“與(や)” の例文
新字:与
見榮坊(みえばう)! 世(よ)には見榮(みえ)で女(をんな)に物(もの)を與(や)つたり、與(や)らなかつたりする者(もの)が澤山(たくさん)ある。僕(ぼく)は心(こゝろ)から此(この)貧(まづ)しい贈物(おくりもの)を我愛(わがあい)する田舍娘(ゐなかむすめ)に呈上(ていじやう)する!
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ヂュリ 予(わし)の骨々(ほね/″\)を其方(そなた)に與(や)っても、速(はや)う其(その)消息(しらせ)が此方(こっち)へ欲(ほ)しい。これ、どうぞ聞(き)かしてたも。なう、乳母(うば)や、乳母(うば)いなう、如何(どう)ぢゃぞいの?
其の度にお文が白いのを鼻紙に包んで與(や)るのを、源太郎は下手な煙草の吸ひやうをしながら、眼を光らして見てゐる。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
お定は馬に乾秣(やた)を刻(き)つて鹽水に掻𢌞(かきまは)して與(や)つて、一擔ぎ水を汲んで來てから夕餉の膳に坐つたが、無暗に氣がそはそはしてゐて、麥八分の飯を二膳とは喰べなかつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「いゝえ、竹には與(や)れしまへん。竹が持(も)てよるんなら、盜みよつたのか。……竹……竹……竹。」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
貴下(こなた)の有分(もちぶん)は死(し)が取(と)るといへば與(や)らぬわけにはゆかぬが、天(てん)の分(ぶん)は永劫(えいごふ)不滅(ふめつ)ぢゃ。
「お駒ちやん、お前は何や。……此處の家で何(な)んしてるんや。……お前に竹ちやんは與(や)らん。欲しいやろ竹ちやんが。……何んぼ欲しがつても與(や)らん、與らん、與れへん。」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)