“え”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:エ
語句割合
得17.8%
柄12.9%
笑11.0%
画8.0%
獲7.4%
餌7.3%
選5.2%
絵3.9%
枝2.6%
好2.2%
酔2.1%
江1.9%
択1.7%
可1.4%
撰1.3%
宜1.2%
良1.1%
重0.8%
会0.8%
鐫0.6%
偉0.5%
彫0.5%
榎0.5%
行0.4%
居0.4%
家0.3%
善0.3%
方0.3%
衣0.3%
上0.3%
豪0.2%
愛0.2%
合0.2%
壊0.2%
穫0.2%
抉0.2%
要0.1%
云0.1%
吉0.1%
大0.1%
兄0.1%
刳0.1%
嫌0.1%
微笑0.1%
縁0.1%
入0.1%
刻0.1%
咲0.1%
埃0.1%
役0.1%
慧0.1%
會0.1%
甚0.1%
生0.1%
痛0.1%
穢0.1%
美0.1%
胞0.1%
往0.1%
繪0.1%
能0.1%
煎0.1%
へ0.1%
ヶ枝0.1%
一本選0.1%
佳0.1%
傑0.1%
円0.1%
凍0.1%
出0.1%
宴0.1%
怨0.1%
柯0.1%
栄0.1%
無0.1%
畫0.1%
異0.1%
精0.1%
紺0.1%
葉柄0.1%
轅0.1%
醉0.1%
長0.1%
雕0.1%
飢0.1%
飼0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
込み上げて来る悲しさを、袂(たもと)の端で、じっと押えて、おろおろと、その場を立去りも得(え)せず、死ぬる思いを続けたことでございます。
人でなしの恋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
柄(え)を觀世縒(くわんぜより)で卷いて、生澁(きしぶ)を塗つてありますから、ひどく特色のあるものですが、不思議なことに、大して血が付いては居りません。
おちつきはらいながら表へ立って、笑(え)ましげにほほえみながら、静かに指さしたのは庭一面、道一面を埋めつくしている深い雪です。
青島 僕はかまわず堂脇の家の広い庭にはいりこんで画(え)を描いていてやった。そうしたら堂脇がお嬢さんを連れて散歩にやってきた。
ドモ又の死 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
されば真個(しんこ)の富強は決して一躍して獲(え)られるべきものではない、必ずや深くその根本を培養し、その素養を確実にせねばなりません。
国民教育の複本位 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
そらきた、と先生急に糸をたぐり始めるから、何かかかったと思ったら何にもかからない、餌(え)がなくなってたばかりだ。いい気味(きび)だ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
どんな時であったか、女御の所へ殿上役人などがおおぜい来ていて選(え)りすぐったような人たちで音楽の遊びをしていたことがあった。
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この人をモデルにして不満足(ふまんぞく)という題(だい)の絵(え)なり彫刻(ちょうこく)なり作ったならばと思われる。ふたりはしばらくのあいだ口もきかなかった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
やれ、やれ、昼寝の夢が覚めて見れば、今日はまた一段と暑いようじゃ。あの松(まつ)ヶ枝(え)の藤(ふじ)の花さえ、ゆさりとさせるほどの風も吹かぬ。
竜 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「そんなにせんでも好(え)えに。気の毒じゃナ」山城守は、機嫌を直した。「して、幸吉はもう帰ったのだな。その品物はどこにある」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
□加藤は恋に酔(え)ひ、小畑はみずから好んで俗に入る。この間、かれの手紙に曰く「好んで詩人となるなかれ、好んで俗物となるなかれ」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
それから計算してみると、大垣から見た山頂の仰角は、相当に大きく、たとえば、江(え)の島(しま)から富士を見るよりは少し大きいくらいである。
伊吹山の句について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
お俊は叔父の髪に触れて、一本々々択(え)り分けた。凋落(ちょうらく)を思わせるような、白い、光ったやつが、どうかすると黒い毛と一緒に成って抜けて来た。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『慝(かく)すには及ばんぞ、聞(きい)たら聞いたと言うが可(え)え。そんなら乃父(おれ)には考案(かんがえ)があるから。サア慝くさずに言うが可え。何か聞いたろう?』
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あの女を貰(もら)う気はないのか。好いじゃないか貰ったって。そう撰(え)り好みをする程女房に重きを置くと、何だか元禄時代の色男の様で可笑しいな。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
