“又(ま)” の例文
天空(そら)には星影(ほしかげ)一點(てん)、二點(てん)、又(ま)た三點(てん)、風(かぜ)死(し)して浪(なみ)黒(くろ)く、船(ふね)は秒一秒(べういちべう)と、阿鼻叫喚(あびけうくわん)の響(ひゞき)を載(の)せて、印度洋(インドやう)の海底(かいてい)に沈(しづ)んで行(ゆ)くのである。
其後(そのご)雲飛(うんぴ)は壮健(さうけん)にして八十九歳に達(たつ)した。我が死期(しき)來(きた)れりと自分で葬儀(さうぎ)の仕度(したく)などを整(とゝの)へ又(ま)た子(こ)に遺言(ゆゐごん)して石を棺(くわん)に收(おさ)むることを命(めい)じた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
集めてな、それに以前少しばかり易学(えきがく)を学んだからな売卜(うらない)をやる、それに又(ま)た少しは薬屋のような事も心得て居(お)るから医者の真似もするて
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「君は善き人なりと見ゆ。彼の如く酷(むご)くはあらじ。又(ま)た我母の如く。」暫し涸れたる涙の泉は又溢れて愛らしき頬(ほ)を流れ落つ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「なあに、老女(おば)さん、花さんは夜が明けると大久保の慈愛館へお行でになるんだから、明日から、僕が又(ま)た復職するんです」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
三吉は又(ま)たこの嫂の話を聞いて、旧(ふる)い旧い記憶を引出されるような気がした。門の内には古い椿(つばき)の樹が有って、よくその実で油を絞ったものだ。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
是(これ)は决(けつ)して責任(せきにん)を知(し)らぬ譯(わけ)では無(な)い、又(ま)た物事(ぶつじ)に無頓着(むとんちやく)な譯(わけ)でありません。唯(た)だ習慣上(しふくわんじやう)の缺點(けつてん)であらうと思(おも)ひます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
「おゝ薄荷(はくか)だこら、口(くち)ん中(なか)すう/\すら、おとつゝあげも遣(や)つて見(み)ろ」おつぎは又(ま)た菓子(くわし)へ手(て)を掛(か)けようとすると
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
又(ま)た正科の外、別に英語の一科を設け、子弟をして深く新主義の蘊奥(うんのう)に入り、詳(つまびらか)にその細故(さいこ)を講ずるの便を得せしめんと欲するは、余の諸君と共に賛する所なり。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
君(きみ)學問(がくもん)の道(みち)に寢食(しんしよく)を忘(わす)れ給(たま)ふは、至極(しごく)結構(けつこう)の儀(ぎ)にて、とやかく申上(まをしあ)げむ言(ことば)もなく候(さふら)へども又(ま)た御心遣(おんこゝろやり)の術(すべ)も候(さふら)はでは、餘(あま)りに御氣(おき)の詰(つま)りて千金(せんきん)の御身(おんみ)にさはりとも相成(あひな)らむ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
其の平生深く自信する精神的義侠の霊骨を其鋭利なる筆尖(ひつせん)に迸(ほとば)しらしめて曰く、社界の不平均を整ふる非常手腕として侠客なるものは自然に世に出でたるなりと、又(ま)た曰く
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
又(ま)た障子を張ることも器用で、自家の障子は勿論(もちろん)、親類へ雇(やと)われて張りに行くこともある。兎(と)に角(かく)に何をするにも手先が器用でマメだから、自分にも面白かったのでしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
 青衫(せいさん)又(ま)た馬蹄(ばてい)の塵に汚る
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そこで自分(じぶん)は『對話(たいわ)』といふことに就(つい)て考(かんが)へ初(はじ)めた、大袈裟(おほげさ)に言(い)へば『對話哲學(たいわてつがく)』又(ま)たの名(な)を『お喋舌(しやべり)哲學(てつがく)』に就(つい)て。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ポケットより巻莨(たばこ)取り出して大佐は点火しつ「閣下、又(ま)た近日元老会議ださうで御座りまして、御苦労に存じます」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
