“腐(ふ)” の例文
ことによると、敷居の溝(みぞ)に食い込んだなり動かないのかも知れない。屋根は無論藁葺(わらぶき)で、その藁が古くなって、雨に腐(ふ)やけたせいか、崩(くず)れかかって漠然(ばくぜん)としている。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「あの三人の娘は、みなひどく腐(ふ)らんして、顔も何も分らなくなっていましたね」
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
隙間(すきま)なく渋(しぶ)の洩(も)れた劈痕焼(ひびやき)に、二筋三筋藍(あい)を流す波を描(えが)いて、真白(ましろ)な桜を気ままに散らした、薩摩(さつま)の急須(きゅうす)の中には、緑りを細く綯(よ)り込んだ宇治(うじ)の葉が、午(ひる)の湯に腐(ふ)やけたまま
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)