“埀(た)” の例文
前(さき)の程(ほど)より愁然(しゆうぜん)と頭(かうべ)を埀(た)れて、丁度(ちやうど)死出(しで)の旅路(たびぢ)に行(ゆ)く人(ひと)を送(おく)るかの如(ごと)く、頻(しき)りに涙(なみだ)を流(なが)して居(を)る。
眞黒(まつくろ)な艷(つや)の佳(い)い洋犬(かめ)が一匹(ぴき)、腮(あご)を地(ぢ)に着(つ)けて臥(ねそ)べつて、耳(みゝ)を埀(た)れたまゝ是(こ)れ亦(また)尾(を)をすら動(うご)かさず、廣庭(ひろには)の仲間(なかま)に加(くは)はつて居(ゐ)た。そして母屋(おもや)の入口(いりくち)の軒陰(のきかげ)から燕(つばめ)が出(で)たり入(はひ)つたりして居(ゐ)る。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其一は通常(つうじやう)の帽子の如く頭上(とうぢやう)に戴くもの、其二は外套頭巾(ぐわいたうづきん)の如く不用の時は頭後に埀(た)れ置くを得るものなり。別種(べつしゆ)の冠り物も有りしやに見(み)ゆれど精くは言ひ難し。此所(ここ)には二種として説明(せつめい)すべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
見(み)よ、巨浪(なみ)は怒(いか)りて天(てん)を挐(さ)き。 黒雲(こくうん)低(ひく)く海(うみ)に埀(た)る。