“一時”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いっとき31.7%
いちじ22.2%
ひととき15.6%
ひとしきり9.2%
いちどき7.2%
いつとき5.8%
イツトキ2.2%
あるとき1.7%
ひときり1.1%
ひとゝき0.8%
ヒトヽキ0.6%
もろとも0.3%
じ0.3%
ちよつと0.3%
ひといき0.3%
ひところ0.3%
ひとっきり0.3%
ヒトトキ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
このことは、ほかの人にとっては、気のつかないことでしたが、七兵衛にとっては一時(いっとき)、力抜けのするほど案外のことでありました。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
悪徳新聞のあらゆる攻撃を受けていながら、告別の演説でも、全校の生徒を泣かせたそうである。それも一時(いちじ)の感動ばかりではない。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
二日(ふつか)の眞夜中(まよなか)——せめて、たゞ夜(よ)の明(あ)くるばかりをと、一時(ひととき)千秋(せんしう)の思(おもひ)で待(ま)つ——三日(みつか)の午前三時(ごぜんさんじ)、半(なか)ばならんとする時(とき)であつた。……
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
敏捷(すばや)い、お転婆なのが、すっと幹をかけて枝に登った。呀(や)、松の中に蛤が、明く真珠を振向ける、と一時(ひとしきり)、一時、雨の如く松葉が灌(そそ)ぐ。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一時(いちどき)に落ちかかって来た、巨大な花びらに似た女たちの下敷きになって、小柄な豆八老人は、悲鳴をあげた。すり抜けて、廊下に出た。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
なんね、一時(いつとき)でん住み馴れた土地ば離るつていふもなあ、なんとなしい、心寂しかもんたい。早かもんたい、丸三年になるけんね。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
一時(イツトキ)たゝぬ中に、婢女(メヤツコ)ばかりでなく、自身たちも、田におりたつたと見えて、泥だらけになつて、若人たち十數人は戻つて來た。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
忠實(まめやか)に事(つか)へたる何某(なにがし)とかやいへりし近侍(きんじ)の武士(ぶし)、君(きみ)を思(おも)ふことの切(せつ)なるより、御身(おんみ)の健康(けんかう)を憂慮(きづか)ひて、一時(あるとき)御前(ごぜん)に罷出(まかりい)で
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
舳櫓(ともろ)を押せる船子(ふなこ)は慌(あわ)てず、躁(さわ)がず、舞上(まいあ)げ、舞下(まいさぐ)る浪(なみ)の呼吸を量(はか)りて、浮きつ沈みつ、秘術を尽して漕(こ)ぎたりしが、また一時(ひときり)暴増(あれまさ)る風の下に、瞻(みあぐ)るばかりの高浪(たかなみ)立ちて
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一時(ひとゝき)ばかり海中(かいちう)に浸(ひた)つて居(を)つたが、其内(そのうち)に救助(すくひ)を求(もと)むる人(ひと)の聲(こゑ)も聽(きこ)えずなり、其(その)身(み)も弦月丸(げんげつまる)の沈沒(ちんぼつ)した處(ところ)より餘程(よほど)遠(とうざ)かつた樣子(やうす)、不意(ふゐ)に日出雄少年(ひでをせうねん)が『あら黒(くろ)い物(もの)が。』と叫(さけ)ぶので
帳臺のまはりには、乳母や、若人が寢たらしい。其ももう、一時(ヒトヽキ)も前の事で、皆すや/\と寢息の音を立てゝ居る。姫の心は、今は輕かつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫、釈迢空(著)
ここに八十建に宛てて、八十膳夫(かしはで)を設(ま)けて、人ごとに刀(たち)佩けてその膳夫(かしはで)どもに、誨へたまはく、「歌を聞かば、一時(もろとも)に斬れ」とのりたまひき。
其れで土曜から日曜の両親(ふたおや)や監督者の暇な日に一時(じ)に公園へ伴(つ)れて出る。と云つて幾つかの大公園に遊んで居る子供は巴里(パリイ)市内の子供の総数から云へば千分の一にも当るまい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
女(をんな)は五月繩(うるさ)い時(とき)には一時(ちよつと)踊(をどり)の手(て)を止(や)めて對手(あひて)を叱(しか)つたり叩(たゝ)いたり、然(しか)も其(その)特性(とくせい)のつゝましさを保(たも)つて拍子(ひやうし)を合(あは)せ乍(なが)ら多勢(おほぜい)の間(あひだ)に揉(も)まれつゝ同(どう)一線(せん)を反覆(はんぷく)しつゝ踊(をど)る。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
鼻呼吸(いき)を吹いた面(つら)を並べ、手を挙げ、胸を敲(たた)き、拳(こぶし)を振りなど、なだれを打ち、足ただらを踏んで、一時(ひといき)に四人、摺違(すれちが)いに木戸口へ、茶色になって湧(わ)いて出た。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
でも自害をなさいました、後一年ばかり、一時(ひところ)はこの土地で湯屋でも道端でも唄って、お気の弱いのをたっとむまでも、初路さんの刺繍を恥かしい事にいいましたとさ。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
新「だがお園どん、本当にお前さんは大病で、随分私は大変案じて一時(ひとっきり)は六ヶ(むずか)しかったから、私は夜も寝なかったよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
帳台のまはりには、乳母や、若人が寝たらしい。其ももう、一時(ヒトトキ)も前の事で、皆すや/\と寝息の音を立てゝ居る。姫の心は、今は軽かつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)