“蓄”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たくわ43.4%
た25.1%
たくは13.7%
か4.0%
たま2.9%
たくはへ2.3%
たくわえ1.7%
タ1.7%
たく1.1%
ため1.1%
かこ0.6%
こ0.6%
たくわう0.6%
と0.6%
タクワ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
姉は胸に秘密を蓄(たくわ)え、弟は憂えばかりを抱いているので、とかく受け応えが出来ずに、話は水が砂に沁(し)み込むようにとぎれてしまう。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
気の毒にねと私が言うと「それが、——気の毒なわけではないんですよ。トコトンさんは金をゴマンと蓄(た)め込んでいるんですからね」
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
福間先生は常人よりも寧(むし)ろ背(せい)は低かつたであらう。何(なん)でも金縁(きんぶち)の近眼鏡(きんがんきやう)をかけ、可成(かなり)長い口髭(くちひげ)を蓄(たくは)へてゐられたやうに覚えてゐる。
二人の友 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
韓退之(かんたいし)がいわゆる、牛溲馬勃(ぎゅうそうばぼつ)、ともに収め並びに蓄(か)うで、良医が用うれば馬糞も大功を奏し、不心得な奴が持てば金銭も馬糞同然だ。
史料袋や耳袋に入れた素材は、かくてだいぶ蓄(たま)ったが、本文のほうはなかなか意のごとくにすすまない。(二七・一二・七)
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでも葬具(さうぐ)や其(そ)の他(た)の雜費(ざつぴ)には二錢(せん)づつでも村(むら)の凡(すべ)てが持(も)つて來(き)た香奠(かうでん)と、お品(しな)の蒲團(ふとん)の下(した)に入(いれ)てあつた蓄(たくはへ)とでどうにかすることが出來(でき)た。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
翁と交るものは其悠々たる様子を見て、郷里には資産があるものと思っていたが、昭和十年の春俄に世を去った時、其家には古書と甲冑(かっちゅう)と盆裁との外、一銭の蓄(たくわえ)もなかった事を知った。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かうして績(ツム)ぎ蓄(タ)めた藕絲は、皆一纒めにして、寺々に納めようと、言ふのである。寺には、其々(ソレヽヽ)の技女(ギヂヨ)が居て、其絲で、唐土樣(モロコシヤウ)と言ふよりも、天竺風な織物に織りあげる、と言ふ評判であつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫、釈迢空(著)
自分が出来合(できあひ)の奴(やつ)を胸に蓄(たく)はへてゐるんぢやなくつて、石と鉄と触れて火花(ひばな)の出(で)る様に、相手次第で摩擦の具合がうまく行けば、当事者二人(ににん)の間に起るべき現象である。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何(ど)うも可哀(かあい)さうな事をしましたな、私(わたし)も長らく一緒(しよ)に居(を)つたが喰(く)ふ物も喰(く)はずに修業(しゆげふ)して歩き、金子(かね)を蓄(ため)た人ですから少しは貯金(こゝろがけ)がありましたらう。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
此(この)黒闇(くらやみ)に蓄(かこ)うておくのではないか知(し)らぬ。
画の竜と違い蜥蜴のようだとあれば、何か一種の蜥蜴を蓄(こ)うて竜とし祠(まつ)りいたのだ。
明治四十一、二年の頃、浜町二丁目十三番地俚俗不動新道(ふどうじんみち)といふあたりに置屋(おきや)と称(とな)へて私娼を蓄(たくわう)る家十四、五軒にも及びたり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
その男は炉の側(はた)に自分のためにとて蓄(と)って置かれてあった御馳走の前に腰を下ろした。
故ニ都ヲ銀坑洞ト称シ、南蛮王ノ巣トシ、宮殿楼閣悉(コトゴト)ク銀映緑彩(リョクサイ)、人ハミナ羅衣(ライ)ニシテ烈朱(レッシュ)臙脂(エンジ)濃紫(ノウシ)黄藍(オウラン)を翻(ヒルガエ)シ、又好ンデ、橄欖ノ実ヲ噛ミ、酒壺(シュコ)常ニ麦醸果酵(バクジョウカコウ)ヲ蓄(タクワ)ウ。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)