“かね”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カネ
語句割合
金26.7%
予14.2%
鉦13.2%
兼9.4%
鐘8.4%
金子4.7%
豫4.1%
鉄漿4.0%
鉄1.9%
銀1.6%
金銭1.5%
銭1.0%
黄金1.0%
鐵漿0.9%
難0.5%
貨幣0.4%
金錢0.4%
金属0.3%
貨0.2%
財産0.2%
資金0.2%
銅0.2%
鐵0.2%
砂金0.1%
夙0.1%
磬0.1%
財0.1%
鉱0.1%
現金0.1%
直角0.1%
矩尺0.1%
規尺0.1%
金円0.1%
金貨0.1%
金額0.1%
号鐘0.1%
嘉禰0.1%
號鐘0.1%
金屬0.1%
借金0.1%
冶0.1%
加禰0.1%
古金0.1%
叩鉦0.1%
幣0.1%
平常0.1%
平鐘0.1%
持参金0.1%
振鈴0.1%
曲尺0.1%
梵鐘0.1%
河根0.1%
磐0.1%
紙幣0.1%
薄々金0.1%
財貨0.1%
資産0.1%
賭金0.1%
蹄鉄0.1%
金品0.1%
金坑0.1%
金銀0.1%
金鼓0.1%
鉦鼓0.1%
鉱石0.1%
銕0.1%
銕漿0.1%
鋼0.1%
鏐0.1%
鐃0.1%
鐸0.1%
預0.1%
鯨音0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「なにか、心(こころ)から娘(むすめ)を喜(よろこ)ばせるような美(うつく)しいものはないものか。いくら高(たか)くても金(かね)をば惜(お)しまない。」と、両親(りょうしん)は、人(ひと)に話(はな)しました。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
沈黙家(むつつりや)ではあつたが、世間並に母親(おふくろ)が一人あつた。この母親(おふくろ)がある時芝居へ往(ゆ)くと、隣桟敷(となりさじき)に予(かね)て知合(しりあひ)の某(なにがし)といふ女が来合せてゐた。
こうなんでございます、まるでお経ではございませんか、合の手にはチーンとか、カーンとかお鉦(かね)を入れたくなるではございませんか
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
兼(かね)て須永から聞いている内幸町(うちさいわいちょう)の叔父さんという人に、一応そういう方の用向で会っておきたいから紹介してくれと真面目(まじめ)に頼んだ。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
庵主(あんじゅ)さんは、よそゆきの茶色(ちゃいろ)のけさを着(き)て、鐘(かね)のまえに立(た)つと、手(て)にもっている小(ちい)さい鉦(かね)をちーんとたたいて、お経(きょう)を読(よ)みはじめた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
併し町人と違つて其処が大名育ちだから強(あなが)ち金子(かね)で張らうといふ鄙(さも)しい考は無いやうだが、イヤモウ一生懸命に精々(せつせ)と進物を運び込む。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
其(そ)の時(とき)、豫(かね)て校庭(かうてい)に養(やしな)はれて、嚮導(きやうだう)に立(た)つた犬(いぬ)の、恥(は)ぢて自(みづか)ら殺(ころ)したとも言(い)ひ、然(しか)らずと言(い)ふのが——こゝに顯(あらは)れたのでありました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「きょうは御馳走のある日だったね」と、地弾きのお辰は海苔の付いたくちびるを拭きながら、鉄漿(かね)の黒い歯をむき出して笑った。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
鉄(かね)の橋のそばの富竹という寄席には、横浜生え抜きの落語家(はなしか)桃太郎と千橘(せんきつ)の招き行燈が、冬靄(ふゆもや)のなかに華やかな灯の色を見せて揺れていた。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
張横はにんやりとし、ぞんぶん一人一人のふところをゆすッて、銀(かね)や持物をとりあげ、ほどよい岸へ着けて追ッ放してやるのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
嫉妬(しっと)、猜疑(さいぎ)、朋党異伐、金銭(かね)に対する狂人(きちがい)のような執着、そのために起こる殺人兇行——あるものと云えばこんなものばかりです。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それから暫くたった時、今日はうまい物を腹いっぱい食べて銭(かね)を費(つか)ってしまってやろうと思った。寿司(すし)が第一に眼についた。
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
芸妓買(げいしやがひ)はなさる、昨年あたりは慥(たし)か妾を囲(かこ)つてあると云ふ噂(うはさ)さへ高かつた程です、只(た)だ当時黄金(かね)がおありなさると云ふばかりで、彼様(あんな)汚(けが)れた男に
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
本堂(ほんだう)に額(ぬかづ)き果(は)てて、衝(つ)と立(た)ちて階(きざはし)の方(かた)に歩(あゆ)み出(い)でたるは、年紀(とし)はやう/\二十(はたち)ばかりと覺(おぼ)しき美人(びじん)、眉(まゆ)を拂(はら)ひ、鐵漿(かね)をつけたり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
