“賤”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いや66.8%
しず15.0%
いやし7.5%
しづ5.8%
やす1.2%
シヅ0.6%
あや0.3%
いやしき0.3%
おと0.3%
かろ0.3%
がつ0.3%
さ0.3%
さげす0.3%
さも0.3%
せん0.3%
ひく0.3%
イヤ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「口をおあきつてばさ!」彼女は男がさし出した手の平をぴしやりと撲(う)つて云つた。男は賤(いや)しく笑ひ乍らあんぐりと黒い口を開いた。
この婦(おんな)の日頃ねんじ奉(たてま)つる観音出でて僧と現(げん)じ、亡婦(ぼうふ)の腹より赤子を出(いだ)し、あたりの賤(しず)の女(め)にあづけ、飴をもつて養育させたまひけり。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
阿父さんはこの家業を不正でないとお言ひなさるが、実に世間でも地獄の獄卒のやうに憎み賤(いやし)んで、附合ふのも耻(はぢ)にしてゐるのですよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
佐久間玄蕃(さくまげんば)が中入(なかいり)の懈怠(けたい)のためか、柴田勝家(しばたかついへ)、賤(しづ)ヶ嶽(たけ)の合戰(かつせん)敗(やぶ)れて、此(こ)の城中(じやうちう)に一息(ひといき)し湯漬(ゆづけ)を所望(しよまう)して、悄然(せうぜん)と北(きた)の莊(さう)へと落(お)ちて行(ゆ)く。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
晏子対(こた)えて「仰(おおせ)の通りで御座ります。近来は踊(よう)の価が貴(たか)く、履(り)の価が賤(やす)くなりましたように存じまする」と申上げた。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
武家が都に入りまじる様になつた王朝末に、殊に目について来たのは「賤(シヅ)のみやび」に関する様々の物語であるが、此が此小町の物語には、融合して居る。
鸚鵡小町 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此の家賤(あや)しけれど、おのれが親の五〇目かくる男なり。五一心ゆりて雨休(や)め給へ。そもいづ地(ち)旅の御宿(やど)りとはし給ふ。御見送りせんも却(かへ)りて無礼(なめげ)なれば、此の傘(かさ)もて出で給へといふ。
やがて、此が知れると、月余(げつよ)、里(さと)、小路(こうじ)に油を買つた、其の油(あぶら)好(よう)して、而(しか)して価(あたい)の賤(いやしき)を怪(あやし)んだ人々が、いや、驚くまい事か、塩よ、楊枝(ようじ)よと大騒動(おおそうどう)。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
君の贈遺のもろ/\はアキルリュウスも賤(おと)しめじ。
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
原稿料を請取ると大いに満足して直ぐ何処(どこ)へか旅行しようと得意になる心のさもしさを賤(かろ)んじて日記に罵(ののし)っている。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
或(ある)ひは一一二山賤(がつ)の椎柴(しひしば)をおほひて雨露を凌(しの)ぎ、終(つひ)に擒(とら)はれて此の嶋に謫(はぶ)られしまで、皆義朝(よしとも)が姦(かだま)しき計策(たばかり)に困(くるし)められしなり。
話がだんだん賤(さ)みしくなって来た。顔に似合わず、彼女もやはり女であった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
重んずると賤(さげす)むとが新旧世界を分画する最も著明な境界線である
相変らず賤(さも)しい愚痴も出て、たまに買って来る好きなオレンジも、めったに彼女の口へ入らず、肉や肴(さかな)も思いやりなく浚(さら)われてしまうのだそうであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「身、五民ノ外ニ処シテ、或ハ貴(き)ニヨク、或ハ賤(せん)ニヨシ、上ハ王皇ニ陪シテ栄ト為サズ、下ハ乞児(きつじ)ニ伍シテ辱ト為サズ、優游シテ以テ歳ヲ卒(をは)ルベキモノ、唯我ガ技ヲ然(しか)リト為ス……エヘン」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大路の事であるから、貴(たか)き人も行き、賤(ひく)き者も行き、職人も行き、物売りも行き、老人も行けば婦人も行き、小児も行けば壮夫も行く、亢々然(こうこうぜん)と行くものもあれば、踉蹌(ろうそう)として行くものもある。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
飢エ仆(タオ)ルル共、二君ヲ求ムル心無ク、夫婦シテ流転年久シク、賤(イヤ)シキ業(ワザ)シテ歩クウチ、一年(ヒトトセ)中国ノ一寺ニ、一女ヲ捨テ、伝来ノ天音一管ヲ襁褓(ムツキ)ニ添エテ、慈悲ノ御廂(ミヒサシ)ニ
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)