“浸”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひた41.7%
し24.1%
つか10.3%
つ10.1%
にじ5.4%
びた3.4%
ひ1.1%
した0.9%
しみ0.9%
に0.5%
ヒ0.5%
さ0.2%
したゝ0.2%
しめ0.2%
ひたる0.2%
シ0.2%
進0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
美(うつく)しい瀬(せ)を立(た)てて、玉(たま)のやうな礫(こいし)をおもしに、獸(けもの)の皮(かは)の白(しろ)く晒(さら)されたのが浸(ひた)してある山川(やまがは)に沿(そ)うて行(ゆ)くと、山(やま)の奧(おく)にまた山(やま)があつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
金と銀との花の盞から静かにこぼれ落ちる金と銀との花の芬香(ふんかう)は、大気の動きにつれて、音もなくあたりに浸(し)み透(とほ)り、また揺曳する。
水仙の幻想 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
そして、濠の腐った水の中に、胸の辺まで、体が浸(つか)ってしまうのもかまわず、野獣のように、じゃぶじゃぶと渡って行くではないか。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
地点は、森武蔵勢(ぜい)の拠(よ)っている岐阜ヶ嶽の下——仏(ぶつ)ヶ根(ね)池(いけ)のなぎさである。馬に水を飼い、馬の脚を、水に浸(つ)けて冷やしているのだ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
細身の蝋塗鞘(ろふぬりざや)、赤銅(しやくどう)と金で牡丹(ぼたん)の目貫(めぬき)、柄(つか)絲に少し血が浸(にじ)んで居りますが、すべて華奢で贅澤で、三所物も好みがなか/\に厭味です。
仕事は嫌いではなさそうですが、ちょっとばかり声が立つもんだから清元(きよもと)なんかに現(うつつ)を抜かして朝から晩まで里春のところに入り浸(びた)り。
摺り染めや叩き染めの技術も、女たちの間には目立たぬ進歩が年々にあつたが、浸(ひ)で染めの為の染料が、韓の技工人(てびと)の影響から、途方もなく変化した。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
非道(ひど)い奴になると玉蜀黍(とうもろこし)の喰い殻に油を浸(した)した奴を、柳行李一パイ百円ぐらいで掴まされた事があるそうです。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
窓の外には、見送の切符を握った正太が立って、何もかも惨酷(むご)いほど身に浸(しみ)るという様子をしていた。車掌は飛んで来て相図の笛を鳴らした。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
静子は、真蒼(まっさお)になりながら、洋服の腕のボタンの所を、電燈(でんとう)の真近に持って行った。それは紛ぎれもなく血だった。一寸四方ばかり、ベットリと血が浸(に)じんでいたのである。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
摺り染めや、擣(ウ)ち染めの技術も、女たちの間には、目立たぬ進歩が年々にあつたが、浸(ヒ)で染めの爲の染料が、韓の技工人(テビト)の影響から、途方もなく變化した。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫、釈迢空(著)
で取り懸(かゝり)からもう熱が冷(さ)める、興(きよう)が無くなる、心(しん)から嫌氣(いやけ)が浸(さ)して了ツた。然うなると、幾ら努力したと謂ツて、踠(あが)いたと謂ツて、何の役(やく)にも立ちはしない。で、たゞ狼狽する、要(えう)するに意氣鎖沈(せうちん)だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
落着いた然も浸(したゝ)るばかりの悦びと感謝の心で、私はペンを執りました。白い原稿紙の上にペンの尖端が触れて細長い影が私の手の下で消えて居ります。
青白き公園 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
それはどういう訳かと尋ねますとそれはヤクの堅い皮を水に浸(しめ)して充分柔かにしないと縫うことが出来ないので二日位かかるという。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
才を呵(か)して直ちに章をなす彼の文筆が、繪の具皿に浸(ひたる)ると同時に、忽ち堅くなつて、穂先の運行がねつとり竦(すく)んで仕舞つたのかと思ふと、余は微笑を禁じ得ないのである。
子規の画 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
東宮坊の資材となつて残つたのが、第二の太子安殿(アデ)皇子の教材となり、平城天皇となられても、深く浸(シ)みついてゐた「奈良魂」の出所は、此等の巻々などにありさうに思ふ。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ひとやにて八年(やとせ)まへより聞きゐたる浸(進)々堂のパンをけふ食(は)む
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)