墓石(ぼせき)は戒名も読め難(かね)る程苔蒸して、黙然として何も語らぬけれど、今来(きた)って面(まのあた)りに之に対すれば、何となく生きた人と面(かお)を合せたような感がある。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それが始めて分ったとき、貨幣(かね)だと思って握っていたのが、枯葉であったより、もっと彼等はキョトンとしてしまった。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
カルメンやリゴレットやラ・ボエームやボリス・ゴドノフなど、私は金錢(かね)の許す限り其等を見に行つた。
かめれおん日記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
下の方は、足をのせる金属(かね)の台があつて、それには透かし彫りの模様があります。——この立派な腰掛に腰掛けてやつてもらふのです。二人はまた何となく顔を見合はせました。
疣 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
それから今一つの難渋は洗湯(ゆ)の高い事で、入浴料が日本の貨(かね)で一円二三十銭。
養女をば若干(なにがし)の財産(かね)を付けて実家へ返へして仕舞つた。家(うち)は親父の病気を頼みきりにした医師への礼にやつて仕舞つた。かくて翁は全く家を外の人になり終つた。
大野人 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
東京の成金は、資金(かね)が出来ると、誰に勧められたともなく、直ぐ茶器を集めにかゝる。そして文琳(ぶんりん)の茶入とか嫰古(のんこ)の黒茶碗とかに大金を投げ出して、それを手に入れる。
どうもあの銅(かね)の鏡は髮の色でもなんでも生々(いきいき)としたところがうつらないで陰氣です。
鏡二題 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
菱形轡(ひしがたぐつわ)蹄(ひづめ)の鐵(かね)
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
事を挙(あ)げるには金だ。砂金(かね)を手に入れて来るというのだ。将門には、地理的な知識もない。眼を瞠(みは)って聞くばかりである
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漣山人(さゞなみさんじん)は此頃(このごろ)入社したので、夙(かね)て一六翁(いちろくおう)の三男(さんなん)に其人(そのひと)有りとは聞いて居(ゐ)たが、顔を見た事も無かつたのであつた所、社員の内(うち)に山人(さんじん)と善(よ)く識(し)る者が有つて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それより諸堂を参拝し、随求塔(ずゐぐたふ)の前に備へたる磬(かね)を自己の歳だけ打ち鳴らすべし。尚、本堂にて厄除の万灯を奉納し、厄除の守を受け、又、寺務所に於て、厄除祈祷を申込まるべし”
にはかへんろ記 (新字旧仮名) / 久保田万太郎(著)
財(かね)があるにまかせて、随分思い切った振舞をするので、その度に世間の人たちから
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
おかしき男かなと思いてさまざまの事を問うに、極めて石を愛(め)ずる癖ある叟(おじ)にて、それよりそれと話の次(ついで)に、平賀源内の明和年中大滝村の奥の方なる中津川にて鉱(かね)を採(と)りし事なども語り出でたり。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
つまり、それだけの現金(かね)で、借金(かり)だらけの具足屋を、わしひとりのものに買い取ったのだ。ありがたくない荷物は、ありがたくない荷物に相違ないが、あの場合やむを得んと思ったのだ
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
荒々しい声と一しょに、立って、表戸と直角(かね)になった草壁の蔀戸(しとみど)をつきあげたのは、当麻語部(たぎまのかたり)の媼(おむな)である。北側に当るらしい其外側は、牕(まど)を圧するばかり、篠竹(しのだけ)が繁って居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
皆の仕事を監督(みまわ)りかたがた、墨壺墨さし矩尺(かね)もって胸三寸にある切組を実物にする指図命令(いいつけ)。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
椽板椽かつら亀腹柱高欄垂木桝(ます)肘木(ひぢき)、貫(ぬき)やら角木(すみぎ)の割合算法、墨縄(すみ)の引きやう規尺(かね)の取り様余さず洩さず記せしもあり、中には我の為しならで家に秘めたる先祖の遺品(かたみ)、外へは出せぬ絵図もあり
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「五円なんと云ふ金円(かね)は有りはせん」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わたしが死んだあと、黄ろい金貨(かね)のいっぱい詰まった靴足袋を
金額(かね)を半分ぐらい取ったのではないかアと思われても是非がないやないか
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今も申上げようかと思ひあんしたども、お話中に容喙(くちだし)するのも悪いと思つて、黙つてあんしたが、先刻(さつき)その、号鐘(かね)が鳴つて今始業式が始まるといふ時、お出しになりあんしてなす。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
