“碁子”の読み方と例文
読み方割合
きし100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
纔(わづか)に幾局の勝負を決せし盤の上には、殆(ほとん)ど惜き夢の間に昏(く)れて、折から雨も霽(は)れたれば、好者(すきもの)どもも終(つひ)に碁子(きし)を歛(をさ)めて、惣立(そうだち)に帰るをあたかも送らんとする主の忙々(いそがはし)く燈(ひ)ともす比(ころ)なり
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
我目前には猶突兀(とつこつ)たる山骨の立てるあり。物寂しく獨り聳えたる塔の尖(さき)に水鳥の群立(むらた)ち來らんを候(うかゞ)ひて網を張りたるあり。脚底の波打際を見おろせばサレルノの市(まち)の人家碁子(きし)の如く列(つらな)れり。
積薪(せきしん)思(おも)はず悚然(ぞつ)として、直(たゞ)ちに衣冠(いくわん)を繕(つくろ)ひ、若(わか)き婦(よめ)は憚(はゞかり)あり、先(ま)ず姑(しうと)の閨(ねや)にゆき、もし/\と聲(こゑ)を掛(か)けて、さて、一石(いつせき)願(ねが)ひませう、と即(すなは)ち嗜(たしな)む處(ところ)の嚢(ふくろ)より局盤(きよくばん)の圖(づ)を出(いだ)し、黒白(こくびやく)の碁子(きし)を以(もつ)て姑(しうと)と戰(たゝか)ふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)