“摶(う)” の例文
斯(こ)うした景岡の眼には、自然の草木はなんらの美をも齎らしませんでした。そして肉体の探窮美にのみ、胸を摶(う)たれるのです。
足の裏 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
するとこの若(わか)い鳥(とり)は翼(つばさ)で横腹(よこばら)を摶(う)ってみましたが、それは全(まった)くしっかりしていて、彼(かれ)は空(そら)高(たか)く昇(のぼ)りはじめました。そしてこの翼(つばさ)はどんどん彼(かれ)を前(まえ)へ前(まえ)へと進(すす)めてくれます。
自分たちもこの画中の人に加わって欄に倚って月を眺めていると、月は緩(ゆ)るやかに流るる水面に澄んで映っている。羽虫(はむし)が水を摶(う)つごとに細紋起きてしばらく月の面(おも)に小皺(こじわ)がよるばかり。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
むかし私の胸摶(う)つた希望は今日を
下摶(う)つ鳥の皷翼(はばたき)に似たり。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
摶(う)ちあい
原爆詩集 (新字新仮名) / 峠三吉(著)