“俺(お)” の例文
おかみさんは、「俺(お)れは何の願いもない、たった一度でいいに、東京を見て死にたい」という。お喋(しゃべ)りの「ボコ」はすぐ口を出す。
白峰の麓 (新字新仮名) / 大下藤次郎(著)
そうれまんだ肝(きも)べ焼けるか。こう可愛(めんこ)がられても肝べ焼けるか。可愛(めんこ)い獣物(けだもの)ぞい汝(われ)は。見ずに。今(いんま)にな俺(お)ら汝に絹の衣装べ着せてこすぞ。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
汝(われ)こと奉公(ほうこう)にやれば其(そ)の錢(ぜね)で俺(お)ら借金(しやくきん)も無(な)くなるし、よきことだつて輕業師(かるわざ)げでも出(だ)しつちめえばそれこそ樂(らく)になつちあんだが
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
暫(しばら)くするとモボは紙包みの中から一束の古ぼけた写真を取り出して女に見せるのだ。「あれが俺(お)れの親父(おやじ)でこれがお母さんや」
まあ、へえ、よし坊は十円け? よっぱら割がええなあ、俺(お)らげんなあお前(めえ)んげと同じい年でも、いまちいっとやせえわ。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「俺(お)れゃ、家(うち)へ帰ったら、早速、嚊(かゝあ)を貰うんだ。」シベリアへ志願をして来た福田も、今は内地へ帰るのを急いでいた。
雪のシベリア (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「小僧(こぞう)。さあ、来。これから、俺(お)れの家来(けらい)だ。来う。この刀はいい刀だな。実(じつ)に焼(や)きをよぐかげである。」
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ハハハハハハハ、愉快愉快、俺(お)れはやっと重荷をおろした。生れてからこんな嬉しい気持は初めてだ
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「せめて今晩、大村がいればなあ。俺(お)れじゃとても青年角力の大関を投げ飛ばすことは難かしい」
「うそだ……、うそだ! 俺(お)ら、暗(くら)いとこはいやだ……。」
石段に鉄管 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「また俺(お)らの上納米で建てたんだろべい」
麦の芽 (新字新仮名) / 徳永直(著)
親方が人間なら俺(お)れは人間じゃない。俺れが人間なら親方は人間じゃない。彼れはそう思った。そして唯呆(ただあき)れて黙って考えこんでしまった。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「俺(お)ら今朝(けさ)はたべたかねえかんな、汝(われ)構(かま)あねえで出來(でき)たらたべた方(はう)がえゝぞ」お品(しな)はいつた。又(また)氷(こほ)つた飯(めし)で雜炊(ざふすゐ)が煮(に)られた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これこそ俺(お)れの本心だろうと思った事が、翌日、それはまっかな嘘(うそ)であったり、人の借りものであり、恥かしくて外出も出来ない場合がない事はない。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
「俺(お)らあ、嚊(かゝあ)がまた子供を産んで寝よるし、暇を出されちゃ、困るんじゃがのう。」彼は悄(しょ)げて哀願的になった。
砂糖泥棒 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「小僧。さあ、来(こ)。これから俺(お)れの家来だ。来う。この刀はいゝ刀だな。実に焼きをよぐかげである。」
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「俺(お)ら、ほんにやんだ(厭だ)ごんだ。——耄碌したにつけ込んで、何するか知れたこってねえ。こないださがした銅鍋だって、俺が山本へ売ったちゅうごんだよ」
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「いやだ、俺(お)らァいやだ」
麦の芽 (新字新仮名) / 徳永直(著)
「俺(お)ら見(み)てえな婆(ばゞあ)はどうで此(こ)れから娶(よめ)にでも行(い)くあてがあんぢやなし、構(かま)あねえこたあ構(かま)あねえがな」といつて笑(わら)つた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「俺(お)ら、もう十三寝たら浦潮へ出て行けるんだ。」大西は、それを云う時、嬉しさをかくすことが出来なかった。
氷河 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「汝(わり)ゃ俺(お)らが媾曳(あいびき)の邪魔べこく気だな、俺らがする事に汝(われ)が手だしはいんねえだ。首ねっこべひんぬかれんな」
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
中には俺(お)れは狐だとは思っていないのに狐の部に入れられて内心困っている者もないとはいえないだろう。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
「ヘッ! 俺(お)ら家(げ)のとっさんか……」
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「俺(お)ら、今日帰るんだ。」彼は、帰れることに嬉しさを感じながら、「みんなによろしく云って呉れ。」
氷河 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
『雨月(うげつ)物語』の中のいずれの章であったか、俺(お)れが今度旅から帰るのは葛(くず)の葉の裏が白く風に翻(ひるがえ)るころだろうといった意味の文章があった。葛の葉の裏の白さは初秋の空白を示している。
「知らね、俺(お)らよめねえよ」
ズラかった信吉 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「俺(お)れゃ、今日こそは、どうしたって我慢がならねえ! まるでわざと殺されたようなもんだぞ!」
土鼠と落盤 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「打ちあいでもやりだせゃ、俺(お)れゃ勝手に逃げだしてやるんだ。」
橇 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「いや、俺(お)れゃ帰る。」
雪のシベリア (新字新仮名) / 黒島伝治(著)