“凹”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くぼ49.3%
へこ40.7%
くぼみ2.2%
おう2.2%
なかくぼ1.5%
ひく1.1%
こ0.7%
お0.4%
しゃく0.4%
へ0.4%
へた0.4%
へっこ0.4%
ヘコ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
道也先生は親指の凹(くぼ)んで、前緒(まえお)のゆるんだ下駄を立派な沓脱(くつぬぎ)へ残して、ひょろ長い糸瓜(へちま)のようなからだを下女の後ろから運んで行く。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
探りながら歩いてゆく足が時どき凹(へこ)みへ踏み落ちた。それは泣きたくなる瞬間であった。そして寒さは衣服に染(し)み入ってしまっていた。
過古 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
蹴爪即ち隆起が臼の杵と凹(くぼみ)とを現しているのである。彼は然し、この構造を精巧な鏡玉で見て大きによろこんでいた。
道から約二十尺ほど高い崖の一部に深い裂けめがあり、ちょうど凹(おう)の字のような形をしていて、人間ひとりなら楽にはいれるほどの幅があった。
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
跟(つ)いて来た大きな犬のデカと小さなピンが、蛙(かえる)を追ったり、何かフッ/\嗅(か)いだりして、面白そうに花の海を踏(ふ)み分けて、淡紅(とき)の中に凹(なかくぼ)い緑の線(すじ)をつける。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
此噐の用は未(いま)だ詳ならざれど之(これ)を手に取りて持ち加減(かげん)より考ふるに、兩方(りやうはう)の掌を平らに並(なら)べ其上に此噐を受け、掌を凹(ひく)くして噐の底(そこ)に當て、左右の拇指(おやゆび)を噐の上部に掛(か)けて噐を押(お)さへ
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
両頬は深く落ち凹(こ)けて、眼は窪み、頬骨(ほゝぼね)ばかりがいやが上に高く、常には外して居る総入歯を、御飯の時などに篏(は)めて、入歯をして居る者がよくする様に
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
で、その中から死体を出しますと、もはやかちかちになって全く木で拵えたもののようになって居り、腹などもすっかり引っ込み眼も凹(お)ちてしまって水気は少しもありません。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その面形(めんがた)のごとく凹(しゃく)んだ面(つら)の、眉毛の薄い、低い鼻に世の中を何と睨(にら)んだ、ちょっと度のかかった目金(めがね)を懸けている名代(なだい)の顔が、辻を曲って、三軒目の焼芋屋の灯(あかり)に照(てら)された時、背後(うしろ)から
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
押してもついてもグシャグシャと汁をだして凹(へ)こむばかりで動きもしない。頭をがくがく振つてみても、要するにぬれ雑巾の重味だけをがくがくゆさぶつてゐるやうなものだ。手ごたえがなかつた。
文句(もんく)は色々(いろ/\)に變(か)へて、或(あるひ)は強(つよ)く、或(あるひ)は弱(よわ)く、或(あるひ)は罵(のゝし)り、或(あるひ)はふざけ、種々樣々(しゆ/″\さま/″\)の事(こと)を書(か)いてやつた。中途(ちうと)で凹(へた)たれては全(まつた)く敵(てき)に降伏(かうふく)する譯(わけ)だから、例(れい)の持藥(ぢやく)のつもりで毎日(まいにち)書(か)いた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
生れて始めて凹(へっこ)んですき間の出来た股を 湯のなかで自分は愛撫した。
無題(七) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
オーライ謹んで命を領すと混淆式(こんこうしき)の答に博学の程度を見せてすぐさまこれを監督官に申出る、と監督官は降参人の今日の凹(ヘコ)み加減充分とや思いけん、もう帰ろうじゃないかと云う
自転車日記 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)