“善(え)” の例文
「あゝ善(え)え處(とこ)だ、よう、おつぎ、少(ちつ)と此處(ここ)まで來(き)てくんねえか」といつた。彼(かれ)は百姓(ひやくしやう)の間(あひだ)には馬(うま)を曳(ひ)いて歩(ある)く村落(むら)の博勞(ばくらう)であつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
りき お前は馬鹿正直の善(え)え人間だ。そりや俺が知つとる。だどもどんな善え人間でも自分じや気が附かねえで、人の気い悪くするような事するもんだ。
ぼたもち (新字新仮名) / 三好十郎(著)
職人じゃによって礼儀には疎(うと)いが、心がけの善(え)い人で、第一陰徳(いんとく)を施す事が好きで、此の頃は又仏のことに骨を
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その人(にん)その人(にん)の心がけの善(え)え惡いといふことだけぢやない。ほかに原因がありやそれを除きたい、おれのやうなものにも出來ることがありや、何(なん)なとしたいとかう思つたのだ。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
善(え)しや、善(え)しや、弥栄(いやさか)。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「おつう等(ら)だつて今(いま)に善(え)えこともあらな、そんだがおつかゞ無(な)くつちや衣物(きもの)欲(ほ)しくつても此(これ)ばかりは仕(し)やうがねえのよな」女房(にようばう)はいつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
善(え)しや、善(え)しや、彌榮(いやさか)。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「待(ま)つてれば善(え)えんだなおとつゝあ、洗(あら)ひまでも仕(し)ねえのにどうしたもんだ」酒席(しゆせき)の趾(あと)を見(み)ておつぎは呟(つぶや)いた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)