“撓”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たわ35.0%
しな22.1%
た18.3%
たゆ12.3%
たわわ2.0%
しわ1.4%
たを1.4%
ひる1.1%
し0.9%
たわゝ0.9%
とう0.6%
う0.3%
しお0.3%
しなや0.3%
しば0.3%
たお0.3%
たは0.3%
たゆま0.3%
たる0.3%
とを0.3%
ね0.3%
ま0.3%
みだ0.3%
シナ0.3%
シナヒ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ただ撓(たわ)み曲った茎だけが、水上の形さながらに水面に落す影もろとも、いろいろに歪(ゆが)みを見せたOの字の姿を池に並べ重ねている。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
薪割りから水汲みと、越後から来た飯炊男(めしたきおとこ)のように実を運んでも、笹の雪、撓(しな)うと見せて肝腎なところへくるとポンと撥(は)ねかえす。
また或は我邦にては果(み)を得んとのみ願ひて枝を撓(た)め幹を矮くするため、我も人もまことの梨の樹のふり花のおもむきをも知ること少く
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
今更ここに言ふを須(もち)ゐないことではあるが、その撓(たゆ)み易き句法、素直に自由な格調、從つてこれは今迄に類(たぐひ)のなかつた新聲である。
新しき声 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
西明寺を志して来る途中、一処、道端の低い畝(あぜ)に、一叢(ひとむら)の緋牡丹(ひぼたん)が、薄曇る日に燃ゆるがごとく、二輪咲いて、枝の莟(つぼみ)の、撓(たわわ)なのを見た。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二人の槍(やり)の穂先が撓(しわ)って馬と馬の鼻頭(はなづら)が合うとき、鞍壺(くらつぼ)にたまらず落ちたが最後無難にこの関を踰(こ)ゆる事は出来ぬ。鎧(よろい)、甲(かぶと)、馬諸共(もろとも)に召し上げらるる。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
姿(すがた)を、然(さ)うして撓(たを)やかに折重(をりかさ)ねた、袖(そで)の色(いろ)は、濃(こ)い萌黄(もえぎ)である。深(ふか)い紫(むらさき)である。いづれも上(うへ)に被(き)た羽織(はおり)とは知(し)れたが、縞目(しまめ)は分(わか)らぬ。言(い)ふまでもなく紋(もん)があらう。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
『何有(なあに)、たかが知れた田舍女ぢやないか!』と、信吾は足の緩んだも氣が附かずに、我と我が撓(ひる)む心を嘲つた。人妻となつた清子に顏を合せるのは、流石に快(こゝろよ)くない。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
展望の北隅を支えている樫(かし)の並樹は、ある日は、その鋼鉄のような弾性で撓(し)ない踊りながら、風を揺りおろして来た。容貌をかえた低地にはカサコソと枯葉が骸骨(がいこつ)の踊りを鳴らした。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
この共同湯(きようどうゆ)の向(むか)う傍(がは)は、淵(ふち)のやうにまた水(みづ)が青(あを)い。對岸(たいがん)の湯宿(ゆやど)の石垣(いしがき)に咲(さ)いた、枝(えだ)も撓(たわゝ)な山吹(やまぶき)が、ほのかに影(かげ)を淀(よど)まして、雨(あめ)は細(ほそ)く降(ふ)つて居(ゐ)る。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
それから、また川(かわ)をどんどんくだっていくと小(ちい)さい尼寺(あまでら)がありました。そこで花(はな)の撓(とう)がありました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
心の労(つか)れに撓(う)むこともあったであろう。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
第一此処(ここ)は浮子釣(うきづり)に適していない場である。やがて潮が動き出せば浮子は沈子(おもり)が重ければ水に撓(しお)られて流れて沈んで終(しま)うし、沈子が軽ければ水と共に流れて終(しま)うであろう。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雪の羅衣(うすもの)に、霞の風帯(ふうたい)、髪には珊瑚(さんご)の簪花(さんか)いと愛くるしく、桜桃(おうとう)に似る唇(くち)、蘭(らん)の瞼(まぶた)。いや蘭の葉そのものの如き撓(しなや)かな手ぶり足ぶり。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
棒は倒れも撓(しば)りもしません。依然として雲表に聳えて居ます。
天草四郎の妖術 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
明けてある障子の向うに狭い庭がみえる、午後のもう傾きかけた日ざしのなかに、芒(すすき)の穂が銀色に浮きでている、萩(はぎ)の撓(たお)やかな枝もさかりの花で、そのあたりいちめん雪を散らしたようだ。
日本婦道記:風鈴 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
白銀(しろがね)の挿櫛(さしぐし)撓(たは)み
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
撓(たゆま)ず絶望せず溌溂と精神の耀く文明を進めて行こうとする人間の意慾の雄々しさは、その古風な言葉の裡にさえも尚お認め得る。
私の覚え書 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そしてその撓(たる)んだ所にちょうどぶらんこの綱にでも乗ったようにして、その夕方、二人の小さな女の児が腰を掛けて嬉しそうに寄りそっていた。
童(わらべ)らに照らふ柑子ぞ撓(とを)をなるそのこの母はころも干しつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
私を苛(いじ)め、さいなみ、あらゆる自由と独立とを私から奪い、私のよいところを片っ端から打ち壊し、私の成長を阻(はば)み、私を撓(ね)じ曲げ、歪(ゆが)め、ひねくれさせ、そしてしまいにはとうとう
体に合わせて作るための力強い撓(ま)げ方、その皮を固く緊着せる帯の織物としての柔らかさなどが、実に細かく表現せられている。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
諸子の為(ため)に此(この)事を講ぜんには、藩王たるものは、上は天子を尊み、下は百姓(ひゃくせい)を撫(ぶ)し、国家の藩輔(はんぽ)となりて、天下の公法を撓(みだ)す無かれと言うべきなり、此(かく)の如くなれば則ち太子たるものは
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
なむ(なみ)は撓(シナ)えて居る事、なびくと同じで、ぐにやりとして居る事である。「もころ」は占ひの詞である。卦と言葉とぴつたり合ふ正占の事で、二つのものがぴつたり合ふ事がもころである。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此は、普通に撓(シナヒ)と言はれるところの、袋乳(フクロヂ)の小幟風な旗の長く延びて末に尖りを持つた物であるが、神事のよりましがさした一つ物・一本薄(郷土研究三の五〇〇等)などゝ縁がありさうである。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)