“後(あ)” の例文
其故ハ此三十日計(ばかり)後(あ)ト、幕吏ら龍馬の京ニ入りしと謬伝(びゆうでん)して、邸江(土佐藩邸へ)もたずね来りし。されバ二本松薩邸(薩摩藩邸)ニ早〻入候よふとの事なり。
是れはたしか黒澤翁麿(おきなまろ)あたりの工夫でありませうか、少數のむつかしい假名から教へて行くと云ふと、後(あ)との容易(やさ)しいのは自然に分ると云ふ方法があります。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
具足櫃も常は後(あ)とになり先きになって持たせたが、この際は父の進む前に厳めしく舁がせる。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
何か分別はあるまいかなと、後(あ)と足(あし)を折って思案したが、ふと思い出した事がある。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
電話が二度も演舞場からかかってきて、何やらの踊りの鼓を受け持つことになっている歌子の来ようが遅いので、一度は後(あ)と廻しにしたけれど、早く来てくれないと困るというのであった。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
後(あ)とになし渡り求むる阿部川の此方の岸へ着(つく)船(ふね)へ飛乘(とびの)る機會(とたん)に後(うしろ)からヤレ待居(まちを)らう重五郎と追駈(おつかけ)來るは別人ならず江尻(えじり)の宿の落破戸(ならずもの)儀右衞門と云男なり最(いと)も白妙が馴染客(なじみきやく)にて是迄多くの金銀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)