番「打(ぶ)たいでも宜(え)え、私(あたい)は理の当然をいうのや、お嬢様(さま)を殺して金子(かね)を取ったという訳じゃないが、然(そ)う思われても是非がないと云うのや」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「帰れるとも、飯(めし)でも喫(くっ)て、ゆっくり休むが良(え)え、朝、眼を覚した時分には、舟はもう走りよる、飯は途中で炊いて、ぬくぬくを喫わせる」
参宮がえり (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
四十年前の日も、つい昨日の日も、ここでは同じに明け、同じに暮れていたのだろう。津村は「昔」と壁ひと重(え)の隣りへ来た気がした。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
秀吉の此の酷いところ冷たいところを味わせられきっていて、そして天下の仕置は何様すべきものだということを会(え)しきっている氏郷である。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一寸裏をかえせば、その男の名がジャンの眼に、いや心の奥底へ永久に鐫(え)りつけられるだろう。そうするともう万事休矣(おしまい)だ。
父 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
燈台から燈台へ港から港へと辛(かろう)じて渡りつつあるのだ。何時(いつ)暗礁に乗上げて鯨に食べられてしまうかも知れないのである。全く偉(え)らそうな事はいえないものだ。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
自分すら忘れきった、彼の人の出来あがらぬ心に、骨に沁(し)み、干からびた髄の心までも、唯彫(え)りつけられたようになって、残っているのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
とうとう、彼は信濃(しなの)と美濃の国境(くにざかい)にあたる一里塚(いちりづか)まで、そこにこんもりとした常磐木(ときわぎ)らしい全景を見せている静かな榎(え)の木の下まで歩いた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「先刻(さつき)土手(どて)さ行(え)く時(とき)、堀(ほり)つ子(こ)ん處(とこ)へ辷(すべ)つたんですが、其(そ)ん時(とき)かうえに汚(よご)したんでせうよ」とおつぎは泥(どろ)に成(な)つた腰(こし)のあたりへ手(て)を當(あ)てた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『ア、家(え)に居(え)だのでヤなかつたけな。』と言つて、ムクリと身起した。それでもまだ得心がいかぬといつた樣に周圍(あたり)を見𢌞してゐたが
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お家(え)さん(奥さん)から、『松吉や、なでさん呼んどいで、それからついでにかきをこなから買うといで……』といわれて
りき お前は馬鹿正直の善(え)え人間だ。そりや俺が知つとる。だどもどんな善え人間でも自分じや気が附かねえで、人の気い悪くするような事するもんだ。
ぼたもち (新字新仮名) / 三好十郎(著)
シグナレスはじっとその雲の行(ゆ)く方(え)をながめました。それからやさしい腕木を思い切りそっちの方へ延(の)ばしながら、ほんのかすかに、ひとりごとを言(い)いました。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
盥(たらい)ほどある鉄の受糧器を持って、腕の太さの錫杖(しゃくじょう)を衝いている。あとからは頭を剃りこくって三衣(え)を着た厨子王(ずしおう)がついて行く。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
前者の「秋の空尾の上(え)の杉(すぎ)に離れたり」「息吹きかえす霍乱(かくらん)の針」「顔に物着てうたたねの月」
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかしそのエライという人も必然の結果で豪(え)らい人に成ったとすれば、ちょうど人間世界にエライ人とエラクナイ人とあるのは、植物に高い木と低い木とがあり
病牀苦語 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
愛(え)どしおえどし。
鹿踊りのはじまり (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
お糸と役者の乳繰合(え)えを嫉妬(やっか)んで、よんべおりきんとこから出て来る役者を、ここらで待ってばっさり殺(や)り、えこう、えれえ手の組んだ狂言(からくり)を巧(たくみ)やがったのう、やいやい、小僧、どうでえ
かかる病なん、終(つい)にその痛むところ、蓮(はちす)の花の開くがごとく壊(え)み崩れて腐り行けば、命幾日もあらずというを聞くにも、今は幾許(いくばく)ならずその界(さかい)に至らんと思えば、いとど安き心なし。
玉取物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
また豆を植えかつ豆を穫(え)んと欲するところに、麦が繁茂したならば、たとえ豆よりも尊いにしても、耕作者の目的に適(かな)わぬ以上は、やはりこれを害草と同じく取扱わねばならぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そうして抉(え)ぐったのでございます。果して、其処から、黒金剛石(くろダイヤ)の、耳飾が転がって出て来ました!
