダ駛(すみや)カニ橋ヲ過グルコト七タビ始メテ市廛(してん)ヲ離ル。日已(すで)ニ暝(くら)シ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ある時は花の精のようにまぶしく、又、ある時は悪魔のようになやましく……そうして私はそれを見ていると、何故かわからずに思念(おもい)が曚昧(くら)く、哀しくなって来るのでした。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
左の眼尻(めじり)に黒子(ほくろ)があったが、——そんな事さえ検(くら)べて見ても、やはり確かに男だった。お蓮は不思議に思うよりは、嬉しさに心を躍(おど)らせながら、そのまま体も消え入るように、男の頸(くび)へすがりついた。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
欝(くら)い蔭(かげ)を搖る安樂椅子の
メランコリア (旧字旧仮名) / 三富朽葉(著)
(節信は扇にて良因を一つ毆(くら)はせる。)
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
賣喰(うりぐひ)なし迂濶々々(うか/\)活計(くら)して居たりしが吉兵衞倩々(つく/″\)思ふ樣獨身成ば又元の出入の家々へ頼みても庖丁(はうちやう)さへ手に持(もつ)ならば少しも困(こま)らぬ我が身なれど此兒の有故家業(かげふ)も出來ず此上居喰にする時は山を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この我が訓(おしえ)を能(よ)く記(おぼ)えて決して背(そむ)くことなかれと苦(ねん)ごろに誡(いまし)め諭して現世(このよ)を逝(さ)りければ、兄弟共に父の遺訓に随(したが)ひて互ひに助けあひつつ安楽に日を消(くら)しけり。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「へッ! 甘(うま)いことを言っている。成程本郷の女学校に行っていた、というから、もしそうだとすれば、何うせ野合者(くっつきもの)だ。そうでなければ生計(くら)しかねて、母子(おやこ)相談での内職か。」
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
しかし壮観(みもの)はそればかりではなく、すぐに続いて見事な業が、見物の眼を眩惑(くら)ました。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この土(ど)の善美は今日まで余の眼を睧(くら)ませり、如何(いか)にしてその富源を開かんか、如何なる国民教育の方針を取らんか、如何なる政略を以て海外に当らんか、その世界に負う義務と天職とは如何(いかん)
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
何事にも、いわゆる再三謙辞して、而(しこ)うして受く、というのが礼節とされている。まして天下の誹(そし)りを瞞(くら)ますには、より厳かに、その退謙(たいけん)と辞礼を誇大に示すのが、策を得たものではないでしょうか。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木村は新聞社の事情には矒(くら)いが、新聞社の芸術上の意見が三面にまで行き渡っていないのを怪みはしない。
あそび (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかしてかくあしく耕すことのいかなる收穫(かりいれ)に終るやは、程なく知られむ、その時至らば莠(はぐさ)は穀倉(くら)を奪はるゝをかこつべければなり 一一八—一二〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
全体に内から燃える豊かな同情に融(とけ)合つた強い色調で葡萄酒の窖(くら)に入(はひ)つて居る様な甘い温かな感を人に与へる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
幸臣星が罔(くら)さを加え、不軌の相(すがた)を現わしているのは、どうもまことに困ったものだ。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
短檠(たんけい)の灯が翳(くら)くなる……
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの僧尼達は、自分が手を動かさずして世を渡り、そのうえ戒律(かいりつ)を守らないで、婬を貪り、葷(うん)を茹(くら)い、酒を飲んだので、牛馬にして人に報いをさすところだ」
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
藏庫(くら)は河岸(かし)に揃(そろ)つて、荷(に)の揚下(あげおろ)しは船(ふね)で直(す)ぐに取引(とりひ)きが濟(す)むから、店口(みせぐち)はしもた屋(や)も同(おな)じ事(こと)、煙草盆(たばこぼん)にほこりも置(お)かぬ。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
今はかの当時、何を恥じ、何を憤(いか)り、何を悲しみ、何を恨むともわかち難き感情の、腸(はらわた)に沸(たぎ)りし時は過ぎて、一片の痛恨深く痼(こ)して、人知らずわが心を蝕(くら)うのみ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「おい、みんな飮め飮め。酒ならいくらでも其處いらの酒庫(くら)にある。三田公なんかに遠慮する必要はない。こいつはタンクといふあだ名のある男なんだから、みんなで盃をさしてやつてくれ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
「今晩から夜店をしなさるって、昼も夜も出しゃあ、今に銀行(くら)が建ちましょうよ。」
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
頭腦明敏の小早川隆景が、「我が將卒は土を飡(くら)つて而して戰ふ能はず」
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
孔子が「疎食(そし)を飯(くら)ひ、水を飲み、肱(ひじ)を曲げて之を枕とす、楽も亦其の中に在り」
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
もっともそう言う女房は少し飲(くら)っていたようで、亭主の国府に張合って、朝から濁酒(どぶろく)でも呻(あお)ったんでしょう
本邦でも異邦でも蛇が往来稀(まれ)ならぬ官道に夏日臥して動かぬ事がある。これは人馬や携帯品に附いて来る虫や様々の遺棄物を餌(くら)うためでもあろう。