“寛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くつろ52.4%
ゆる14.2%
くつ7.9%
ひろ7.1%
ゆるや3.9%
かん2.1%
ゆるやか1.6%
くわん1.3%
ゆたか1.3%
ゆた1.3%
ひろし1.1%
ゆっく1.1%
クツロ0.8%
ゆっ0.8%
はだ0.5%
ゆ0.5%
ゆつく0.3%
くだ0.3%
なだ0.3%
のび0.3%
ひ0.3%
ゆつた0.3%
ゆるめ0.3%
ユタ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
酒肴(しゅこう)が運ばれて、また娘が給仕に出た、話は途切れがちだったが、席はいつかのびやかにおちつき、いかにも寛(くつろ)いだ小酒宴となった。
日本婦道記:小指 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼は套靴(オオヴァシュウズ)をはいていなかったが、彼の靴は、並外れて寛(ゆる)くしっかりと丈夫にできていて、しかも高雅なおもむきは欠かぬのであった。
衣裳戸棚 (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
片岡君は朝から鎧を着たような重苦しい気分に圧迫されていたが、今やそれが取れて悉皆(すっかり)寛(くつ)ろいだ。元日が元日らしくなって来た。
一年の計 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
自分ひとりは極めて寛(ひろ)い安易さを感じるのを不思議におもひながら、机の前に座つて子供の相手をしながら、読書を初めた。
惑ひ (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
斯う思うと幾分か心の中も寛(ゆるや)かになり其のまま寝台へ上ったが、香気は極微弱では有るけれど余の神経へ最と妙なる影響を及ぼした。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
しかも後(のち)に考えれば、加え過ぎたのでございまする。多門には寛(かん)に失した代りに、数馬には厳に過ぎたのでございまする。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
後身を寛(ゆるやか)にしてさびしき路を行き、いづれも言葉なく思ひに沈みて裕(ゆたか)に千餘の歩履(あゆみ)をはこべり 一三〇—一三二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
(五二)寛(くわん)なれば則(すなは)ち名譽(めいよ)の人(ひと)を寵(ちよう)し、急(きふ)なれば則(すなは)ち介冑(かいちう)の士(し)を用(もち)ふ。今(いま)は養(やしな)ふ所(ところ)は用(もち)ふる所(ところ)に非(あら)ず、用(もち)ふる所(ところ)は養(やしな)ふ所(ところ)に非(あら)ずと。
千の苦艱(くげん)も固(もと)より期(ご)したるを、なかなかかかる寛(ゆたか)なる信用と、かかる温(あたたか)き憐愍(れんみん)とを被(かうむ)らんは、羝羊(ていよう)の乳(ち)を得んとよりも彼は望まざりしなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
浄見埼は廬原(いおはら)郡の海岸で今の興津(おきつ)清見寺あたりだといわれている。この歌の前に、「廬原(いほはら)の清見が埼の三保の浦の寛(ゆた)けき見つつもの思ひもなし」(巻三・二九六)というのがある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
『算法新書』は、千葉胤秀編となっているが、実際は閲者として署名されている長谷川寛(ひろし)の著述であるとはあまねく伝えられているのである。
「では、自動車の中で、寛(ゆっく)り話します。それはそうと、岡埜先生は、眼鏡が無いと、御不自由なのじゃありませんか?」
八つの聲が答へて、彼等は訓練せられた所作のやうに、忽一度に、草の上に寛(クツロ)ぎ、再杖を横へた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫、釈迢空(著)
客「全盛な花魁だから仕方がねえや、まア寛(ゆっ)くり行っていらッしゃい、屹度留守はしていらアな」
二ツ三ツ団扇ばかり動いたと思えば、くるりと仰向けになった胸が、臍(へそ)まで寛(はだ)ける。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ハスの果実は、蓮房すなわち花床(花托)の上面の凹窠の中に寛(ゆ)るく座って居って、成熟の時分その蓮房を振ればガラガラと音がする。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「別に御馳走(ごちそう)と云つては無いけれど、松茸(まつだけ)の極新(ごくあたらし)いのと、製造元から貰(もら)つた黒麦酒(くろビイル)が有るからね、鶏(とり)でも買つて、寛(ゆつく)り話さうぢやないか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
酒間にいろいろ寛(くだ)けて話し合いました。岡倉氏は、話が纏(まと)まって悦(よろこ)ばしい。
仇なる畜生めと病の中に父の腹立(はらだち)此怒りを寛(なだ)めんにも泣(なく)より外の事もなく心細(ぼそ)さに跡(あと)や先昔は恩(おん)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
寛(のび)やかな道服を纏っていた。それは直江蔵人(くらんど)であった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「結構だ、しかし隊長はもうよそう」来太は吉村家で借りて着た背広の前を寛(ひ)ろげながらそう云った
花咲かぬリラ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
二人寢(ふたりね)の寛(ゆつた)りとした立派(りつぱ)なもので、一面(いちめん)に、光(ひかり)を持(も)つた、滑(なめ)らかに艶々(つや/\)した、絖(ぬめ)か、羽二重(はぶたへ)か、と思(おも)ふ淡(あは)い朱鷺色(ときいろ)なのを敷詰(しきつ)めた、聊(いさゝ)か古(ふる)びては見(み)えました。が、それは空(そら)が曇(くも)つて居(ゐ)た所爲(せゐ)でせう。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
と歎(なげ)かれて終(つひ)に心も打解(うちとけ)つゝ再び迷(まよ)ふ千太郎忠義一※の久八が異見(いけん)の釘(くぎ)を寛(ゆるめ)し事嗚呼是非もなき次第なり。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其を空疎(アダ)に聞くほど、彼はすがれきつた芝居者にはなつて居なかつた。彼は一生朗らなる人であつたと言ふ。だが其明るく寛(ユタ)けくあつた心は、寂しい静けさの湛へられたものではなかつたか。
市村羽左衛門論 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)