というと、ハヽア家(うち)へ知れないように外でお乗りなさるなと思い、又(ま)たモヤ/\としまして極(ごく)お毒でございます。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
惟うに、新主義の学を講ずる、唯(ひと)りその通般の事を知るに止るべからず、必らずやその蘊奥を極め、又(ま)た事に触れ、勢(いきおい)に応じてこれが細故を講究すべきの事多うし。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
それから又(ま)た自分(じぶん)が學校時代(がくかうじだい)によく進撃(しんげき)した藪(やぶ)そばや梅月(ばいげつ)の事(こと)や、其他(そのほか)樣々(さま/″\)な事(こと)を懷想(くわいさう)して、翼(つばさ)あらば飛(と)んでも行(ゆ)きたいまで日本(につぽん)の戀(こひ)しくなつた事(こと)も度々(たび/\)あつたが
又(ま)た不思議がらつしやるが、目に見えぬで、どないな事があらうも知れぬが世間の習(ならい)ぢや。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「必然(ひつぜん)の惡(あく)」を解釋(かいしやく)して遊歩塲(いうほぢやう)の一少女(いつせうぢよ)を點出(てんしゆつ)しかの癖漢(へきかん)の正義(せいぎ)を狂欲(きやうよく)する情(じやう)を描(えが)き、或(あるひ)は故郷(こきやう)にありしときの温(あたゝ)かき夢(ゆめ)を見(み)せしめ、又(ま)た生活(せいくわつ)の苦戰塲(くせんぢやう)に入(い)りて朋友(はうゆう)に一身(いつしん)を談(だん)ずる處(ところ)あり。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
又(ま)た少女(おとめ)の室(へや)では父と思(おぼ)しき品格よき四十二三の紳士が、この宿の若主人を相手に囲碁に夢中で、石事件の騒ぎなどは一切知らないでパチパチやって御座(ござ)る。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
數「お前のお蔭で私(わし)は斯様(こん)な面白い事に逢ったのは初めてだ、実に堪(たま)らんな、又(ま)た其の中(うち)来たいものだ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この上で又(ま)た立停(たちとま)って前途(ゆくて)を見ながら、由井ヶ浜までは、未(ま)だ三町ばかりあると、つくづく然(そ)う考(かんが)えた。三町は蓋(けだ)し遠い道ではないが、身体(からだ)も精神も共に太(いた)く疲れて居たからで。
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
話(はなし)の間(あひだ)に、輕氣球(けいきゝゆう)は、かの恐(おそ)ろしき山(やま)と森(もり)と谷(たに)と、又(ま)た惜(をし)む可(べ)き——然(さ)れど今(いま)は要(えう)なき鐵檻車(てつおりぐるま)とを後(あと)にして、風(かぜ)のまに/\空中(くうちう)を飛行(ひかう)して、其日(そのひ)午後(ごゞ)三時(じ)四十分(ぷん)項(ごろ)、吾等(われら)は再(ふたゝ)び
聞けば又(ま)た戦争とか始まるさうで、私(わし)の村からも三四人急に召し上げられましたが、兵隊に取られるものに限つて、貧乏人で御座りますよ、成程其筈(そのはず)で、年中働いて居るので身体(からだ)が丈夫
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
我は已(す)でに冬の寒さに慣れたり、慣れしと云ふにはあらねど、我はこれに怖るゝ心を失ひたり、夏の熱さにも我は我が膓(はらわた)を沸かす如きことは無くなれり、唯だ我九膓を裂きて又(ま)た裂くものは
我牢獄 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
明晩とは今夜である銀之助はしみ/″\静(しづ)の不幸(ふしあはせ)を思つた。静(しづ)は男に愛着(おも)はれ又(ま)た男を愛着(おも)ふ女である。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
花車重吉を頼んで何処(どこ)までも討たんければならぬと云って、一頻(ひとしき)り私を狙って居るという事を慥(たしか)に人を以(もっ)て聞いたそう云う手前が心で居たものが、又(ま)た此処(こゝ)に来て
