“無(ぶ)” の例文
そこに球突塲(たまつきば)があつたので無(ぶ)聊のまゝ運動(うんどう)がてら二十點(てん)といふ處(ところ)あたりから習(なら)ひ出したのが、病みつきの初(はじ)めだつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
代助は其晩わざと雨戸(あまど)を引(ひ)かずに寐(ね)た。無(ぶ)用心と云ふ恐れが彼(かれ)の頭(あたま)には全く無(な)かつた。彼は洋燈(ランプ)を消(け)して、蚊帳(かや)の中(なか)に独(ひと)り寐転(ねころ)びながら、暗(くら)い所から暗い空(そら)を透(す)かして見た。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
キャラコさんは、他人の生活に無(ぶ)遠慮に立ちいるようなたしなみのない娘ではない。
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
之(これ)に附けても僕は日本大使館の無(ぶ)風流を歎かざるを得ない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
「無(ぶ)用心(じん)だから」と云つた。今迄(いままで)日の透(とほ)る澄(す)んだ空気の下(した)で、手(て)を動(うご)かしてゐた所為(せゐ)で、頬(ほゝ)の所(ところ)が熱(ほて)つて見えた。それが額際(ひたひぎは)へ来(き)て何時(いつ)もの様に蒼白(あをしろ)く変(かは)つてゐる辺(あたり)に、汗(あせ)が少し煮染(にじ)み出(だ)した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)