“訊(と)” の例文
こゝにも亦た因果の道法を隠微の中(うち)に示顕して至妙に達せり。月水の絶たるは、仙童に訊(と)ふまでもなく懐胎の徴(しるし)なり。
蹈海(とうかい)の蹉跌(さてつ)は、乍(たちま)ち徳川政府の訊(と)う所となり、江戸伝馬町の獄に繋がれ、延いて佐久間象山に及び
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
訊(と)うまでもなく、それは、仇(あだ)で、意気で、悪党で、美人で、こうした社会では、いわば理想の女性の随一としてかぞえられているような秀物と、たった二人、酒を汲(く)みかわしているからこそだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
どんな難(むつか)しい事を訊(と)ひかけられるだらうと、胸をどきどきさせてゐた青年は、漸(やつ)と安心したやうに綺麗に櫛(くし)の目の立つた頭を二三度下げた。そして叮嚀に小包の括(くゝ)り紐(ひも)を切つて、紙包みを解(ほど)いた。
次の日、帝、楊、葉、程の三人と共に、呉江を出(い)で、舟に上(のぼ)りて京口(けいこう)に至り、六合(ろくごう)を過ぎ、陸路襄陽(じょうよう)に至り、廖平が家に至りたもうに、其(その)後(あと)を訊(と)う者ありければ、遂(つい)に意を決して雲南(うんなん)に入りたもう。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一部に悪と思はるゝ所のものは全部に善、傲慢(がうまん)に訊(と)ふ勿(なか)れ、誤理(ごり)に惑はさるゝ勿れ、凡(およ)そ一真理の透明なるあらば其の如何なる者なるを問はず、必らず善なるを疑ふ勿れ。
厭世詩家と女性 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)