“粘”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ねば75.0%
つ5.3%
ね3.8%
へば3.8%
こ1.5%
ねばり1.5%
のり1.5%
く0.8%
こび0.8%
でん0.8%
ぬめり0.8%
ねばりつ0.8%
ねり0.8%
ねん0.8%
は0.8%
ひね0.8%
へばり0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼(かれ)が薦(こも)つくこを擔(かつ)いで歸(かへ)つて來(き)た時(とき)は日向(ひなた)の霜(しも)が少(すこ)し解(と)けて粘(ねば)ついて居(ゐ)た。お品(しな)は勘次(かんじ)が一寸(ちよつと)の間(ま)居(ゐ)なく成(な)つたので酷(ひど)く寂(さび)しかつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
シバヤナギ、タチヤナギ、いろいろな名があろう、幹の皮は、皺だらけで、永年洗い落したことのない垢……青苔が、厚くこびり粘(つ)いている。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
そこは、空気の湿りを乾草が吸い取ってしまうためか、闇が粘(ね)とついたようにじめじめしていて、時おり風に鳴ると、枯草が鈴のような音を立てる。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
銀子は何か頭脳(あたま)に物が一杯詰まっているような感じで、返辞もできずに、猫(ねこ)が飼主に粘(へば)りついているように、栗栖の周囲(まわり)を去らなかった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その痕跡の仆木(ふぼく)が、縦横に算を乱している、そうして腐った木に、羊歯(しだ)だの、蘇苔が生ぬるく粘(こ)びついて、唐草模様の厚い毛氈(もうせん)を、円く被(かぶ)せてある、踏む足はふっくらとして
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
それは美男葛(びなんかずら)といってね。夏は青白い花が咲くのだ。もう莟(つぼみ)があるだろう。実が熟すると南天のように赤くて綺麗だよ。蔓の皮を剥(は)いで水に浸すと、粘(ねばり)が出るのを
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
殺したい、殺したい、殺して死にたい思うても、傍(そば)へ行きゃ、ぼっと佳(い)い香(におい)のするばかりで、筋も骨も萎々(なえなえ)と、身体がはや、湿った粘(のり)のようになりますだで。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ともかく眼の前の大山を登った、石片が縦横に抛(な)げ出されている、しかし石と石とは、漆喰(しっくい)にでも粘(く)ッつけられたようで動かない、いずれも苔がべッたり覆せてある、太古ながらの石の一片は
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
もともと初めから徳永商店に長く粘(こび)り着いてる心持はなく、徳永を踏台(ふみだい)にして他の仕事を見付ける意(つもり)でいたのだから
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
一陣の罡風(こうふう)送春を断す 名花空しく路傍の塵に委す 雲鬟(うんかん)影を吹いて緑地に粘(でん)す 血雨声無く紅巾に沁(し)む 命薄く刀下の鬼となるを甘んずるも 情は深くして豈(あに)意中の人を
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
特に鱗に粘(ぬめり)無く身に腥気(なまぐさけ)少ければ、仮令其味美ならずとも好ましかるべき魚なるに、まして其味さへ膩濃(あぶらこ)きに過ぎずして而も淡きにも失せず、まことに食膳の佳品として待たるべきものなれば
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
落ちたら出る事ならぬ穽(おとしあな)や木葉に黐(もち)塗りて虎に粘(ねばりつ)き狂うてついに眼が見えぬに至らしむる設計(しかけ)等あるが、欧人インドで虎を狩るには銃を揃え象に乗って撃つのだ。
種類は十四五種ぐらゐあるらしいが、どの香も、粘(ねり)稠剤の関係でか、香気の共通性があつて、香気は異るには異るのだが、香水ほど際立たない。之れも、特殊な場合の、特別な用途にはいいだらう。
柳さくらをこきまぜて、都は花のやよい空、錦繍(きんしゅう)を布(し)き、らんまん馥郁(ふくいく)として莽蒼(ぼうそう)四野も香国(こうこく)芳塘(ほうとう)ならずというところなし。燕子(えんし)風にひるがえり蜂蝶(ほうちょう)花に粘(ねん)す。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
幸助五六歳のころ妻の百合が里帰りして貰いきしその時粘(は)りつけしまま十年(ととせ)余の月日経(た)ち今は薄墨(うすずみ)塗りしようなり、今宵(こよい)は風なく波音聞こえず。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
……そいつを僕の枕元の鎮静剤(ちんせいざい)の中に、すこし宛(ずつ)粘(ひね)り込んでいるんです。そうして誰にもわからないように、僕の生命(いのち)を取ろうとしているのです……僕は時々頭から蒲団(ふとん)を冠(かぶ)る癖(くせ)がありますからね。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そしてそれが一層男の方へお島の心を粘(へばり)つかせていった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)