“微(び)” の例文
微(び)に入り細(さい)に亘(わた)るのは学術の本義ですけれども、学生時代に色々な学説を聞かされるということは可(か)なり厄介に感ずるものです。
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
人々は、今は石のように身動きもせず、ジットリと汗ばむ手を握りしめて、微(び)に入(い)り細(さい)を穿(うが)って鮮かな、名探偵の推理に聴き入っていた。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
……數へ來れば幾等もあるが、結句、田島校長=0という結論に歸着した。詰り、一毫の微(び)と雖ども自分の氣に合ふ點がなかつたのである。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
士卒(しそつ)未(いま)だ附(つ)かず、百姓(せい)信(しん)ぜず。人(ひと)微(び)にして權(けん)輕(かろ)し。願(ねが)はくは君(きみ)の寵臣(ちようしん)・國(くに)の尊(たつと)ぶ所(ところ)を得(え)て以(もつ)て軍(ぐん)を監(かん)せしめば、乃(すなは)ち可(か)ならん
天然を講究する人一草一木の微(び)を知り、人事を観察する人一些事一微物の真面目(しんめんぼく)を識(し)り、人間心中間一髪(かんいっぱつ)の動機を観る者は絶無にして僅有(きんゆう)なり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
平次の話は微(び)に入り細を穿(うが)ちました。話り了つて顏を擧げると、お勢は三鉢四鉢大輪の朝顏を並べた縁に突つ伏して正體もなく泣いて居るのでした。
壮(そう)な音色(ねいろ)、悲愁(ひしゅう)な叫び、または嘈々(そうそう)としてさわやかに転変する笙の余韻(よいん)が、志賀(しが)のさざ波へ微(び)に妙(たえ)によれていった——
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各藩相互に自家の利害(りがい)栄辱(えいじょく)を重んじ一毫(いちごう)の微(び)も他に譲(ゆず)らずして、その競争の極(きょく)は他を損じても自から利せんとしたるがごとき事実を見てもこれを証すべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
一鳥の微(び)なるだに、死せんとするや其声人を動かすと云わずや。太祖の遺詔感ず可(べ)く考う可(べ)きもの無からんや。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
又、バクダッドの宮室庭園を写した文章の如きは、微(び)に入り細(さい)を穿(うが)つて居(を)つて、光景見るが如きものがある。
ばけものゝ一面(めん)は極(きは)めて雄大(ゆうだい)で全宇宙(ぜんうちう)を抱括(はうくわつ)する、而(しか)も他(た)の一面(めん)は極(きは)めて微妙(びめう)で、殆(ほとん)ど微(び)に入(い)り細(さい)に渉(わた)る。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
あまりにも微(び)に入り細(さい)をうがって、いかにも真に迫っているものだから、検事はそれにて罪状明白、証拠充分ということになって、私は、ばかを見るかも知れない。
春の盗賊 (新字新仮名) / 太宰治(著)
わが力を致せるや虚ならず、知らんと欲するや切なり。しかもわが知識はただかくのごとく微(び)なり
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
察するに是は「織る者は着ず、耕す者は食わず」の古い諺(ことわざ)のごとく、島々に分かれ住した貧しく力微(び)なる人々に取って、みずから愛用すべくあまりにも貴重なる宝の貝であった故に
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これが最初(さいしよ)の部分(ぶぶん)に初期微動(しよきびどう)とて微(び)の字(じ)が冠(かん)せられる所以(ゆえん)である。さうして主要動(しゆようどう)が大地震(だいぢしん)の場合(ばあひ)に於(おい)て、破壞作用(はかいさよう)をなす部分(ぶぶん)たることは説明(せつめい)せずとも既(すで)に了得(りようとく)せられたことであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