健は卓の上から延び上つて、其処に垂れて居る索(なは)を続様(つづけざま)に強く引いた。壁の彼方(かなた)では勇しく号鐘(かね)が鳴り出す。今か/\とそれを待ちあぐんでゐた生徒等は、一しきり春の潮(うしほ)の湧く様に騒いだ。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
明治二十六年十二月に至って枕山の女嘉禰(かね)が亡父晩年の作を編成し『枕山先生遺稿』と題してこれを剞劂(きけつ)に付した。杉浦梅潭(ばいたん)の序に
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
十二月二十二日に枕山の長女嘉禰(かね)が生れた。嘉禰は大正十三年の今日なお健在である。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
健は卓の上から延び上つて、其處に垂れて居る索(なわ)を續け樣に強く引いた。壁の彼方では勇しく號鐘(かね)が鳴り出す。今か今かとそれを待ちあぐんでゐた生徒等は、一しきり春の潮の樣に騷いだ。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『は。……いや、それでごあんすでば。今も申上げようかと思ひあんしたども、お話中に容喙(くちだし)するのも惡いと思つて、默つてあんしたが、先刻その、號鐘(かね)が鳴つて今始業式が始まるといふ時、お出しになりあんしてなす。ハ、これでごあんす。』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その誰なるやを見んとて首(かうべ)を擧ぐればひとりの者みゆ、爐の中なる玻璃または金屬(かね)といふとも斯く光り 一三六—
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
聖なる門の鳴(なり)よき強き金屬(かね)の肘金(ひぢがね)、肘壺(ひぢつぼ)の中にまはれるときにくらぶれば 一三三—一三五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
俺(おら)が友達が一人印度に居(を)るだが、何でもその話によると、向うでは畑を抵当(かた)に借金をしようちふんで、持地(もちぢ)をぐるり一廻り検分して帰ると、もう借金(かね)の返済期になつとるので
天智(てんじ)天皇のみ代だけについて見ても「是(この)歳(とし)水(みず)碓(うす)を造り而(て)冶(かね)※(わかす)」とか「始(はじめ)て漏剋(ろうこく)を用う」とか貯水池を築いて「水城(みずき)」と名づけたとか、「指南車」「水臬(みずばかり)」のような器械の献上を受けたり
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
二月十八日に棠軒の女乃夫(のぶ)が福山にあつて痘瘡に死した。年僅に四歳である。三月二十四日に女加禰(かね)が福山に生れた。五月十一日に棠軒は正方に随つて江戸を発し、閏(じゆん)五月八日に福山に著いた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あの何(なん)とか云ったっけ巴(ともえ)の紋じゃアねえ、三星とか何とか云う印(いん)が押して有る古金(かね)を八百両何家(どこ)かで家尻を切って盗んだ泥坊が廻り廻って来てそれでまア、彼(あ)の親孝行な…
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
やがて和讃(わさん)がはじまる。叩鉦(かね)の音が揃(そろ)って、声自慢の男女が集ると
そこで富豪は幣(かね)を出して胡を自分の家へ置いた。胡は児(こども)を教育するにあたって心切(しんせつ)で勤勉であった。それに学問が博くてしたっぱな人間でないということが解った。
胡氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
みんな防寒用の外套(がいとう)を着て、重々しい歩調だった。………低い声で、平常(かね)て……などにみるあンな軽い溌溂(はつらつ)さのないのが、スクむような感じだった。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
観音の平鐘(かね)の緒長くこきたれしながき春日も暮れはてにけり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
婚姻しようとしても持参金(かね)が無い、ぢや職業を求めようとして見れば、教育ある婦人に適した職業が無い、といふ処より教育が有つて職業が無い婦人が
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
やがて、雨合羽をまとった駅の小使が、停車場前の広場に、大きな振鈴(かね)をぶら下げて、出て行った。それを、カラン、カラン、カラン、と、大きく振って鳴らしながら
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
予の考をもてすれば鐘が淵は曲尺(かね)が淵にて、川の形曲尺(まがりがね)の如く曲折するによりて呼びたる名なりと判ず。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
寺院で鳴らす梵鐘(かね)の音が、幽ながらも聞えて来た。夕陽が褪めて暗くなった。
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
真言(しんごん)宗の霊場、紀州の高野山(こうやさん)は誰も知らぬ人はありません。ですがその麓にある村の古沢や河根(かね)などで漉(す)かれる「高野紙(こうやがみ)」もこの寺につれて記憶されねばなりません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
小さな磐(かね)を鳴らして、片手に黒塗の椀を持(もっ)て、戸毎(こごと)、戸毎に立って、経を唱え托鉢をして歩いた。
