“著(し)” の例文
巨勢が「アトリエ」に入りて見しに、彼はこの三日がほどに相貌(そうぼう)変りて、著(し)るく痩(や)せたる如く、「ロオレライ」の図の下に跪(ひざまず)きてぞゐたりける。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
此春より引きも切らぬ文の、此の二十日計りはそよとだに音なきは、言はでも著(し)るき、空(あだ)なる戀と思ひ絶えしにあんなれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
夜眼にも著(し)るくヌッと出る脛を、虻が集(た)かったかバンと打ち、掌(てのひら)を返すと顎を擦り、じーっと行手を隙かして見たが、ブッツリ切ったは刀の鯉口、故意(わざ)と高い足音を立て
村井長庵記名の傘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
クマザサは一にヤキバザサという小竹にして本邦普(あまね)くこれを産す。その葉縁枯白するにより著(し)るし。故にクマザサという。クマザサとは隈笹の義にして熊笹の意にあらず。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
予が従来の見神の経験なるもの、謂(い)はば、春の夜のあやなき闇(やみ)に、いづことしもなき一脈の梅が香を辿(たど)り得たるにも譬(たと)へつべし。たしかにそれと著(し)るけれど、なほほのかに微(かす)かなりき。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
深雪(みゆき)降り、木枯荒れて、著(し)るくなりぬ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
つゝみて独りながむるけはひ著(し)るし
優しさ著(し)るきいたましき
逸見猶吉詩集 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
深雪(みゆき)降り、木枯荒れて、著(し)るくなりぬ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
河淀(かはよど)の近きは著(し)るし。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)