瞬かざるのみではまだ射(しゃ)を授けるに足りぬ。次には、視(み)ることを学べ。視ることに熟して、さて、小を視ること大のごとく、微(び)を見ること著(ちょ)のごとくなったならば、来(きた)って我に告げるがよいと。
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
伏して念う、某、殺青(さつせい)を骨となし、染素(せんそ)を胎(たい)と成し墳壟(ふんろう)に埋蔵せらる、是(こ)れ誰(たれ)か俑(よう)を作って用うる。面目機発、人に比するに体(たい)を具えて微(び)なり。既に名字(めいじ)の称ありて、精霊(しょうりょう)の異に乏(とぼ)しかるべけんや。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
飛衞(ひゑい)肯(きか)ずして曰(いは)く、未也(まだなり)。亞(つい)で視(み)ることを學(まな)ぶべし。小(せう)を視(み)て大(だい)に、微(び)を視(み)て著(いちじる)しくんば更(さら)に來(きた)れと。昌(しやう)、絲(いと)を以(もつ)て虱(しらみ)を牖(まど)に懸(か)け、南面(なんめん)して之(これ)を臨(のぞ)む。旬日(じゆんじつ)にして漸(やうや)く大(だい)也(なり)。三年(さんねん)の後(のち)は大(おほき)さ如車輪焉(しやりんのごとし)。
術三則 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
得テ年来ノ宿望漸ク将ニ成ラントスルヲ欣(よろこ)ビ奮ツテ自ラ其説文ヲ起コシ其図面ヲ描キ拮据(きっきょ)以テ日ニ其業ニ従ヘリ而シテ其書タル精ヲ極メ微(び)ヲ闡(ひら)キ以テ本邦今日日新学術ノ精華ヲ万国ニ発揚スルニ足ルベキモノト為サント欲スルニ在ルヲ以テ之ヲ済(な)ス必ズヤ此ニ幾十載ノ星霜ヲ費ス可ク其間日夜孳々(しし)事ニ之レ従ヒ其精神ヲ抖擻(とそう)シ其体力ヲ
微(び)に入(い)り細(さい)を穿(うが)ち描写するに過ぎない、謂わば一人よがりの退屈極(きわ)まる代物だったものですから、それは無理もないことと云わねばなりません。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
平次の話は微(び)に入り細を穿(うが)ちました。語りおわって顔を挙げると、お勢は三鉢四鉢大輪の朝顔を並べた縁に突っ伏して、正体もなく泣いているのでした。
おそらく微(び)に入り細(さい)に亙(わた)って問われたであろうことは疑いない。時々の人の気はいもないような沈黙がつづくかと思うと、諄々(じゅんじゅん)と、また密(ひそ)かな声が洩れる。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
或は婦人が漫(みだり)に男子の挙動を疑い、根もなき事に立腹して平地に波を起すが如き軽率もあらんか、是れぞ所謂嫉妬心なれども、今の男子社会の有様は辛苦(しんく)して其(その)微(び)を窺うに及ばず
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
(是(これ)鄭暁(ていぎょう)の方先生伝(ほうせんせいでん)に本(もと)づく)真(まこと)に然(しか)り、孝孺の志すところの遠大にして、願うところの真摯(しんし)なる、人をして感奮せしむるものあり。雑誡の第四章に曰く、学術の微(び)なるは、四蠹(しと)之(これ)を害すればなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
微(び)に入(い)り細(さい)を穿(うが)った分析並(ならび)に綜合の結果、塵(ちり)一筋(ひとすじ)の手抜かりもない、絶対に安全な方法を考え出したのだ。
心理試験 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
法令は、年ごとに、微(び)に入り細(さい)に入って、小やかましい箇条を加え、鷹匠(たかじょう)、鳥見組の同心は、ことごとく御犬奉行や犬目付へ転職になり、市中には、犬医者のかんばんが急にふえた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次の推理は微(び)に入り細を穿(うが)ちます。
平次の説明はます/\微(び)に入ります。
平次の推理は微(び)に入り細を穿(うが)ちます。