僧 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌日は二束三束の紙幣(かね)調へたまひて、直ぐにあなたへ送らせたまひしかば。一週間をも経たぬ内に、我は床しきその人を、またも明け暮れ見る事を得てき。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
松公は無論本氣ではなかつたらしいが、女が容易に放さぬので、可厭々々(いや/\)ながらも自由になつてゐた。其事が何時(いつ)か薄々金(かね)の耳へ入つた。金(かね)の足は、何時かバツタリ絶えてしまふ。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
青楼(ちやや)へ遊びにゆく客といふものは、大抵見え坊で、内証(ないしよう)はぴいぴいでも、懐中(ふところ)には山を購(か)ひ、邸(やしき)を購ひ、馬を購ひ、郵便切手を購ひ、お剰(つり)で若い妓(をんな)の微笑(わらひ)を購ふ位の財貨(かね)は
資産(かね)のあるにまかせて、堀留から蠣殻町まで、最も殷賑(いんしん)な人形町通りを、取りまき出入りの者を引きしたがえて、廓(くるわ)のなかを、大尽(だいじん)客がそぞめかすように、日ごとの芝居茶屋通いで
それだのに賭金(かね)を引こうともせず、依然として三の目へ張り
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
焼き鉄(がね)よはやるひづめに蹄鉄(かね)うつと己(し)が踝(くるぶし)も火もて焼きそね
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「……今度の兇行の動機は怨恨(えんこん)関係じゃないでしょうか。金品(かね)を奪ったのは一種の胡麻化手段(カモフラージ)じゃないですかな」
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
別に何ともないのに、何だかミンナが欺されて島流しにされるんじゃねえか。佐渡が島へ金坑(かね)掘りに遣られるんじゃねえか……なんて考えているとドウモ頂くものが美味(おい)しく御座んせん。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と云(い)ふので、レツシング先生或時(あるとき)、机の上へ金銀(かね)をバラ/″\散らかしたまゝ、スーツと友達の家(うち)へやつて参(まゐ)り、レ
蜀の陣で金鼓(かね)を鳴らすと、それを機(しお)に、魏のほうでも引揚げの鼓を叩き、龐徳も関羽も、同時に矛(ほこ)を収めて、各〻の営所へ引き退いた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女は、立ってれいの光る小さい堂宇(どうう)の前へ行った。そして細い一本の草のような烟るものに火を点(つ)けた。かれらは、かれらの生んだものを慕うそれにふさわしい、小さいお鉦鼓(かね)を叩いた。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
七つ森の二つがなかのひとつなり、 鉱石(かね)など掘りしあとのあるもの。
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
銕(かね)の針に傷(きずつ)けられて命終るといい、普通には穴の口に近よって人が立聴きするとも知らず蓬(よもぎ)と菖蒲(しょうぶ)の葉の秘密を漏した話などになっており、嫗岳(うばたけ)の大太童(だいだわらわ)のごとく子孫が大いに栄えたという場合は
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ところが娘が嫁(よめ)になり母になるころに歯黒めをする風習は、五十年ほど前からなくなって、まだそういう事を聴いていない人があり、あの雀の頬(ほお)の黒い斑(まだら)が、銕漿(かね)のよごれだという話をしても
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
鏡は丸い鋼(かね)の鏡——夏になるとよく磨師(とぎし)に磨かせてゐましたが、とにかく黒ずんだ、沈んだ顏が鏡の底の底の方に生氣なくうつるのでした。
鏡二題 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
「廿七日。晴。慧観童女七回忌迨夜。貞白来飲且飯(きたりいんかつはんす)。」慧観は棠軒の女鏐(かね)である。慶応三年五月二十八日に夭した。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
自分も男達と共に坐ると、『お前は女だから。』と言つて、ずつと前の方へ出された。見た事もない小僧達が奥の方から沢山出て来て、鐃(かね)や太鼓を鳴らし初めた。それは喇叭節の節であつた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
なにか鐸(かね)を鳴らしていると、そこへ丁度お父っさんが外から帰って来て、その六部と顔見あわせて何だか大変にびっくりしたような風だったそうで、それから二人が小さい声でしばらく立ち話をして
半七捕物帳:19 お照の父 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
得んと欲(ほっ)せしが預(かね)て今業平(いまなりひら)と世評ある某侯爵は終(つい)に子爵の許諾(ゆるし)を
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
姫の長き髮はこれを截(き)り、その身には生きながら凶衣を被らしめ、輓歌(ばんか)を歌ひ鯨音(かね)を鳴し、法(かた)の如く假に葬(はうむ)りて、さて天に許嫁(いひなづけ)せる人となりて蘇生せしむ。是れ式のあらましなり。