“那(あ)” の例文
那(あ)の手紙を見て、何様顏をしてゐるか………おツと、其様なことは何うでも可いとして、これから小時暗中(あんちう)の飛躍(ひやく)と出掛けるんだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『僕は貴女に然う言はれると、心苦しいです。誰だつて那(あ)の際那(あ)の場処に居たら、那麽(あれ)位の事をするのは普通(あたりまへ)ぢやありませんか?』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
すれば是は容易の公事(くじ)でなし那(あ)の惣右衞門めは年(とし)こそ老込(おいこみ)たれど並々(なみ/\)の者に非ず彼(かれ)是(これ)評定所へ出(いづ)るならば此方が是迄の惡事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何(なん)のお前様(まへさま)、見(み)たばかりぢや、訳(わけ)はござりませぬ、水(みづ)になつたのは向(むか)ふの那(あ)の藪(やぶ)までゞ、後(あと)は矢張(やツぱり)これと同一(おんなじ)道筋(みちすぢ)で山(やま)までは荷車(にぐるま)が並(なら)んで通(とほ)るでがす。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
那(あ)の馬爪(ばづ)、あんな骨類(こつるい)を徳利に入れて蒸焼(むしやき)にするのであるから実に鼻持(はなもち)もならぬ。それを緒方の塾の庭の狭い処で遣(や)るのであるから奥で以(もっ)て堪(たま)らぬ。奥で堪らぬばかりではない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
然し大抵なら那(あ)の校長は此方(こツち)のいふ通りに都合してくれますよ。謂ツちや變だけれど、僕の親父(おやぢ)とは金錢上の關係もあるもんですからね。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
委(くは)しく聞置ざりし事然れども彼方にても今は何と改名(かいめい)せし位の事は話しも有べき筈(はず)なるに夫等に氣の付ぬとは餘り迂濶(うくわつ)なりし那(あ)れ程までに馬喰町を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
捻(つね)つても確(たしか)に活返(いきかへ)つたのぢやが、夫(それ)にしても富山(とやま)の薬売(くすりうり)は何(ど)うしたらう、那(あ)の様子(やうす)では疾(とう)に血(ち)になつて泥沼(どろぬま)に。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
お房は、チヤブ臺を持出(もちだ)したり、まめ/\しく立働(たちはたら)いて、お膳(ぜん)の支度(したく)をしてゐる。周三は物珍(ものめづ)らしげに那(あ)れを見たり是れを見たりして、きよろついてゐると、軈てお膳に向ふ段取(だんどり)となる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ソレカラ清水が薩摩の人に遇(あっ)て、那(あ)の時に英艦の方では錨を切(きっ)たのだから拾い挙(あ)げて置(おい)たら宜(よ)かろうと云(いっ)た所が、薩摩でも余り気に留(と)めなかったと見えて、その錨は何でも漁夫が挙げたと云う話だ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
然し大抵なら那(あ)の校長は此方(こつち)のいふ通りに都合してくれますよ。謂ツちや変だけれど、僕の父親(おやぢ)とは金銭上の関係もあるもんですからね。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
見て驚(おどろ)きたる體(てい)なりしが其盜賊は全(まつた)く私(わたく)しなり那(あ)の者は御助(おんたす)け下さるべしと申けるを聞(きゝ)伊兵衞は喜(き)八に對(むか)ひ汝は我が先達(さきだつて)の寸志(すんし)を報(むくは)んとて命を捨(すて)て我を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其(それ)でも那(あ)の、謡(うた)が唄(うた)へますわ。二ツ三ツ今(いま)でも知(し)つて居(を)りますよ。さあ御客様(おきやくさま)に一ツお聞(き)かせなさいましなね。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「那(あ)の壓制君主さへゐなかツたら、子爵家の主人(あるじ)になツてゐられるのだ。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『那(あ)の辺の事を、怎(ど)う変つたか詳しく小川さんの兄様(にいさん)に訊いて見ようか知ら!』とも考へてみた。そして、「訊いた所で仕方がない!」と思返した。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
例(たと)へば夜更(ふ)けてから澤山の獲物(えもの)を持ツて獨で闇(くら)い路を歸ツて來ると、不意に行方(ゆくて)から、人魂(ひとだま)が長く尾を曳いて飛出したり、または那(あ)のかはうそといふ奴が突然(だしぬけ)恐ろしい水音をさせて川に飛込むだり
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『然うよ。だが那(あ)の男の予定位アテにならないものは無いんだ。雷みたいな奴よ、雲次第で何時(なんどき)でも鳴り出す……。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『狂人さ。それ、其處にあるのが(と構内の建物の一つを指して、)精神病患者の隔離室なんだ。夜更になると僕の下宿まで那(あ)の聲が聞える事がある。』
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『狂人(きちがひ)さ。それ、其処にあるのが(と構内の建物の一つを指して、)精神病患者の隔離室なんだ。夜更になると僕の下宿まで那(あ)の声が聞える事がある。』
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
破壞した跡の燒野には、君、必ず新しい勢の可(い)い草が生えるよ。僕はね。宛然(まるで)自分が革命でも起した樣な氣で、大威張で局へ行ツて、「サカンニヤレ」といふ那(あ)の電報を打ツたんだ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
破壊した跡の焼野には、君、必ず新しい勢ひの可(い)い草が生えるよ。僕はね。宛然(まるで)自分が革命でも起した様な気で、大威張で局へ行ツて、「サカンニヤレ」といふ那(あ)の電報を打ツたんだ。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)