“雌(め)” の例文
「こないだから雌(め)だいがのどにとげを立てて物が食べられないで困(こま)っておりますが、ではきっとお話のつり針をのんでいるに相違ございません」
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
ちょうど雌(め)ひつじが子どもに乳(ちち)を飲ませる時節(じせつ)で、ひつじ飼(か)いのうちには、ひつじの乳をかってにしぼって飲むことを許(ゆる)してくれる者もあった。
……たとえば虻(あぶ)や蝶が、雄(お)シベと雌(め)シベのあいだの風にのって、花粉を運んだとしましても、胚子(たね)を結ぶときもあり結ばずに終ることもありますからな
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わが父はつれづれの翁(おきな)、鶉(うづら)飼(か)ひひめもす飽かず、鶉籠雌(め)と雄(を)とさし寄せ、行き通へよく番(つが)へとぞ、い坐(すわ)ると、膝に肘張り、眼を凝らし、ただにおはせり。
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
もしその形態に至っては、犬神や外道(げどう)と同じく判明せぬけれども、普通、人狐の正体と定められおるものは鼬(いたち)の一種である。あるいは雌(め)鼬という説もある。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
忽ち天井裏に物音して、救助(たすけ)を呼ぶ鼠(ねずみ)の声かしましく聞えしが。やがて黄金丸の傍(かたわら)に、一匹の雌(め)鼠走り来て、股(もも)の下に忍び入りつ、救助(たすけ)を乞ふものの如し。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
影と知らずに雌(め)と見たか雄(お)と見たか、あるいは水の玻璃層は、人間には延板のように見えても、蝶には何でもないのか、虚空の童女は、つと水底の自分を捉えようとして
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
我が日本の松にはいろいろの種類がありますが、まず最も普通なものは赤松(あかまつ)と黒松(くろまつ)とです。赤松は一に雌(め)※松、黒松は雄(お)※松といいます。これは我が邦の特産で支那にはありません。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
時にたまたま天の神ありて突然(にわか)に棄老の王宮に降(くだ)り、国王ならびに諸臣に対(むか)ひて、手に持てる二(ふたつ)の蛇(へび)を殿上に置き、見よ見よ汝(なんじ)ら、汝らこの蛇のいづれか雄(お)にしていづれか雌(め)なるを別ち得るや
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
雄(を)も雌(め)も共にたゆたひて
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
夫(せ)の聲は雄(を)の血、雌(め)の血の
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
妻(つま)戀(こ)ふらしや雌(め)をよびて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
春の日は若き雌(め)と雄(を)と
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
わが父はつれづれの翁(おきな)、鶉(うづら)飼(か)ひひめもす飽かず、鶉籠雌(め)と雄(を)とさし寄せ、行き通へよく番(つが)へとぞ、い坐(すわ)ると、膝に肘張り、眼を凝らし、ただにおはせり。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雄(を)の浪は雌(め)の浪趁(お)ふと。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
羽(はね)にまつはる雌(め)の孔雀(くじやく)
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
八尺(やさか)なす桶のここだく、新(にひ)しぼりしたたる袋、庭広に干しも列(つら)ぬと、咽喉太(のどぶと)の老いしかけろも、かうかうとうちふる鶏冠(とさか)、尾長鳥垂り尾のおごり、七妻(ななづま)の雌(め)をし引き連れ、七十羽(ななそは)の雛を引き具し
篁 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
八尺(やさか)なす桶のここだく、新しぼりしたたる袋、庭広に干しも列(つら)ぬと、咽喉太(のどぶと)の老いしかけろも、かうかうとうちふる鶏冠(とさか)、尾長鳥垂り尾のおごり、七妻(ななづま)の雌(め)をし引き連れ、七十羽(ななそは)の雛を引き具し
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
逞ましき種豚(たねぶた)の鼾はりつめたる雌(め)が腹の乳(ちゝ)に沁みて響くかも
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
島山の萱の閑(しづ)かに鶉ゐて啼くなる昼は雌(め)もこもり啼く
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雌(め)の上にそつと重なる。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
朝出て食(は)むや雌(め)の牛
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
犂、鍬、黒の雌(め)の牛
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)