“とま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トマ
語句割合
泊19.3%
留17.7%
苫14.6%
停14.3%
止13.7%
宿9.6%
駐2.9%
棲2.1%
篷0.8%
停止0.6%
富0.6%
笘0.6%
止宿0.4%
逗0.4%
斗満0.2%
佇0.2%
停車0.2%
宿泊0.2%
屯0.2%
息0.2%
戸0.2%
栖0.2%
滞在0.2%
碇0.2%
苫舟0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ねえ、」とお母(かあ)さんが言(い)った。「あの子(こ)は田舎(いなか)へ行(ゆ)きましたの、ミュッテンの大伯父(おおおじ)さんのとこへ、暫(しばら)く泊(とま)って来(く)るんですって。」
其(それ)が大雪(おほゆき)のために進行(しんかう)が續(つゞ)けられなくなつて、晩方(ばんがた)武生驛(たけふえき)(越前(ゑちぜん))へ留(とま)つたのです。強(し)ひて一町場(ひとちやうば)ぐらゐは前進(ぜんしん)出來(でき)ない事(こと)はない。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
崩れた石垣の上から覗くと、其處には苫(とま)を掛けた船が一隻、人が居るとも見えず、上げ潮に搖られて、ユラユラと岸を嬲(なぶ)つて居ります。
間もなく病的に蒼褪(あおざ)めた臼(うす)のような馬の大きな頭が、わたしの目路(めじ)ちかくに鼠色とはいえ明色ではない悒々(ゆうゆう)しい影をひいて停(とま)った。
ヒッポドロム (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ベルトがなくては、低温研究所の機能が止(とま)ってしまう。小樽札幌とあらゆる手を廻して品物を手に入れようとしたが、駄目である。
硝子を破る者 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
他処へ往って宿(とま)るようなことがあると、私が怪我をしやしないか、不意に病気になりはしないかと思って、眠られなかったと云います。
薬指の曲り (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
畠に沿う道のかなたに車の駐(とま)る音と村の子供の声が聞える。葉の落ちた梅林を透して米兵に連れられた日本ムスメのキモノの閃くのが見える。
冬日の窓 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
どれもこれも黒っぽい地味な服を着て、もっそりとした恰好で坐っているので、ちょうど、黒い大きい田鶴(たづる)でもそこに棲(とま)っているように見える。
どうした事かと疑い惑(まど)っていると、舟びとの一人はやがて髪をふり乱して刀を持って、篷(とま)のうしろに出たかと思うと、自分の舌を傷つけてその血を海のなかへしたたらした。
轟然(ごうぜん)と飛ぶが如くに駆来(かけきた)ッた二台の腕車(くるま)がピッタリと停止(とま)る。車を下りる男女三人の者はお馴染(なじみ)の昇とお勢母子(おやこ)の者で。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
付け置かるゝとぞ同じ虫でも蠶(かひこ)の如く人に益し國を富(とま)すあれば此(か)く樹を枯して損を與たふるものあり實(げ)に世はさま/″\なりと獨り歎じて前面(むかふ)を見れば徃來は道惡き爲めに避けてか車の行くを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
荷船(にぶね)や肥料船(こえぶね)の笘(とま)が貧家の屋根よりもかえって高く見える間からふと彼方(かなた)に巍然(ぎぜん)として聳(そび)ゆる寺院の屋根を望み見る時、しばしば黙阿弥(もくあみ)劇中の背景を想い起すのである。
または徳川の御手(みて)に属しけるみぎり甚太郎幼稚にして孤児となるを憐れみ、祖父高坂対島(つしま)甚太郎を具して摂州芥川に遁がれ閑居せし節、日本回国して宮本武蔵この家に止宿(とま)る。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「志保田(しほだ)に逗(とま)ってるよ」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
永く祈らん斗満(とま)の賑(にぎはひ)八十三老白里
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
心に響く斗満(とま)の川音(かはおと)
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
若い男は女をみると、一時立竦(たちすく)むように佇(とま)り、まさ眼には見られないが、しかし身体中から何かを吸出されるように、見ないわけにはゆかないといった。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
停車(とま)つた汽車が蒼みがかつた白い湯気を吐いてゐる。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「Q旅館か、二年前に始めて英国へきたその時の夏には、この旅館に宿泊(とま)った事がある…があとにも先にも、それが一ぺんきりに違いない。」と泉原は呟(つぶや)いて
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
渦(うず)まく雲、真黒に屯(とま)って動かぬ雲、雲の中から生るゝ雲、雲を摩(さす)って移り行く雲、淡くなり、濃くなり、淡くなり、北から東へ、東から西へ、北から西へ、西から南へ、逆流(ぎゃくりゅう)して南から東へ
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
手も、足も身体中の活動(はたらき)は一時に息(とま)って、一切の血は春の潮の湧立(わきた)つように朱唇(くちびる)の方へ流れ注いでいるかと思われるばかりでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
用あり気に俄に駈出したかと思うと、二タ足三足で復た戸(とま)ってボンヤリしているものもあった。元気に噪いで喋べり捲ってるかと思うと、笑声の下から歎息を吐(つ)くものもあった。空気が動揺していた。
夫雀哀しんで自ら羽を抜き丸裸になってピパル樹に栖(とま)り哭(な)く、ピパル樹訳を聞いて貰い泣きし葉をことごとく落す、水牛来て訳を聞いて角両(ふた)つ堕(おと)し川へ水飲みに往くと
それでも閣下が、尚私に、報酬を受けよと仰有るなら、どうぞ、私が滞在(とま)っていた「六人の若い海賊」旅館へそれを、お渡し下さいますよう。
闘牛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
監督は実は今朝早く、本船から十哩ほど離れたところに碇(とま)っていた××丸から「突風」の警戒報を受取っていた。それには若(も)し川崎船が出ていたら、至急呼戻すようにさえ附け加えていた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
わが家の苫舟(とま)を見ると、彼は岸の上から、もう妻の名をよんでいた。——その声には、一刻離れても、お互いに、待ちつ待たれつの、常日頃の夫婦仲が、ことばのほかに溢れていた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)