“比(ひ)” の例文
雪吹(ふゞき)は樹(き)などに積(つも)りたる雪の風に散乱(さんらん)するをいふ。其状(そのすがた)優美(やさしき)ものゆゑ花のちるを是に比(ひ)して花雪吹(はなふゞき)といひて古哥(こか)にもあまた見えたり。
これは世に謂(い)ふ捕物ではないかも知れませんが、危險を孕(はら)むことに於ては、冷たい詭計(きけい)に終始した捕物などの比(ひ)ではないと言へるでせう。
わが日本民族(にほんみんぞく)は靈智(れいち)靈能(れいのう)を有(も)つてゐる。炳乎(へいこ)たる獨特(どくとく)の文化(ぶんくわ)を有(いう)してゐる。素(もと)より拓拔氏(たくばつし)や印度人(いんどじん)やトルコ人(じん)の比(ひ)ではない。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
慶応義塾(けいおうぎじゅく)はこの頃(ころ)、弟子いよいよ進(すす)み、その数すでに数百に達し、また旧日の比(ひ)にあらず。或夜(あるよ)、神明社(しんめいしゃ)の辺(ほとり)より失火し、予が門前(もんぜん)まで延焼(えんしょう)せり。
わが日頃(ひごろ)の誓(ちかひ)に反(そむ)くものなれば仰(おほ)せなれども御免下(ごめんくだ)されたし、好(この)みてするものはなき賤(いや)しき業(わざ)の、わが身も共々(とも/″\)に牛馬(ぎうば)に比(ひ)せらるゝを耻(はぢ)ともせず
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
今(いま)、海底戰鬪艇(かいていせんとうてい)の成敗(せいばい)を一身(いつしん)に擔(にな)へる貴下(きか)の身命(しんめい)は、吾等(われら)の身命(しんめい)に比(ひ)して、幾十倍(いくじふばい)日本帝國(につぽんていこく)の爲(ため)に愛惜(あいせき)すべきものなり。
内新好(ないしんかう)が『一目(ひとめ)土堤(づゝみ)』に穿(ゑぐ)りし通(つう)仕込(じこみ)の御(おん)作者(さくしや)様方(さまがた)一連(いちれん)を云ふなれば、其職分(しよくぶん)の更(さら)に重(おも)くして且(か)つ尊(たふと)きは豈(あ)に夫(か)の扇子(せんす)で前額(ひたひ)を鍛(きた)へる野(の)幇間(だいこ)の比(ひ)ならんや。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵、三文字屋金平(著)
形勢(けいせい)の急(きゅう)なるは、幕末の時に比(ひ)して更(さ)らに急なるその内乱(ないらん)危急(ききゅう)の場合に際し、外国人の挙動(きょどう)は如何というに、甚(はなは)だ平気(へいき)にして干渉(かんしょう)などの様子(ようす)なきのみならず
むかしは、宰相(さいしょう)を辞(じ)して人のために園(えん)にそそいだという話があるが、花前はそれに比(ひ)すべき感がある。
箸 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
而(しか)もこれは婦(をんな)の方(はう)から種々(しゆ/″\)の問題(もんだい)を持出(もちだ)して居(ゐ)るやうだそして多少(いくら)か煩(うるさ)いといふ氣味(きみ)で男(をとこ)はそれに説明(せつめい)を與(あた)へて居(ゐ)たが隨分(ずゐぶん)丁寧(ていねい)な者(もの)で決(けつ)して『ハア』『そう』の比(ひ)ではない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
一事を擧(あ)げて之を日本人及びアイヌの所業(しよげふ)に照らし、一物を採(と)つて之を日本人及びアイヌの製品(せいひん)に比(ひ)し、論斷を下すが如きは、畫報(ぐわはう)の記事(きじ)として不適當なるの感無きに非ざれば
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
都而是林友道の通覽に始て其要危をしるならん。實に是屋下(おくか)屋(おく)を架するの比(ひ)ならん。
他計甚麽(竹島)雑誌 (旧字旧仮名) / 松浦武四郎(著)
時に、多至波奈大郎女(たちばなのおほいらつめ)、悲哀嘆息し、畏(かしこ)みて、天皇の前に白(まを)して曰(いは)く、之(これ)を啓(まを)さむは恐(かしこ)しと雖(いへど)も、懐(おも)ふ心止(や)み難し。我が大王(おほきみ)が母王と期(ご)するが如(ごと)く従遊したまひ、痛酷(いたま)しきこと比(ひ)無(な)し。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
