“くち”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クチ
語句割合
口60.5%
唇20.3%
喙3.8%
嘴2.8%
脣1.8%
口腔1.7%
吻1.3%
啄1.2%
朽1.2%
職業0.4%
紅唇0.3%
満0.3%
糊口0.3%
言葉0.3%
充0.3%
口実0.3%
疵口0.3%
開口0.3%
駆馳0.3%
就職0.1%
職0.1%
傭口0.1%
充満0.1%
口栓0.1%
口脣0.1%
口輪0.1%
口邊0.1%
吸口0.1%
呂0.1%
弁舌0.1%
栓0.1%
歯形0.1%
河口0.1%
秘密0.1%
緒0.1%
縁0.1%
語0.1%
雇口0.1%
首0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
蜘蛛はただどんな商人が、新聞紙に広告してゐないかをよく見定めておいて、その店の入(い)り口(くち)に網を張らうとしてゐたに過ぎません。
炎に似た夢は、袈裟の睫毛(まつげ)をふさがせ、閉じたる唇(くち)を、舌もてあけ、袿(うちぎ)のみだれから白い脛(はぎ)や、あらわな乳(ち)のふくらみを見たりする。
『無い筈はないでせう。尤(もつと)も此辺(このへん)では、戸籍上の名と家(うち)で呼ぶ名と違ふのがありますよ。』と、健は喙(くち)を容れた。そして老女(としより)に
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
鷲郎は黒衣が首級(くび)を咬ひ断離(ちぎ)り、血祭よしと喜びて、これを嘴(くち)に提(ひっさ)げつつ、なほ奥深く辿(たど)り行くに。忽ち路窮(きわ)まり山聳(そび)えて、進むべき岨道(そばみち)だになし。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
誰かの脣(くち)から、亡君という一語が洩れると、一同は、急に胸(むな)さきがつまって来て、眼がしらに渦(うず)のようなものが沸(たぎ)った。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
現に、口腔(くち)の中に残っている果肉の噛滓(かみかす)からも、多量の物が発見されているし、何より不思議な事には、それが、最初口に入れた一房にあったのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼等自ら其天地を劃り、自ら其党派を樹(た)てゝ曰く、真美は唯我党のみ知れり、純文学は唯我党のみ与(あづ)かれり、門外漢をして吻(くち)を揷ましむるなかれと。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
彼等(かれら)が將(まさ)にこれを石盤(せきばん)に書(か)きつけんとした時(とき)に、白兎(しろうさぎ)は啄(くち)を容(い)れて、『不必要(ふひつえう)で御座(ござ)います、陛下(へいか)よ、申(まを)す迄(まで)もなく』と甚(はなは)だ恭(うや/\)しく、併(しか)し眉(まゆ)を顰(ひそ)めて申(まを)し上(あ)げました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
その人かげのあとから、幾年(いくねん)も朽(くち)つんだ落葉(おちば)をふんで、ガサ、ガサと、歩いてくる者があった。小具足(こぐそく)をまとった武士(ぶし)である。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何とか先に手紙でも來れや、職業(くち)の方だつて見付けるに都合が可(いゝ)んだ。昨日は實際僕喫驚(びつくり)したぜ。何にも知らずに會社から歸つて見ると後藤の肇さんが來てるといふ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
源吉は、しっとりとした重みを胸に受け、彼女の血に溢(あふ)れた紅唇(くち)に、吸い寄せられた時、彼の脳の襞(ひだ)の何処(どこ)を捜しても「轢殺の苦」なぞは、まるでなかった。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
あの粟餅(あわもち)のふかし立(たて)だの、白玉焼の餡子(あんこ)のはみ出した処なんざ、今思出しても、唾(つば)が垂れる。小僧、立つな立つな見ていて腹は満(くち)くならない、と言われた事さえあるんだから。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そなたが、笛を吹いて糊口(くち)すぎをいたしておるというので思いついたことだが、或は、そうした折ゆえ、大殿のよいお慰みになろうか知れぬ。どうだな、来てくれまいか
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むかしわれ翅(はね)をもぎける蟋蟀(こほろぎ)が夢に來りぬ人の言葉(くち)きゝて
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
森「何(なん)だか腹が充(くち)いって」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
目送(みおくり)て顧(おもへらく)、越後には美人(びじん)多しと人の口実(くち)にいふもうべなり、是無他(ほかで)なし、水によるゆゑなり。
せめて疵口(くち)の悉皆(すつかり)密着(くつつ)くまで沈静(おちつい)て居て下され、と只管とゞめ宥め慰め、脱ぎしをとつて復(また)被(き)すれば、余計な世話を焼かずとよし、腹掛着せい、これは要らぬ、と利く右の手にて撥ね退くる。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「君、君、何なんだよ。もう開口(くち)へ出るまでの、水がないんだ」
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
作者はこの場合「門やしまりて」の一語によって、門がしまっているということだけでなく、主の不在であることをも現している。「九日駆馳(くち)シテ一日閑ナリ。尋ネテレ君ヲ不レ遇ハ又空シク還ル。 ...
