“閃”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひらめ55.9%
ひら27.0%
せん6.1%
きら3.1%
きらめ3.1%
ひらめき1.7%
ちら0.7%
きらめき0.3%
きっ0.3%
ひか0.3%
ひらめか0.3%
きらめか0.2%
ぎら0.2%
はため0.2%
ひらめく0.2%
ひらり0.2%
ヒラメ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一座の人は皆黙々として思いもよらぬその話にあまり意をとめなかったようであったが、私は二十年前のことがたちまち頭に閃(ひらめ)いて
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
囲みは自然に解けて、五六人の荒くれ男、手拭や風呂敷で面体を包んだのが、棍棒、匕首(あいくち)を閃(ひら)めかして、三方から競いかかりました。
十字架観音 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
眩(まぶ)しいものが一閃(せん)、硝子(ガラス)を透(とほ)して私(わたし)の眼(め)を射(い)つた。そして一瞬(しゆん)の後(のち)、小松(こまつ)の枝(えだ)はもう無(な)かつた。それは光(ひかり)の中(なか)に光(ひか)り輝(かゞや)く斑點(はんてん)であつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
と言って土間へ出たが、振返ると、若い女(ひと)は泣いていました。露が閃(きら)めく葉を分けて、明石に透いた素膚(すはだ)を焼くか、と鬼百合が赫(かっ)と紅(あか)い。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其(その)鋭利(えいり)なる三尖衝角(さんせんしやうかく)は空(そら)に閃(きらめ)く電光(いなづま)の如(ごと)く賊船(ぞくせん)の右舷(うげん)に霹靂萬雷(へきれきばんらい)の響(ひゞき)あり、極惡無道(ごくあくむだう)の海蛇丸(かいだまる)は遂(つひ)に水煙(すいゑん)を揚(あ)げて海底(かいてい)に沒(ぼつ)し去(さ)つた。
少し間を置いて、「わたし又来てよ」と云うかと思うと、大きい目の閃(ひらめき)を跡に残して、千代田草履は飛石の上をばたばたと踏んで去った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
『ハ、否(いいえ)。』と喉が塞つた様に言つて、山内は其狡さうな眼を一層狡さうに光らして、短かい髯を捻つてゐる信吾の顔を閃(ちら)と見た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
あゝ聖靈の眞(まこと)の閃(きらめき)よ、その不意にしてかつ輝くこといかばかりなりけむ、わが目くらみて堪ふるをえざりき 七六—七八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
間もなく与茂七とお袖は宅悦の家から『藪の内(やぶのうち)』と書いた提燈(ちょうちん)を借りて出て往った。其の時直助が出て二人の後を見送って閃(きっ)となった。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
毒の華(はな)のような妖女(ようじょ)の手が動いて、黄昏の空気がキラリと閃(ひか)ったのは、彼女の翳(かざ)した薄刃のナイフだったであろう。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
四谷の方の坂から見ると、貧家のブリキ屋根は木立(こだち)の間に寺院と墓地の裏手を見せた向側の崖下にごたごたと重り合ってその間から折々汚らしい洗濯物をば風に閃(ひらめか)している。
ドイツのタウベ飛行機が、夏の空高く、黒い十字を描いた翼を閃(きらめか)しながら、ワルシャワの街の上を飛び回ることがあった。
勲章を貰う話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
と閃(ぎら)つく長いのを引抜いて振り上げたが、寄らば斬らんと小三郎が前後左右へ振廻して居りまするから、寄り附けません。
筍(たけのこ)を輪切りにすると、こんな風になる。張(はり)のある眉(まゆ)に風を起して、これぎりでたくさんだと締切った口元になお籠(こも)る何物かがちょっと閃(はため)いてすぐ消えた。母は相槌(あいづち)を打つ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕の眼に広島上空に閃(ひらめく)く光が見える。光はゆるゆると夢のように悠然(ゆうぜん)と伸び拡(ひろが)る。あッと思うと光はさッと速度を増している。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
彼方(かなた)の狐も一生懸命、畠(はた)の作物を蹴散(けち)らして、里の方(かた)へ走りしが、只(と)ある人家の外面(そとべ)に、結ひ繞(めぐ)らしたる生垣(いけがき)を、閃(ひらり)と跳(おど)り越え、家の中(うち)に逃げ入りしにぞ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
郎女は、暫らく幾本とも知れぬその光りの筋の、閃(ヒラメ)き過ぎた色を、眶(マブタ)の裏に、見つめて居た。をとゝひの日の入り方、山の端に見た輝きが、思はずには居られなかつたからである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)