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此(こ)の上(うへ)で又(ま)た立停(たちとま)つて前途(ゆくて)を見(み)ながら、由井(ゆゐ)ヶ濱(はま)までは、未(ま)だ三町(ちやう)ばかりあると、つく/″\然(さ)う考(かんが)へた。三町(ちやう)は蓋(けだ)し遠(とほ)い道(みち)ではないが、身體(からだ)も精神(せいしん)も共(とも)に太(いた)く疲(つか)れて居(ゐ)たからで。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
諷刺も神(しん)に入らざるこそ道理なれ、又(ま)た惜しむべし。
斯(か)う申(まう)すと、諸君(しよくん)は妙(めう)にお取(とり)になるかも知(し)れませんが、僕(ぼく)はこれでも窃(ひそ)かに大島小學校(おほしませうがくかう)出身(しゆつしん)といふことを誇(ほこ)つて居(ゐ)るのです。又(ま)た心(こゝろ)から感謝(かんしや)して居(ゐ)るので御座(ござ)います。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
松脂をつぎ込んでから一日たって居るので粘って抜けない、脇差の抜けませんのにいら立つ処を又(ま)た一刀(ひとかたな)バッサリと骨を切れるくらいに切り込まれて、向(むこう)へ倒れる処を
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし其(その)まゝ素直(まつすぐ)に立(た)つてるのが、餘(あま)り辛(つら)かつたから又(ま)た歩(ある)いた。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
又(ま)た或時(あるとき)は僕(ぼく)が寢(ね)て仕舞(しま)つてからカテリーナ
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
巡査(じゆんさ)は此處(こゝ)で初(はじめ)て新聞(しんぶん)を手離(てばな)した。自分(じぶん)はホツと呼吸(いき)をして我(われ)に返(かへ)つた。義母(おつかさん)はウンともスンとも言(い)はれない。別(べつ)に我(われ)に返(かへ)る必要(ひつえう)もなく又(ま)た返(かへ)るべき我(われ)も持(もつ)て居(ゐ)られない
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
すると宰取は追掛(おっか)けて行って足を一つ打払(ぶッぱら)うと、ぱたーり倒れましたが、直ぐに起上ろうとする処を又(ま)た打(ぶ)ちますと、眉間先(みけんさき)からどっと血が流れる。すると見物は尚わい/\云う。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
立(た)つたり、しやがんだりして居(ゐ)るばかりで、手拭(てぬぐひ)も持(もつ)て居(ゐ)ないらし、又(ま)た何時(いつ)出(で)る風(ふう)も見(み)えず、三時間(じかん)でも五時間(じかん)でも一日でも、あアやつて居(ゐ)るのだらうと自分(じぶん)には思(おも)はれた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
又(ま)た有助と云う男に手紙を持たせて、本郷春木町三丁目の指物屋(さしものや)岩吉方へ遣(つか)わしましたが、中々大騒(おおさわぎ)で、其の内に検使(けんし)が到来致しまして、段々死人を検(あらた)めますと、自ら死んだように
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
新吉は刀を取直して又(ま)た一刀(いっとう)三藏の脇腹をこじりましたから、三藏も遂(つい)に其の儘息が絶えました。すると手早く三藏の懐へ手を入れ、胴巻の金を抜き取って死骸を川の中へ投げ込んで仕舞い
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其処(そこ)で養父と僕とは此等(これら)の秘密を飽(あ)くまで人に洩(もら)さぬ約束をし、又(ま)た僕が此(この)先何かの用事で山口にゆくとも、たゞ他所(よそ)ながら父母の墓に詣(もう)で、決して公けにはせぬということを僕は養父に約しました。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
藤「はい有難う存じます、又(ま)た多分のどうもお恵みで有り難う存じます」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『今のこれとは何時(いつ)からです。』と銀之助は又(ま)た親指を出した。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大「あゝ大きに御苦労だが、又廻りの刻限が来たから往ってもらわなければならん、昼間お客来(きゃくらい)で又(ま)た遺失物(おとしもの)でもあるといかんから、仁助(にすけ)私(わし)が一人で見廻ろう、雪がちらちらと来たようだから」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)