“放(ひ)” の例文
かく山に生じているものはその花が余り派手やかではないが、諸州に在(あっ)て里に栽えられてあるものにはすこぶる美花を放(ひ)らくのがある。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
父も兄も鍬を荷ひ駒を引いて歸つてきた例の兄の愛馬が鼻放(ひ)る聲も聞える。身内へ用にゆかれた母も歸つたらしい、生垣近くで人々の話聲である。
古代之少女 (旧字旧仮名) / 伊藤左千夫(著)
今生金の大小便ばかり垂れ散らす象を得たとあるが、どんな屁を放(ひ)ったか説いていない(『賢愚因縁経』十二)。
荷車が驚いて道側(みちばた)の草中(くさなか)に避(よ)ける。鶏(にわとり)が刮々(くわっくわっ)叫んで忙(あわ)てゝ遁(に)げる。小児(こども)の肩(かた)を捉(とら)え、女が眼を円(まる)くして見送る。囂々(ごうごう)、機関(きかん)が鳴(な)る。弗々々(ふっふっふっ)、屁(へ)の如く放(ひ)り散(ち)らすガソリンの余煙(よえん)。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
そりゃ大方天狗(てんぐ)が嚔(くさみ)をしたのか、そうでなければ三ツ目入道が屍を放(ひ)った音だろう。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
乙「何でも幇間がソノ何ですね、お客さまに屁エ放(ひ)っ掛けたとか云うのが始まりで」
野糞(のぐそ)放(ひ)る外が濱邊や玫瑰花(まいくわいくわ)
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
東 屁を放(ひ)つて尻すぼめ
東西伊呂波短歌評釈 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
新婦の房に入らんとて恭(うやうや)しく座を起たんとし、一発高く屁を放(ひ)ってけり。衆客彼慙(は)じて自殺せん事を恐れ、相顧みてわざと大声で雑談し以て聞かざる真似した。
野糞(のぐそ)放(ひ)る外(そと)が浜辺(はまべ)や玫瑰花(まいくわいくわ)
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
無理に怺えてはすこぶる身を害すれど、放(ひ)って人に聞かしむるを極めて無礼とす、しかしそれがため終身醜名を負うような事なしと答うると、斉(ひと)しく一同逃げ去った。
さていよいよ放(ひ)り込むや否や直ちにその穴を土で埋め、かくて声も香も他に知れざりしを確かめ、やっと安心して帰ったとあって、この書世に出た頃大いに疑われたが