“驢(ろ)” の例文
かくて夜に入るのを待ち、手廻りの家財を驢(ろ)や車に積み、同勢二十人ばかりで、遂に、官地安喜県を後に、闇にまぎれて落ちて行った。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ミ翁また若返り、二術士を二驢(ろ)に化し、自らその一に騎(の)り、後(のち)山より投下す。今一の驢に豕脂(しし)を負わせ、報酬として鼠どもに贈るとある。
「悪魔の変化(へんげ)自在(じざい)なる、法律家となり、昆侖奴(こんろんぬ)となり、黒驪(こくり)となり、僧人となり、驢(ろ)となり、猫となり、兎となり、或は馬車の車輪となる」
「禿(は)げ、驢(ろ)……」阿Qは今まで肚の中で罵るだけで口へ出して言ったことはなかったが、今度は正義の憤(いきどお)りでもあるし、復讎の観念もあったかた、思わず知らず出てしまった。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
明星の夕(ゆふべ)はやがて月の夜となりぬ。ホテルの下に泉あり。清冽の水滾々と湧き、小川をなして流る。甕の婦人来り、牧夫来り、牛(ぎう)、羊(やう)、驢(ろ)、馬(ば)、駱駝(らくだ)、首さしのべて月下に飲む。
perceptual な叙述のもっとも簡便な形式は洋卓(テーブル)は唐机(とうづくえ)のごとしとか、柹は赤茄子のごとしとか、驢(ろ)は騾(ら)のごとしとか、すべて眼に見、耳に聞き、手に触れ、口に味わい
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
初秋や朝顔さける廐(うまや)にはちさき馬あり驢(ろ)あり牛あり
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
驢(ろ)にのった精悍(せいかん)な影は、その時もう五騎六騎と、彼の前後を包囲してきた。いうまでもなく黄巾賊の小方(しょうほう)(小頭目(しょうとうもく))らである。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次に上帝驢(ろ)を招き、汝は苦労せにゃならぬ、すなわち、常に重荷を負い運び、不断笞(むち)うたれ叱られ、休息は些(ちと)の間で薊(あざみ)や荊(いばら)の粗食に安んずべく、寿命は五十歳と宣う。
玄徳がふと驢(ろ)を止めて見ていると、その邸の並びの杏(あんず)の並木道を今、鄙(ひな)には稀(まれ)な麗人が、白馬に乗って通ってゆくのが見えた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一層厚い驢(ろ)の骨を見付け他の二骨を重ねてその草を入れ、志したナキシアの地に至って見ると、草の根が三つの骨に巻き付いて離れず、これを離せば草を損ずる故そのまま植えた。
すると父のそばにいたまだ六歳の諸葛恪(かく)が、いきなり筆を持って庭へとび降り、驢(ろ)の前に背伸びして、その面の四文字の下へ、また二字を書き加えた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
病骨をのせた馬は、二夜の泊りを経て、美濃路(みのじ)へ入った。そしてすぐ西の山中へ驢(ろ)のように鈍(にぶ)い脚ですすんでゆく。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて陳登は、宵闇の道を、驢(ろ)に乗って出て行った。そして玄徳の旧宅を訪れたが、玄徳には会わず、関羽、張飛のふたりを呼び出し、車冑の企てをはなした。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
病人の陳珪老人は、その夕方まで城内にいたが、やがてトボトボ驢(ろ)の背にのってわが家へ帰りながら
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、彼方から、驢(ろ)に二箇の酒瓶(さかがめ)を結びつけてくる者があった。近づき合うにつれて、ぷーんと芳熟した果実のよい匂いが感じられた。腕には、果物の籠も掛けているのだった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、家人にさえ打明けず、ただ一人驢(ろ)にまたがって、玄徳の客館へ出向いて行った。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしを驢(ろ)に乗せて、お城まで連れてゆけ」と、いって、どうしても肯(き)かなかった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船を下り、驢(ろ)に乗って、二人は周瑜の陣営奥ふかく訪ねた。病室へ入って見ると、周瑜はなお衣衾(いきん)にふかくつつまれて横臥呻吟(おうがしんぎん)している。——孔明は、彼の枕辺へ寄って、小声に見舞った。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白い驢(ろ)を降りて、彼のうしろからその肩を叩いた人がある。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、驢(ろ)に乗って出て行った。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
驢(ろ)に乗って小橋を過ぎ
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
惨心(さんしん)驢(ろ)に騎(の)せて
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)