“拭”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふ48.2%
ぬぐ48.0%
ふき1.0%
のご0.5%
か0.5%
ぬぐひ0.5%
ふい0.5%
ぬぐい0.3%
たへ0.1%
ぬ0.1%
ぬぐへ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
日あたりのいいヴェランダに小鳥の籠(かご)を吊(つ)るすとかして、台所の用事や、拭(ふ)き掃除をさせるために女中の一人も置いたらどうだろう。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかるときは赤ペンキは忽(たちま)ち自動車をベタベタに染め、運転手が驚きて拭(ぬぐ)わんとすれども中々おちぬところに新種ペンキの特長あり。
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三、佐野昌一(著)
拭(ふき)つゝ咄(はな)しかくれば長庵は態(わざ)と目を拭(ぬぐ)ひ涙に聲を曇(くも)らせて貧(ひん)の病は是非もなし世の成行(なりゆき)と斷念(あきら)めよ我とては貯(たくは)へ金は有ざれども融通(ゆうづう)さへ成事なら用立(ようだつ)て遣度(やりたし)と手紙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ますらをと思(おも)へる吾(われ)や水茎(みづくき)の水城(みづき)のうへに涕(なみだ)拭(のご)はむ 〔巻六・九六八〕 大伴旅人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
不思議なことには、熱い涙が人知れず其顔を流れるといふ様子で、時々啜(すゝ)り上げたり、密(そつ)と鼻を拭(か)んだりした。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こゝに眼(め)を拭(ぬぐひ)て扶桑(ふさう)第一の富士を視(み)いだせり、そのさま雪の一握(ひとにぎ)りを置(おく)が如し。人々手を拍(うち)、奇なりと呼(よ)び妙なりと称讃(しようさん)す。千勝(しよう)万景(けい)応接(おうせふ)するに遑(いとま)あらず。
ノドケには喉(のど)の中をテレビン油で拭(ふい)て遣(やり)ます。それは筆の代りに鳥の羽の中ほどをむしって先の方を蝶(ちょう)位な形(かた)ちに残してテレビン油をつけて喉の中をグルリと拭くのです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
時に五助は反故紙(ほごがみ)を扱(しご)いて研(と)ぎ澄(すま)した剃刀(かみそり)に拭(ぬぐい)をかけたが、持直して掌(てのひら)へ。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
結びて手拭冠(かぶ)り拭(たへ)の布子(ぬのこ)の裾(すそ)端折(はしをり)片手(かたて)に古(ふる)びし岡持下げ足元輕く立歸る老婆(らうば)は長屋の糊賣(のりうり)お金營業仕舞て這入來(はひりく)る姿(すがた)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
太吉は覚えず身戦(みぶる)いすると、北の方から黒雲が自分の後を追って来た。瞬(またた)く間に拭(ぬ)ぐったように星晴(ほしばれ)のしていた空は曇って、星の光りが遠く遠く幽(かす)んだ。
越後の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
金中(かねのなか)の虫は肉眼(ひとのめ)におよばざる冥塵(ほこり)のごとき虫ゆゑに人これをしらず。およそ銅銕(どうてつ)の腐(くさる)はじめは虫を生(しやう)ず、虫の生じたる所(ところ)色(いろ)を変(へん)ず。しば/\これを拭(ぬぐへ)ば虫をころすゆゑ其所(そのところ)腐(くさら)ず。