おかゝは、うんと藤村家(ふぢむらや)に驕(おご)らせて、此(こ)の安直(あんちよく)なことは、もづくの比(ひ)ではない。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
ヌルヌルした肌を戦(おのの)かせ、無恰好な手足を藻掻(もが)く、大蜘蛛の様なえぞわかめ、水底の覇王樹(さぼてん)と見えるかじめ、椰子(やし)の大樹にも比(ひ)すべきおおばもく、いやらしい蛔虫(かいちゅう)の伯母(おば)さんの様なつるも
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「おたがいに、愛情(あいじょう)があり、しんせつだったから、万物(ばんぶつ)の長(ちょう)といわれたが、いまは、残忍(ざんにん)なこと、ほかの動物(どうぶつ)の比(ひ)でないから、かえって、悪魔(あくま)に近(ちか)いといえるだろう。」と、S少年(エスしょうねん)がいいました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
誰(たれ)が思(がも)ひにか比(ひ)す螢(ほたる)一ツ風(かぜ)にたゞよひて只(たゞ)眼(め)の前(まへ)、いと子(こ)及(およ)ぶまじと知(し)りても只(たゞ)は有(あ)られず、ツト團扇(うちわ)を高(たか)くあぐればアナヤ螢(ほたる)は空遠(そらとほ)く飛(と)んで手元(てもと)いかゞ緩(ゆ)るびけん、團扇(うちわ)は卯(う)の花(はな)垣(がき)越(こ)えて落(お)ちぬ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
最(もつと)も其(そ)の(二九)羸弱(るゐじやく)なる者(もの)に比(ひ)せり。
弥左ヱ門が雪頽(なだれ)に熊を得たるは金一釜(きんいつふ)を掘得(ほりえ)たる孝子(かうし)にも比(ひ)すべく、年頃(としごろ)の孝心(かうしん)を天(てん)のあはれみ玉ひしならんと人々賞(しやう)しけりと友人(いうじん)谷鴬翁(こくあうをう)がかたりき。
櫻木大佐(さくらぎたいさ)が幾年月(いくねんげつ)の間(あひだ)苦心(くしん)に苦心(くしん)を重(かさ)ねたる結果(けつくわ)、或(ある)秘密(ひみつ)なる十二種(しゆ)の化學藥液(くわがくやくえき)の機密(きみつ)なる分量(ぶんりよう)の化合(くわごう)は、普通(ふつう)の電氣力(でんきりよく)に比(ひ)して、殆(ほと)んど三十倍(ばい)以上(いじやう)の猛烈(まうれつ)なる作用(さよう)を起(おこ)す事(こと)を發見(はつけん)し
当時薩兵(さっぺい)の勢(いきおい)、猛烈(もうれつ)なりしは幕末(ばくまつ)における長州の比(ひ)にあらず。
なほ例年(れいねん)に比(ひ)し寒威(かんゐ)きびしき由(よし)にて梅(うめ)なほ蕾(つぼみ)なり。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
弥左ヱ門が雪頽(なだれ)に熊を得たるは金一釜(きんいつふ)を掘得(ほりえ)たる孝子(かうし)にも比(ひ)すべく、年頃(としごろ)の孝心(かうしん)を天(てん)のあはれみ玉ひしならんと人々賞(しやう)しけりと友人(いうじん)谷鴬翁(こくあうをう)がかたりき。
此(この)魚形水雷(ぎよけいすいらい)は、其(その)全長(ぜんちやう)僅(わず)かに二呎(ヒート)三吋(インチ)、最大(さいだい)直徑(ちよくけい)三吋(インチ)に※(す)ぎず、之(これ)を今日(こんにち)の海戰(かいせん)に專(もつぱ)ら行(おこな)はるゝ保氏魚形水雷(ホルランドしぎよけいすいらい)に比(ひ)すると、其(その)大(おほい)さは七分(ぶん)の一にも足(た)らぬが、氣室(きしつ)、浮室(ふしつ)、尾片等(びへんとう)の設備(せつび)整然(せいぜん)として
其余(そのよ)の四郡(ぐん)は雪のつもる㕝三郡に比(ひ)すれば浅し。是を以論(ろん)ずれば、我住(わがすむ)魚沼郡は日本第一に雪の深(ふかく)降(ふる)所なり。
其余(そのよ)の四郡(ぐん)は雪のつもる㕝三郡に比(ひ)すれば浅し。是を以論(ろん)ずれば、我住(わがすむ)魚沼郡は日本第一に雪の深(ふかく)降(ふる)所なり。
余(よ)は山水に目を奪(うば)はれたるに「火をかしなされ」とて烟管(きせる)さしよせたる顔(かほ)を見れば、蓬髪(みだれがみ)素面(すがほ)にて天質(うまれつき)の艶色(えんしよく)花ともいふべく玉にも比(ひ)すべし。百結(つぎ/\)の鶉衣(つゞれ)此趙璧(てうへき)を羅(つゝ)む。