“之(の)” の例文
太子問ひたまふ所の義、師(慧慈(ゑじ))も通ぜざる所有り。太子夜の夢に金人の来(きた)りて不解之(の)義を教ふるを見たまふ。太子寤(さ)めて後即ち之(これ)を
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
実は私の方でもあの通り速記者もたのんであります、ご答弁は私の方の機関雑誌畜産之(の)友に載せますからご承知を願います。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
自由之(の)魁(さきがけ)・圧制政府顛覆・一死報国のスローガンをかざして、明治十七年九月二十三日加波山に旗上げして一敗した自由党左派の加波山事件は
加波山 (新字新仮名) / 服部之総(著)
十か二十か悉皆(みな)とは言(い)はず唯(たゞ)二枚(まい)にて伯父(おぢ)が喜(よろこ)び伯母(おば)が笑顏(ゑがほ)、三之(の)助(すけ)に雜煮(ぞうに)のはしも取(と)らさるゝと言(い)はれしを思(おも)ふにも、何(ど)うでも欲(ほ)しきは彼(あ)の金(かね)ぞ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今天下平均之(の)儀、誠(まことに)御忠節故(ゆゑ)と存候云云(ぞんじそろうんぬん)、御子孫永く疎略之儀有之間敷候(これあるまじくそろ)と云ふ文句のある一札である。利章はこれを梶原平十郎景尚に渡して云つた。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「隠蓑(かくれみの)」なる言葉は『信綱記』にもいう如く、「鬼之(の)持(もち)たる宝は、かくれ蓑、かくれ笠、打出(うちで)の小槌(こづち)、延命小袋」
蓑のこと (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
去(さる)二日出(で)之(の)書状(しよじやう)到來(たうらい)いたし委細(ゐさい)拜見(はいけん)致し候偖々(さて/\)其方にても段々不如意(ふによい)との趣(おもぶ)き蔭乍(かげなが)ら案事(あんじ)申候右(みぎ)に付御申越(こし)の娘儀(むすめぎ)出府(しゆつぷ)致されべく候吉原町にも病家も有レ之(これあり)候間宜(よろ)しき先を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
余幼童之(の)時春色清和の日には必(かならず)友どちとこの堤上にのぼりて遊び候、水には上下の船あり、堤(つつみ)には往来の客あり、その中には田舎娘の浪花に奉公してかしこく浪花の時勢粧(はやりすがた)に倣(なら)ひ
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
その頃西洋の詩を訳して『国民之(の)友』へ寄せることになって、お兄様が文字と意味とをいって、それぞれにお頼みになります。中には意味だけいって、お自由にと仰しゃるのもありました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
此表(このへう)、十四五日之(の)内(うち)に者(は)、世上之(の)物狂(ものぐるひ)も、酒酔之(しゆすゐの)醒(さめ)たるごとくに(後略)
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
... 此の花は忽(たちま)ち散果(ちりはて)可申(もうすべく)茎(じく)は其許(そこもと)さまへ蕾(つぼみ)のまゝ差送(さしおくり)候」はて…分らん…「差送候間御安意(ごあんい)之(の)為め申上候、好文木(こうぶんぼく)は遠からず枯れ秋の芽出しに相成候事、殊(こと)に安心仕(つかまつ)り候、余は拝面之上匇々(そう/″\)已上(いじょう)、別して申上候は」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かねて見置(みお)きし硯(すゞり)の引出(ひきだ)しより、束(たば)のうちを唯(たゞ)二枚(まい)、つかみし後(のち)は夢(ゆめ)とも現(うつゝ)とも知(し)らず、三之(の)助(すけ)に渡(わた)して歸(かへ)したる始終(しじう)を、見(み)し人(ひと)なしと思(おも)へるは愚(おろ)かや。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
同志之(の)者にて去年来別して懇意の間柄ゆえ、この者の伝手(つて)をもって元方の片山に直(じか)談判させ、御国名を出さぬよう値段も格安に鉛硝石共買入させるよう致されたい。
志士と経済 (新字新仮名) / 服部之総(著)
あれ三ちやんで有(あ)つたか、さても好(よ)い處(ところ)でと伴(とも)なはれて行(ゆ)くに、酒(さか)やと芋(いも)やの奧深(おくふか)く、溝板(どぶいた)がた/\と薄(うす)くらき裏(うら)に入(い)れば、三之(の)助(すけ)は先(さき)へ驅(か)けて、父(とゝ)さん、母(かゝ)さん
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのさい黒田は、係争事件はことごとく無雑作に譲歩してしまい、九月帰京するや“樺太ノ経略、断然之(これ)ヲ棄テテ魯西亜(ロシア)ニ附シ、力ヲ無用之(の)地ニ労セズ、之(これ)ヲ上策トス。
黒田清隆の方針 (新字新仮名) / 服部之総(著)
「実は甚(はなは)だ愚策にて一己清潔のため天下之(の)大事を招候(まねきそうろう)は必定」
志士と経済 (新字新仮名) / 服部之総(著)