“水(み)” の例文
「海行かば水(み)づく屍(かばね)、もとよりわが聯合艦隊は全滅を覚悟して戦います。天(あま)つ神、国つ神よ、ねがわくはこの皇国(すめくに)を守らせたまえ。」
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
静かな暗(やみ)にゆらりゆらりと揺れて、夕靄の立ち籠むる湖面の彼方、家々の窓にともる赤い灯影(ほかげ)、アンジアン娯楽場(カジノ)の不夜城はキラキラと美しく水(み)の面(も)に映っている。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
さうしたら一度にこの恩返しを為ませうと、私は、そればかりを楽(たのしみ)に、出来ない辛抱も為てゐたんだけれど、もう、今と成つちや何もかも水(み)……水(み)……水(みづ)の……泡。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
六二さしも伊吹の山風に、六三旦妻船(あさづまぶね)も漕(こ)ぎ出づれば、芦間(あしま)の夢をさまされ、六四矢橋(やばせ)の渡(わたり)する人の水(み)なれ棹(さを)をのがれては、六五瀬田の橋守にいくそたびか追はれぬ。
蹲踞(しゃが)んで水(み)の面(も)をみていると、飛んでゆく鳥の影が、まるで魣(かます)かなんかが泳いでいるように見える。水色をした小さい蟹(かに)が、石崖(いしがけ)の間を、螯(はさみ)をふりながら登って来ている。
田舎がえり (新字新仮名) / 林芙美子(著)
御最後川の岸辺に茂る葦(あし)の枯れて、吹く潮風に騒ぐ、その根かたには夜半(よわ)の満汐(みちしお)に人知れず結びし氷、朝の退潮(ひきしお)に破られて残り、ひねもす解けもえせず、夕闇に白き線を水(み)ぎわに引く。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あなあはれ水(み)の辺(べ)の柳、あなあはれかかりの小舟、寂しとも寂しとも見れ。折からや苫をはね出て、舟縁(ふなべり)の霜にそびえて、この朝の紅(あか)き鶏冠(とさか)の雄の鶏(かけ)が、早やかうかうと啼き出(で)けるかも。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そして動くに連(つ)れて、潮(しお)はしだいに増すようである。水(み)の面(も)が、水の面が、脈(みゃく)を打って、ずんずん拡(ひろ)がる。嵩(かさ)増(ま)す潮は、さし口(ぐち)を挟(はさ)んで、川べりの蘆(あし)の根を揺(ゆ)すぶる、……ゆらゆら揺すぶる。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今日(けふ)さへや引く人もなき水(み)隠れに生(お)ふるあやめのねのみ泣かれん
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
枯葉ちる水(み)さびし池に痩せにつつしづまる鯉はやもをなるらしも
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
鴨居りて水(み)の面(も)あかるき山かげの沼のさなかに水皺(みじわ)寄る見ゆ
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
かすかに銭を鳴らしつゝ、 ひとは水(み)繩を繰りあぐる。
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ぬなは生(お)ふ池の水(み)かさや春の雨
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
水(み)の面(も)に落ちなば花とひらき
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
海行かば水(み)づく屍(かばね)——こうして『八島』七十人の勇士は、永遠に太平洋の水底に眠ることになったのだ。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
矢橋(やばせ)の渡し舟の船頭があやつるさばきあざやかな水(み)なれ棹(ざお)から身をかわして、瀬田の橋の方へ泳いでいくと、こんどは橋番からなんどもなんども追いたてられたのです。
旅やどり、消ゆるばかりに一夜寝て寝ざめて見れば、霜しろし水(み)の辺(べ)の柳、何一つ音もこそせね、薄墨の空の霧(き)らひにただ白く枝垂(しだ)れ深めり。枝垂れつつ水にとどけり。また白き葦にとどけり。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
つれづれと身を知る雨のをやまねば袖さへいとど水(み)かさまさりて
源氏物語:53 浮舟 (新字新仮名) / 紫式部(著)
水(み)がくれにつとこそ沈(しづ)め。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
旅やどり、消ゆるばかりに、一夜寝て寝ざめて見れば、霜しろし水(み)の辺(べ)の柳、何一つ音もこそせね、薄墨の空の霧(き)らひにただ白く枝垂(しだ)れ深めり。枝垂(しだ)れつつ水にとどけり。また白き葦にとどけり。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「海行かば水(み)づく屍(かばね)——」
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
水(み)がくれにつとこそ沈め。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
葦茎のうぶの柔毛(にこげ)のいみじさよ水(み)づくその毛はつけぬ白玉
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夕(ゆふべ)となれば、水(み)がくれの
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
ほのかにも掲(かゝ)げつつ、水(み)の面(も)見る女(をんな)の瞳(ひとみ)。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夕となれば水(み)がくれの
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
なべてみな真白き水(み)の面(も)、はた、光
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
水(み)の面(も)の水澁(みしぶ)
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
水(み)の面(も)なる葦(あし)のわか芽(め)に顫(ふる)ふ時。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
薫(く)ゆりぬ、——あはれ、水(み)の面(も)の
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
放(つ)け棄ての火も水(み)ぎはを伝へば
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
葦(あし)の芽あをむ水(み)ぎはに
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
水(み)の気(け)尽き、素力(もとぢから)尽き
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
水(み)の氣(け)盡き、素力(もとぢから)盡き
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)