“算(よ)” の例文
一天晴れ渡りて黒澄みたる大空の星の数も算(よ)まるるばかりなりき。天上はかく静かなれど地上の騒ぎは未(いま)だやまず、五味坂なる派出所の前は人山を築けり。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
行年(ぎょうねん)その時六十歳を、三つと刻んだはおかしいが、数え年のサバを算(よ)んで、私が代理に宿帳をつける時は、天地人とか何んとか言って、禅(ぜん)の問答をするように、指を三本
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
同じ叱言(こごと)を云うんでも、その点だけは恐入ったと、鼻毛を算(よ)まして讃(ほ)めてやるんだ。三下め、先生の目を盗んでも、お前なんぞのは、たかだか駈出しの(タッシェン、ディープ)だ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「桜(さくら)の花(はな)の散(ち)るのを数(かぞ)へ、舞(ま)ひ来(く)る蝶(てふ)の翼(つばさ)を算(よ)んで、貴僧(あなた)、私(わたし)と順々(じゆん/\)に。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
……雲(くも)、花片(はなびら)の数(かず)を算(よ)めば、思(おも)ふまゝの乞目(こひめ)が出(で)て、双六(すごろく)に勝(か)てたのに、……唯(たゞ)一刻(いつこく)を争(あらそ)ふて、焦(あせ)つてお悶(もだ)へ遊(あそ)ばすから、危(あぶな)いとは思(おも)ひながら、我儘(わがまゝ)おつしやる可愛(かあい)らしさに、謹慎(つゝしみ)もつひ忘(わす)れ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)