“武(ぶ)” の例文
……さればこそ、おぬしらにも平常、野には住むとも、武(ぶ)を怠るな、身を戒(いまし)めよ、弱きを扶(たす)けよと、厳(やか)ましく沙汰してあるに……。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十九年前蘇武に従って胡地(こち)に来た常恵(じょうけい)という者が漢使に遭(あ)って蘇武の生存を知らせ、この嘘(うそ)をもって武(ぶ)を救出(すくいだ)すように教えたのであった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
これが報(むくい)を一一三虎狼(こらう)の心に障化(しやうげ)して、信頼(のぶより)が隠謀(いんぼう)にかたらはせしかば、一一四地祇(くにつがみ)に逆(さか)ふ罪、武(ぶ)に賢(さと)からぬ清盛(きよもり)に逐(お)ひ討(う)たる。
晏嬰(あんえい)乃(すなは)ち田穰苴(でんじやうしよ)を薦(すす)めて曰(いは)く、『穰苴(じやうしよ)は田氏(でんし)の(四)庶孽(しよげつ)なりと雖(いへど)も、然(しか)れども其人(そのひと)、文(ぶん)は能(よ)く衆(しう)を附(つ)け、武(ぶ)は能(よ)く敵(てき)を威(おど)す。願(ねが)はくは君(きみ)之(これ)を試(こころ)みよ』
人間においてもまたそうと思う。野蛮時代には武(ぶ)ばる一方で、永久に続くことは出来ぬ。喧嘩(けんか)して世を渡るものは喧嘩両成敗(せいばい)で共倒れして後がつづかぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
楽長の摯(し)は斉に去った。亜飯(あはん)の干(かん)は楚(そ)に去った。三飯の繚(りょう)は蔡(さい)に去った。四飯の欠(けつ)は秦(しん)に去った。鼓師(つづみし)の方叔(ほうしゅく)は河内に逃げた。振(ふ)り鼓師(つづみし)の武(ぶ)は漢に逃げた。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
今(いま)や世界(せかい)の各國(かくこく)は互(たがひ)に兵(へい)を練(ね)り武(ぶ)を磨(みが)き、特(こと)に海軍力(かいぐんりよく)には全力(ぜんりよく)を盡(つく)して英佛露獨(エイフツロドク)、我(われ)劣(をと)らじと權勢(けんせい)を爭(あらそ)つて居(を)る、而(しか)して目今(もくこん)其(その)權力(けんりよく)爭議(さふぎ)の中心點(ちゆうしんてん)は多(おほ)く東洋(とうやう)の天地(てんち)で
掴(つか)んで息絶(いきたへ)たりお光はほつと長息(といき)吐(つ)き夜具(やぐ)かい退(のけ)てよく/\見れば全く息は絶果(たえはて)て四邊は血汐(ちしほ)のから紅(くれな)ゐ見るもいぶせき景状(ありさま)なり不題(こゝに)大藤(おほふぢ)武(ぶ)左衞門は娘が出しを毫(すこし)も知ず臥(ふし)てを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
相(そう)、豆(ず)、駿(すん)、遠(えん)、尾(び)、濃(のう)の間に流行し、昨年中は西は京阪より山陽、南海、西国まで蔓延(まんえん)し、東は房(ぼう)、総(そう)、常(じょう)、野(や)、武(ぶ)、信(しん)の諸州にも伝播(でんぱ)し、当年に至りては奥(おう)州に漸入するを見る。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
眞田家(さなだけ)の領地(りやうち)信州(しんしう)川中島(かはなかじま)は、列國(れつこく)に稀(まれ)なる損場(そんば)にて、年々(とし/″\)の損毛(そんまう)大方(おほかた)ならざるに、歴世(れきせい)武(ぶ)を好(この)む家柄(いへがら)とて、殖産(しよくさん)の道(みち)發達(はつたつ)せず、貯藏(ちよざう)の如何(いかん)を顧(かへり)みざりしかば、當時(たうじ)の不如意(ふによい)謂(い)はむ方(かた)無(な)かりし。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
桃太郎(もゝたらう)は、河(かは)に流(なが)れし桃(もゝ)より生(うま)れて武(ぶ)
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「武(ぶ)都頭の名は、わが輩(はい)、かねてから聞いておった。お互いは軍人、士は士を知るというものだぞ。どうだ再び軍に返るつもりで、わが輩の身辺に仕えてみんか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
反(かへ)つて(四八)浮淫(ふいん)の蠧(と)を擧(あ)げて・之(これ)を(四九)功實(こうじつ)の上(うへ)に加(くは)ふるを疾(うれ)へ、以爲(おも)へらく、(五〇)儒者(じゆしや)は文(ぶん)を用(もつ)て法(はふ)を亂(みだ)し、而(しかう)して(五一)侠者(けふしや)は武(ぶ)を以(もつ)て禁(きん)を犯(をか)す。
更に楽曲武(ぶ)を評していわれた。——
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「——てまえは清河県(せいかけん)の生れ、苗字を武(ぶ)、名を松(しょう)と申し、兄弟順では二番目の武二郎(ぶじろう)でございまする」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
真(まこと)に、老公の唱える大義の武(ぶ)を解するものはやはりおぬしだった。水戸士道もわれらの学問も、そこを泉として湧きあふるるものでなければならぬ。……いつぞやの夜の論議は、おぬしに上座を
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「武(ぶ)をもって横行(おうこう)するやからの顔色(がんしょく)をなくしてやろうぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こちらに、虎退治の武(ぶ)都頭がおいでなさいますか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)