“把(は)” の例文
藁(わら)の小(ちひ)さな極(きま)つた束(たば)が一把(は)は大抵(たいてい)一錢(せん)づゝであつた。其(そ)の一把(は)の藁(わら)が繩(なは)にすれば二房半位(ばうはんぐらゐ)で、草鞋(わらぢ)にすれば五足(そく)は仕上(しあが)るのであつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ト火入(ひい)れに燻(く)べた、一把(は)三錢(せん)がお定(さだま)りの、あの、萌黄色(もえぎいろ)の蚊遣香(かやりかう)の細(ほそ)い煙(けむり)は、脈々(みやく/\)として、そして、空(そら)行(ゆ)く雲(くも)とは反對(はんたい)の方(はう)へ靡(なび)く。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
畑の中には大きな石がゴロゴロしている。家の廻りには鍬(くわ)の把(は)、天秤棒(てんびんぼう)、下駄など、山で荒削りにされたまま軒下に積まれてある。
白峰の麓 (新字新仮名) / 大下藤次郎(著)
常には見上る高枝(たかきえだ)も埋(うづま)りたる雪を天然(てんねん)の足場(あしば)として心の儘(まゝ)に伐(きり)とり、大かたは六把(は)を一人まへとするなり。
粽(ちまき)五把(は)、笋(たかんな)十本(ぽん)、千日(ちひ)(酒)一筒(ひとづつ)、給畢(たびをはんぬ)。いつもの事にて候へども、ながあめふりて夏の日ながし。
奥さんは取り付き把(は)のない人だといって笑っていました。お嬢さんはまたわざわざその例を挙げて私に説明して聞かせるのです。火鉢に火があるかと尋ねると、Kはないと答えるそうです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「松麁朶(まつそだ)で卅五把(は)ぢや相場(さうば)はさうでもねえが、商人(あきんど)がまるき直(なほ)すんだから小(ちひ)さくもなる筈(はず)だな」勘次(かんじ)は首(くび)を傾(かたむ)けていつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
常には見上る高枝(たかきえだ)も埋(うづま)りたる雪を天然(てんねん)の足場(あしば)として心の儘(まゝ)に伐(きり)とり、大かたは六把(は)を一人まへとするなり。
葉の枯れがれの小菊を交ぜて、ほとけ様は五人と、八郎が云って、五把(は)、線香を買添えた時「あんやと、あんやと。」と唱名のごとく呟(つぶや)いて、景物らしく硫黄(いおう)の附木を束から剥(は)いでくれたのには
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
赤(あけ)え灰(はひ)に成(な)つてな、火(ひ)も弱(よ)えのさ、そんでも麁朶(そだ)買(か)あよりやえゝかんな、松麁朶(まつそだ)だちつたつてこつちの方(はう)へ來(き)ちや生(なま)で卅五把(は)だの何(なん)だのつて、ちつちえ癖(くせ)にな
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)