闘牛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
林「エヽイ、聞(け)くも聞(け)かねえも要(え)らねえ、放さねえかよ、これ放さねえかてえにあれ着物(けもの)が裂けてしまうじゃアねえか、裂けるよ、放さねえか、放しやがれ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
えゝ私(わし)ゃもう直(そご)に帰りましょう、まことに飛んだ事をお耳(めゝ)に入れてお気(け)の毒に思いますが、云(え)わぬでも成りませんから詮方(しょうこと)なしにお知らせ申した訳で、能(よ)くまア念仏ども唱えてお遣(や)りなされ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
播磨国賀毛郡河内ノ里では、苗代に草を敷かずに苗をおろした為来りを、神群行に繋げて説いてゐる。昔住(すみ)ノ吉(え)の神上陸の際、従神(トモガミ)が刈り草を解き散して座を設けた。
まれびとの歴史 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
あ……それじゃア何か二人ともにまア不義(わるさ)アして居ただアな、いゝや隠さねえでも宜(よ)い、不義(わるさ)アしたって宜(え)い、宜(え)い/\/\能くした、大(え)かくなるもんだアな
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
世は斯くぞ宇多の宇迦斯(うかし)に兄弟(えおと)あれど兄(え)は帰服(まつろ)はず弟(おと)ぞ仕へし
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
刳(え)ぐられたとこが多い、「今夜の泊まりはあすこだ」と霧のもつれ合っている間から、涸沢(からさわ)の谷底を眼の下に見て、嘉代吉が指さす、その霧のぴしゃぴしゃささやぐ間を
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
「百姓嫌(え)やになった。」——健は集ってきた友達に云った。
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「本当に済みませんでしたねえ、随分待ったでしょう。」此方(こちら)に顔を見せて微笑(え)んだ。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
堰敢(せきあへ)ず空(むな)しき死骸に抱(いだ)き付のう我が妻よ今一度此世に戻(もど)りて給はれや言事(いふこと)有(あり)と臥轉(ふしまろ)び如何(いか)成(なれ)ばこそ此如(このごと)く果敢無(はかなき)縁(え)にしに有りしやと呼(よ)び叫(さけ)べど答へさへ泣(なき)ゐる我子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「仲間さ入(え)れて貰えます」
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「うム、胆(きも)に刻(え)り込んで、おぼえておけ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しばらくすると、二歳(ふたつ)になる子が、片言交(かたことまじ)りに何やら言う声がする。咲(え)み割れるような、今の女中の笑い声が揺れて来る。その笑い声には、何の濁りも蟠(わだかま)りもなかった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
多祁理(たけり)とも、阿岐(あき)の埃(え)の宮
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
これに因りて役(え)の氣(け)悉に息(や)みて、國家(みかど)安平(やすら)ぎき。
慧(え)の方の眼を使って直覚的に
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
アキルリュウスの出でたれば——勇み集會(え)の席に就く。
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
利七も甚(え)ッと喜んで以来陳と友達同士のようになって暮しておりました。以前のことはわたしと陳とお種の三人の腹におさめ、生涯無かったことにすると約束をいたしました。
流石(さすが)名奉行様だから、永禪和尚が藤屋の女房(じゃアまア)お梅を連れて逃(の)げる時のことを知って居(い)るから、これを生(え)かして置いては露顕する本(もと)というて、斬(け)って逃(の)げたに違いないと云うので
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「続かない。身体痛(え)たくて、痛たくて!」
