“ざ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ザ
語句割合
座29.8%
坐22.0%
戯16.1%
冴10.2%
裂4.3%
去3.9%
褪2.0%
咲1.6%
挿1.2%
寒1.2%
差1.2%
戲1.2%
覚1.2%
醒0.8%
冷0.4%
寤0.4%
指0.4%
揷0.4%
曝0.4%
残0.4%
沙0.4%
色褪0.4%
雑0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ここの軒から彼方に見えた一座(ざ)の高山を、独龍山(どくりゅうざん)といい、その中腹に、この地方を統治している祝朝奉(しゅくちょうほう)という豪族が代々(よよ)住んでいる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
余(よ)愕然(びつくり)し山水を棄(すて)て此娘を視るに一揖(おじぎ)して去(さ)り、樹(き)の下(もと)の草に坐(ざ)してあしをなげだし、きせるの火をうつしてむすめ三人ひとしく吹烟(たばこのむ)。
まず、窓際へゆっくり席をとって、硝子窓(がらすまど)を思いッきり押しあける。と、こころよい五月の微風(びふう)が、戯(ざ)れかかるように流れこんで来た。
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
いつも髪を耳隠しに結った、色の白い、目の冴(さ)え冴(ざ)えしたちょっと唇(くちびる)に癖のある、——まあ活動写真にすれば栗島澄子(くりしますみこ)の役所(やくどころ)なのです。
或恋愛小説 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
きみなんか、ワシのゴルゴさんに八(や)つ裂(ざ)きにされちまうといいや! そんなひげなんか、おくさんに切られちまうといいや!
足の弱い奴(やつ)なんぞ相手にしていられるもんかと、自分の健脚(けんきゃく)に任(まか)せてさっさと友を置(お)き去(ざ)りにして行ってしまいそうに思われる。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
帳場格子の中に頬杖突いて凝乎(じっ)とこちらのほうを眺めております親父の顔なぞが、竦然(ぞっ)とするほど青褪(ざ)めた恐ろしい人相に映りましたり
蒲団 (新字新仮名) / 橘外男(著)
まだ、おそ咲(ざ)きのさくらの花(はな)が、こんもりと、黒(くろ)ずんだ森(もり)の間(あいだ)から見(み)えるのも、いずれも、なつかしいやるせないような気持(きも)ちがしたのであります。
赤い船のお客 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もっとも相手の夫婦づれは、格別迷惑らしい容子(ようす)もなく、一輪(いちりん)挿(ざ)しの桜を隔てながら、大阪弁で頻(しきり)に饒舌(しゃべ)っていた。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その声は、この夏だというのに、想像も出来ぬほど、寒(さ)む寒(ざ)むとした嗄(しわが)れた声だった。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
お子姓(こしやう)のやうな顔をして、乱暴な口を利きながら、教鞭(けうべん)の代りに二尺差(ざ)しを手にしてゐる雛子の前で、小型の餉台(ちやぶだい)に向つて、チビはしや嗄(が)れたやうな太い声をはりあげて、面白い節をつけて
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
煙草(たばこ)を買(か)ひながら聞(き)くと、土地(とち)に數(かず)の多(おほ)い犬(いぬ)が、俥(くるま)に吠附(ほえつ)き戲(ざ)れかゝるのを追拂(おひはら)ふためださうである。駄菓子屋(だぐわしや)の縁臺(えんだい)にも、船宿(ふなやど)の軒下(のきした)にも、蒲燒屋(かばやきや)の土間(どま)にも成程(なるほど)居(ゐ)たが。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いわゆる目覚(ざ)めざる労働者に対して、目覚めた労働者が、こういう言い方をするのだが、それは知らず識らずのうちにボル派の影響が俺たちの仲間に浸透していることを物語っている。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「さア、いらっしゃい。氷も解けたし、雑魚(ざこ)も蓮(はす)の根から泳き出す陽気だ。——こち徒(と)にとっても、長い冬籠りの退屈醒(ざ)ましにはちょうどいい折、いでや眼にもの見せてやろうぜ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とりわけ、焼いて食うのが一番美味い。焼きたてならばそれに越したことはないが、焼き冷(ざ)ましのものは、改めて遠火で焙(あぶ)って食べるがよい。
鱧・穴子・鰻の茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
次ぎはうなぎだが、この場合のうなぎは宵越(よいご)し、例えば翌日に残ったものの、焼き冷(ざ)ましを利用していい。この時は、醤油を付けて一ぺん火に焙(あぶ)る必要がある。
鱧・穴子・鰻の茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
「まだお目寤(ざ)めになりませんか。早く申し上げるがよい。夜はもう明けました。獵場においでなさいませ」
完全なる浮浪少年は、パリーのすべての巡査を知悉(ちしつ)していて、そのひとりに出会えばすぐに名指(ざ)すことができる。各巡査をくわしく研究している。
『水汲むギリシヤ少女』と云ふ名画の写真や一重芍薬(ひとへしやくやく)の艶なるを掴(つか)み揷(ざ)しにしたる水瓶など筆立や墨汁壺(インキつぼ)に隣りて無雑作に列べらる。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
木理(もくめ)の曝(ざ)れた湯槽(ゆぶね)の桁(けた)を枕にして、外を見ることのできない眼は、やっぱり内の方へ向いて、すぎこし方(かた)が思われる。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お伝もお絹もいまだ残(ざ)んの色香なまめかしい出獄早々スクリーンへその妖姿を現して、たちまちに満都の人気を席捲することができ得ただろう。
艶色落語講談鑑賞 (新字新仮名) / 正岡容(著)
ただいささか六つななつのおさなだちより誰つたゆるとも覚えず心にうつりたるもの折々にかたちをあらはしてかくはかなき文字沙(ざ)たにはなりつ、人見なばすねものなどことやうの名をや得たりけん
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ぐるりには大入袋や安っぽい石版摺りの似顔絵などが、一面に張られていて、壁地の花模様などは、何が何やら判らないほどに、色褪(ざ)めていた。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
気のおけぬ若い主(あるじ)というものは、家来にとって、よいものらしい。特に高氏には、弟の直義にもない雑(ざ)ッかけなさと、大容な風がある。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)