“斯(そ)” の例文
喟然(きぜん)として私(わたし)は歎(たん)じた。人間(にんげん)は斯(そ)の徳(とく)による。むかし、路次裏(ろじうら)のいかさま宗匠(そうしやう)が、芭蕉(ばせを)の奧(おく)の細道(ほそみち)の眞似(まね)をして、南部(なんぶ)のおそれ山(やま)で、おほかみにおどされた話(はなし)がある。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
泉原はそう思って、我ながら斯(そ)うして女のあとを追ってきた愚かしさをはがゆく思った。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
つい其(そ)の自分で勝手に苦(くるし)んで勝手に色々なことを、馬鹿な訳にも立たん事を考(かん)がえて居(お)るもんですから、つい見境もなく饒舌(しゃべる)のです。否(いいえ)、誰(だれ)にも斯(そ)んなことを言った事はないのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)