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
穢(え)に触れた人間を、館の屋の内の、どこに上げてもよくないぞ。それこそ、大事だ。神禰宜(かんねぎ)をよんで、穢れ払いをすますまで、土居外(どいそと)の、牛小屋へでも入れておけい。……そういうたのじゃ。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『七日八日見ねえでる間(うち)に、お定ツ子ア遙(ぐつ)と美(え)え女子(をなご)になつた喃(なあ)。』と四邊(あたり)構はず高い聲で笑つた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ぬるくにほえど、夜(よる)の胞(え)を
日本橋附近 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
林「出て往(ゆ)くも往(え)かねえも要(い)らねえ、否(えや)なら否(えや)で訳は分ってる、突然(えきなり)頭部(あたま)にやして、本当に呆れてしまう、何だって打(ぶ)ったよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
下男「いや林藏(れんぞう)何処へ往(え)く、なに旦那と一緒(えっしょ)に、然(そ)うかえ、一盃(えっぺい)飲(や)ったなア」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
やがてはフランスの中部(ちゆうぶ)ドルドーンヌのフオン・ド・ゴームといふ所(ところ)の洞穴(ほらあな)などにまた、同(おな)じような繪(え)のあることが發見(はつけん)せられたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
死後(しご)幾年(いくねん)かをへて、それが始(はじ)めて舊石器時代(きゆうせつきじだい)の繪(え)であることにきまり、今更(いまさら)サウツオラの手柄(てがら)を人々(ひと/″\)が認(みと)めるようになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ロミオは汝等(おぬしら)をば寢室(ねま)への通路(かよひぢ)にせうとお思(おも)やったに、予(わし)は志望(おもひ)を能(え)い遂(と)げいで、處女(をとめ)のまゝで世(よ)を去(さ)るのぢゃ。さ、綱(つな)よ。さ、乳母(うば)よ。これから婚禮(こんれい)の床(とこ)へ往(ゆ)かう。
バルタ いや、僕(ぼく)は能(え)い行(ゆ)きませぬ。主人(しゅじん)は僕(わたくし)をば既(はや)往(い)んだとのみ思(おも)うてをられます。若(も)しも此處(こゝ)に止(とゞ)まって樣子(やうす)など窺(うかゞ)はうならば、斬殺(きりころ)してのけうと、怖(おそろ)しい見脈(けんみゃく)で嚇(おど)されました。
馬(うま)に煎(え)れんのが癖(くせ)でひゝんと騷(さわ)いだ處(ところ)俺(お)れ手(てえ)横(よこ)さ出(だ)して抑(おさ)えたもんだから畜生(ちきしやう)見界(みさけえ)もなく噛(かぢ)ツたんだからなあ
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「篦棒(べらぼう)、以前(めえかた)のことなんぞ、外聞(げえぶん)惡(わ)りい、俺(お)らなんざこんで隨分(ずゐぶん)無鐵砲(がしよき)なこたあしたが、こんで女(をんな)にや煎(え)れねえつちやつたから」と首(くび)に珠數(じゆず)を卷(ま)いた爺(ぢい)さんが側(そば)でそれを見(み)て居(ゐ)て呶鳴(どな)つた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
瑠璃(るり)色の風が今にも吹いて来るのを待ちかまへ(え)てゐ(い)るぢ(じ)ゃないか。
ぼろぼろな駝鳥 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
参差(しんし)たる松(まつ)ヶ枝(え)、根に上(あが)り、横に葡(は)い、空にうねって、いうところの松籟般若(しょうらいはんにゃ)を弾ずるの神境(しんきょう)である。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
一本選(え)り取って見たら、頬冠(ほおかむり)した親爺が包を背負って竹皮包か何かを手に提げて居るのであった。
車上の春光 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
『そら分りまんがな、直(ぢつ)きに。……カザがしますよつて、佳(え)えカザや。……何(な)んぼ隱れなはつても、あきまへんで。』
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