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
ありそうな口吻(くちぶり)で、そこの馬具師も安うけあいしたが、就職(くち)はなかなかかかって来ない。——そのうちに冬も十二月、ふところの金も半分になっていた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうやら赤壁八十馬(やそま)は乗り気になっているらしい。又八は、その就職(くち)へありつきたいことは山々だが、佐々木小次郎であると他人の名を借用してしまったことが、どうもまずい。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「俺はいいよ。俺はなにも今日職(くち)を頼まなくつてもいいんだよ。でも、僕としては挨拶にだけは行きたいけど——義理だからね」
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
心の中ではどうぞ駄夫さんにいい職(くち)が見附かる様にと、どんなに毎日気を揉んでゐるか知れないんだよ。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
『そうそう、番町の或る御大身の御隠居でございますが、そこならば、都合に依っては、二十両や三十両のお支度金は出して下さるかも知れませんな。如何でございますか、そんな傭口(くち)へ、ひとつ、お見得(めみえ)なすって御覧なすっては』
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実をいふと、人間といふものは胃の腑が充満(くち)くならないと、滅多に他(ひと)の事まで喜ばうとしないものだ。皆は蛙のやうに膨らまつた腹を抱へて、栃木の前途を祝福した。
三升樽の口栓(くち)の抜けないのを、横さまに拳で擲つてゐた。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして、手紙を持っている右の手は、静かに静かに膝の上へ垂れて行った。一方、彼女はその左の手を、胸をひき裂くかと思われる、頑強な咳を鎮めようとして、口脣(くち)のところへ持ってゆくのだった。
初雪 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
「では何で、わしの駒の口輪(くち)など把(と)って、従(つ)いて来るか」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
番頭九八郎の皺の中に落窪(くぼ)んだ口邊(くち)には、ほのかな冷笑が浮ぶのを、平次は見のがしませんでした。
金の吸口(くち)で、烏金(しゃくどう)で張った煙管(きせる)で、ちょっと歯を染めなさったように見えます。懐紙(かいし)をな、眉(まゆ)にあてて私(てまい)を、おも長に御覧なすって
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あれ性(しょう)の、少し乾いた唇でなぶるうち——どうせ亭主にうしろ向きに、今も髷(まげ)を賞(ほ)められた時に出した舌だ——すぼめ口に吸って、濡々と呂(くち)した。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
茶呑咄(ちゃのみばな)しに残したる。炭売多助(たすけ)が一代記を。拙作(せっさく)ながら枝炭(えだずみ)の。枝葉を添(そえ)て脱稿(やきあげ)しも、原来(もとより)落語なるを以(もっ)て。小説稗史(はいし)に比較(くらべ)なば。所謂(いわゆる)雪と炭俵。弁舌(くち)は飾れど実の薄かるも。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
風呂敷を解いて小さい徳利を取出(とりいだ)して、栓(くち)の堅いのを抜きまして、首を横にしてタラ/\/\と彼是(かれこ)れ茶椀に半分程入れて
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は男の腕に女狼のような歯形(くち)を当てた。
放浪記(初出) (新字新仮名) / 林芙美子(著)
彼今翼をかの河口(くち)に向く、そはアケロンテの方(かた)にくだらざるものかしこに集まる習ひなればなり。 一〇三—一〇五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
よほど秘密(くち)を口禁(しば)っとると見えて、イクラ上手に探りを入れても丁稚、飯炊女に到るまで、眼の球(たま)を白うするばっかりで、内輪の事と言うたら一口も喋舌り腐らん
貴方は一度緒(くち)を解(と)いたらいつまででも話しつづける方なんでしょうねえ。
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
……好い縁(くち)があれば、明日でも嫁(かたづ)かねばならぬ。……同じ歳だって、女の三十四では今の内早く何うかせねば拾ってくれ手が無くなる。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
と対向(さしむか)いの、可なり年配のその先生さえ少(わか)く見えるくらい、老実な語(くち)。
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「まったく経験がないんです、勤人なんてものは、落魄(おちぶ)れると実に困りものだなあ。なかなか二度とは雇口(くち)がないし、家族はみんなあんなだし……」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
肉親の愛情、その対手(あいて)が何者であるかも目には止めないで、帯のあい首(くち)に手をやるが早いか、キラリと抜いたのを袖裏へ逆手(さかて)に隠して
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)