“貪”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
むさぼ88.5%
むさ6.9%
たん0.9%
どん0.9%
と0.6%
むさぼり0.6%
とん0.3%
むきぼ0.3%
むざ0.3%
ボ0.3%
ムサボ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もしその間(あいだ)に身体(からだ)の楽に出来る日曜が来たなら、ぐたりと疲れ切った四肢(しし)を畳の上に横たえて半日の安息を貪(むさぼ)るに過ぎなかったろう。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『その性狂暴、奢侈(しやし)に長じ、非分の課役をかけて農民を苦しめ、家士を虐待(ぎやくたい)し、天草の特産なる鯨油(げいゆ)を安値に買上げて暴利を貪(むさ)ぼり』
李克(りこく)曰(いは)く、『起(き)は貪(たん)にして色(いろ)を好(この)む。然(しか)れども兵(へい)を用(もち)ふるは、司馬穰苴(しばじやうしよ)も過(す)ぐる能(あた)はざる也(なり)』と。是(ここ)に於(おい)て魏(ぎ)の文矦(ぶんこう)以(もつ)て將(しやう)と爲(な)す。
この縁談は悪くない、と貧すれば貪(どん)すの例にもれず少からず心が動いて、その日はお使者に大いに愛嬌(あいきょう)を振りまき、確答は後日という事にして
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
三國屋に居ると何んの彼(か)ので日に十五錢宛貪(と)られるがな。そすると月に積つて四圓五十錢で、私は五十錢しか小遣が殘らなくなるでな。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その人は改善の人たれと冀(こひねがひ)しを、貫一は今この家の主(ぬし)となれるに、なほ先代の志を飜(ひるがへ)さずして、益(ますま)す盛(さかん)に例の貪(むさぼり)を営むなりき。然(しか)れば彼と貫一との今日(こんにち)の関繋(かんけい)は如何(いか)なるものならん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
仏教では、自分の内部、および外界に在る三毒(貪(とん)・瞋(しん)・痴(ち))が、これらの不平、不安、失望、恨み等……の悩みを惹き起すことを見破っております。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
久しぶりに十分な眠りを貪(むきぼ)ったので睡気は残っていないのだけれど、手足を伸び伸びとさせているのがいつまででも好い心持で、ちょっとは蓐(しとね)のぬくもりを捨てることが出来ない。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
不当の利潤を貪(むざ)ぼり、今は入牢吟味中の増田屋惣兵衛の娘か、——そのような者の娘なら、定めし着類持物に贅を尽して居るであろう、——その帯を解けッ、——何を遠慮する、若い女とて
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
当方でなく、対象が脆く自分の思ふまゝになる、と言ふのが本義なので、貪(ボ)るが語原とすれば、ぼろいの意は訣つても、ぼろくそは解釈がつかぬのである。
方言 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ワレ知ル、五慾ノ楽シミヲ貪(ムサボ)ルモノハ、必ズ、久シカラズシテ命(メイ)終ルコトヲ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)