“慈(じ)” の例文
賣てとかき口説(くどき)親子の恩愛(おんあい)孝(かう)と慈(じ)と暫時(しばし)は果(はて)も無りけり漸々(やう/\)にして妻(つま)お安は落(おつ)る泪(なみだ)を押拭(おしぬぐ)ひ夫程迄(それほどまで)に親を思ひ傾城遊女(けいせいいうぢよ)と成とても今の難儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
慈(じ)コレヲ聞キテ曰ク汝(なんじ)ラワレノ故ヲ以テ起程ヲ延ベント欲スル歟(か)。私情ヲ以テ公事ヲ堕スルハ先君ノ悪(にく)ム所ナリ。不肖此(か)クノ如クンバ子ナキニ如(し)カズト。湯薬ヲ絶ツコト一日ナリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
逍遙子は嵐(あらし)に似たる批評家の花に慈(じ)ならざるを怪めども、われは逍遙子が花に慈なるに過ぎて、風を憎むことの太甚(はなはだし)きを怪めり。若批評の上に絶て褒貶(はうへん)なかりせば、我文界はいとゞ荒野とやなりなむ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)