“弾”のいろいろな読み方と例文
旧字:彈
読み方割合
ひ30.1%
はじ29.2%
はず18.7%
たま7.7%
は4.8%
だん2.6%
だま2.1%
はぢ0.7%
ハジ0.5%
はづ0.4%
かな0.4%
ぱ0.4%
ひき0.4%
たん0.2%
ば0.2%
ヒ0.2%
う0.1%
たた0.1%
つ0.1%
はじきゆみ0.1%
はずま0.1%
はた0.1%
ひい0.1%
び0.1%
びき0.1%
や0.1%
バネ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
子供(こども)らは、はじめのうちは、おじいさんの弾(ひ)くバイオリンの音(ね)を珍(めずら)しいものに思(おも)って、みんなそのまわりに集(あつ)まって聞(き)いていました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
色のない焔は瞬(またた)く内に、濛々(もうもう)と黒煙を挙げ始めた。と同時にその煙の下から、茨や小篠(をざさ)の焼ける音が、けたたましく耳を弾(はじ)き出した。
老いたる素戔嗚尊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
だが、易々(やすやす)と斬り得る足もとの敗者を斬らずに前髪の美少年は、身をかわした機(はず)みに弾(はず)みを加えて、ぶうんと横側の敵へ当って来た。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、ピストルの弾(たま)がとびだすころには、金色のかたまりは、もう警官の背中をとおりこして、ずっと下のほうに落ちていました。
黄金豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
表通りの呉服屋と畳表問屋の間の狭い露路の溝板へ足を踏みかけると、幽(かす)かな音で溝板の上に弾(は)ねているこまかいものの気配いがする。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
地質は多分塩瀬(しおぜ)であろう、表は上の方へ紅地に白く八重梅(やえうめ)の紋(もん)を抜き、下の方に唐(から)美人が高楼に坐(ざ)して琴を弾(だん)じている図がある。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
『砲術調練中の過失じゃ。鳥打峠の岩鼻を的(まと)に狙撃しておった反(そ)れ弾(だま)が、射手(いて)の未熟のため、こんな所へ落下した。——許されよ。御浪士』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二三分の後(のち)隣(となり)の人(ひと)の迷惑さうな顔(かほ)に気が付(つ)いて、又元(もと)の通りに硝子窓(がらすまど)を上(あ)げた。硝子(がらす)の表側(おもてがは)には、弾(はぢ)けた雨(あめ)の珠(たま)が溜(たま)つて、往来が多少歪(ゆが)んで見えた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
世間も当然、然(シカ)あるべきものとして怪しまなかつたに違ひない。併しそこに、世間及び彼のとつた大誤算の弾(ハジ)きはじめがあつたのである。
市村羽左衛門論 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
話がそれからそれへと弾(はづ)んで、学問のこと、生活様式のこと、道楽のこと、職業のこと、政治のことにまで及んだ。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
琵琶と琴の合奏(あわ)せはむずかしい。——が、御諚なればと、二人は懸命に、そのとき“熊野(ゆや)”の一(ひ)ト節(ふし)を弾(かな)でて歌った。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正面から持ち込めば突(つ)っ弾(ぱ)ねるに定(きま)っているから、先ず冗談で皮切りをして、徐(おもむろ)に俊一君の申開きをする段取りだった。
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「有難う、ミスター・ベーカー、私は立花幾久雄と申すヴァイオリンひき、これは信子と言って、私の本当の妹でもあり、私の大事な伴奏弾(ひき)でもあります」
天才兄妹 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
室内寂(せき)として声無し。窓の外に死のヴァイオリンを弾(たん)じつつ過ぎ行くを見る。その跡に跟(つ)きて主人の母行(ゆ)き、娘行(ゆ)き、それに引添いて主人(しゅじん)に似たる影行(ゆ)く。
「うわあっ!」と、両手を頭のうえに振り廻して、初太郎は、弾(ば)ね仕掛けのように躍り上っていた。
人間誰カ母ノ子ナラザル者アランヤ。而(シカ)アレ、御辺ノ情ニ対シテ、弾(ヒ)ク弓ナク、御辺ノ恩ニ向ツテ衂(チ)ヌル刃(ヤイバ)ナシ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二人は何十発となく弾(う)ちましたが、一羽も弾ち落とすことが出来ませんでした。しまいには力がぬけて、鉄砲を杖(つえ)に佇(たたず)みました。
狸のお祭り (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
十(じふ)の指(および)は椅子の下、ぱたりぱたりと弾(たた)きますれば
わたくしは「おや」と思って眼を注いでいると、直ぐ、しまに案内され、再び格子戸の外へ出た男は、わたくしたちのいる羽根弾(つ)きの群の方に来ました。紛(まご)う方なき葛岡です。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
二人とも紅い綃(しょう)の鉢巻をして、髻(もとどり)に雉(きじ)の尾を挿し、紫の小袖を着、腰に緑の錦を束ね、一方の手に弾(はじきゆみ)を持ち、一方の手に青い臂(ひじ)かけをしていた。
西湖主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その男は馳けて来たらしく息を弾(はずま)せていた。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
船橋氏は記念(かたみ)の『欧山米水』を取り出して、一寸(ちよつと)表紙の埃を弾(はた)いて読みかけてはみたが、別に軍人を天使のやうに書いてもなかつたので、その儘打捨(うつちや)らかして了つた。
私が大へんわるかつたんですから、かあさまどうぞ御免下さい、買ふつもりでも何でもないんでしたもの、あの人が弾(ひい)てるの聞いてたら、みんな忘れつちまつたんです。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
恋慕流しのつれ弾(び)きてえしがねえ渡世で、へえ。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
九時二十分頃、呂昇が出て来て金屏風(きんびょうぶ)の前の見台(けんだい)に低頭(ていとう)した。連(つ)れ弾(びき)は弟子の昇華(しょうか)。二人共時候にふさわしい白地に太い黒横縞(くろよこしま)段だらの肩衣(かたぎぬ)を着て居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
飲むとむやみに陽気に騒ぎ散らすと宿の女中が話していました。ふだんはまじめな面(つら)をしているが、なかなか道楽者らしい男で、酔うと三味線なんぞをぽつんぽつん弾(や)るということです
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
伯楽(ばくらふ)の手代等といふ黒雲の面々が、一勢に弾(バネ)にはぢかれた蛙のやうに吃驚り仰天して
バラルダ物語 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)