えゝ、さうですとも、あれは傑(え)ら物(もの)ですよ。あの師団長は第一答礼の仕方からしてちがひまさあ。かういふ風にね、ゆつくりかう腕を上げてね(と、彼は身振りをして見せる)。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
「間違いなんかいたしません、百八十五円(え)ン」
古銭の謎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「お父(どう)、行(え)つてお出(え)で。」と云つた。
一九二八年三月十五日 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
夕餐(ゆふげ)の宴(え)ひらきそむらし。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
人もさはよか※なりと怨(え)じて、掻いくくみて臥しぬる後、いと寒き折などに、唯単衣(ひとえぎぬ)ばかりにて、生憎(あやにく)がりて……思ひ臥したるに、奥にも外にも、物うち鳴りなどして恐(おそろ)しければ
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「晋(しん)の王質と云う樵夫(きこり)が山の中で童子が碁を打っているのを見ていたら、その間に斧(おの)の柯(え)が爛(ただ)れた、とやら云うようなことではございませんでしたでしょうか」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そして、仙吉の考へに従へば、「栄(え)エウに暮せるのだ」何をコセコセした村でなんかくすぼつてることがあらうぞ。
反逆の呂律 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
何有(なあに)ハア、俺みたいな惡黨女にや神樣も佛樣も死(くたば)る時で無(え)えば用ア無えどもな。何だべえせえ。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
またあのヨーロッパの舊石器時代(きゆうせつきじだい)の大昔(おほむかし)のように、洞穴(ほらあな)に描(か)いたすばらしい動物(どうぶつ)の畫(え)などはまったくなく、たゞ銅鐸(どうたく)の上(うへ)に現(あらは)してある簡單(かんたん)な子供(こども)が描(か)いたような
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
林「然(そ)う邪魔にせなえでも宜(え)えが、是でちゃんと縁附(えんづく)は極(けま)っているからね、知らず/\して縁は異(え)な物味な物といって、ちゃんと極(きま)っているからね」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
中にはその手をもう太刀の柄(つか)がしらにかけている者もあった。そのていが最初から喧嘩腰である。人数は対等でも、玉藻の供は相手ほどに精(え)り抜いた侍どもではなかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
見ると、紺(え)の香のにおう法被(はっぴ)の腰に、棕梠縄(しゅろなわ)を帯にむすんで、それへ鋏(はさみ)をさした若いいなせな植木屋である。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
桐や、アカシヤや、赤垂柳(あかしで)などの葉が、長い葉柄(え)をつけたまま小径やベンチの上はうずたかくなる。
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
城の縄張りをした体(てい)に、車の轅(え)の中へ、きちんと入って、腰は床几(しょうぎ)に落したのである。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼はぼんやりして、そこに坐ったまま、少しは醉(え)い心地になった。
幸福な家庭 (新字新仮名) / 魯迅(著)
かつ/″\も、いやさき立(だ)てる 長(え)をしまかむ(神武天皇(じんむてんのう))
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
上にも言った通り、この神の一族は蛇を族霊(トテム)としたから、この時も品地別命が肥長比売の膚に雕(え)り付けた蛇の族霊の標(しるし)か何かを見て、その部族を忌み逃げ出した事と思う。
「しなてる片岡山に、飯(いい)に飢(え)て臥(こや)せる、その旅人(たびと)あはれ。親なしになれなりけめや、さすたけの君はやなき、飯に飢て臥せる、その旅人あはれ」
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
壱銭銅貨位のや天保銭位の大きさのを買ってもらって悦んだが、飼(え)に蚯蚓(みみず)をやるので嫌いになった。私は蛇より蚯蚓が厭だ。